あん摩マッサージ指圧師
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あん摩マッサージ指圧師(あんままっさーじしあつし、英Masseur)とは、あん摩マッサージ指圧師国家試験に合格した後、「あん摩マツサージ指圧師名簿」に登録された者のこと。あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(昭和22年法律217号、「あはき法」と略す場合がある)に基づく資格である。按摩、マッサージ、指圧を行う。なお、 あん摩マッサージ指圧師の資格とともに、はり師 、 きゅう師 の資格も全て持つ者を通称して、鍼灸マッサージ師(しんきゅうまっさーじし)または三療師(さんりょうし)ともいう。
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[編集] 概要
- 法律上の正式名称は「あん摩マツサージ指圧師(読みは『マッサージ』)」である。
- 「あん摩マッサージ指圧師名簿」とは厚生労働省に備えられている資格者名簿で、医師でいうところの「医籍」に相当する。
- 現在はその登録事務を財団法人東洋療法研修試験財団が行っている。
- 業としての内容はあん摩、マッサージ、指圧の各手技(なでる・押す・揉む・叩くあらゆる行為)を用いて人体の変調を改善する施術者である。基本的に器具は使用しないし、それを教えている専門学校も存在しない。養成所での教育内容を定める法律等でも、器具を使う施術は想定されていない。
- あん摩マッサージ指圧師とともに、はり師、きゅう師の全ての資格を持つ者を、鍼灸マッサージ師もしくは三療師とも呼ぶ。これらは本来、別個の資格である。
- 養成所(専門学校や盲学校等)の中に、これら3つの資格を同時に取得させる課程をもつ所がある。ただし、盲学校を中心としたごく一部の養成所に限られる。このように、広く資格を取得する過程をもうけることを制限している理由は、次の通りである。まず、従来、伝統的に視覚障害者の社会参加のための方途として政策的に盲学校を中心に技術を習得させてきたという日本の事情がある。そして、健常者によるあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師としての開業を広く認める方向に政策を転換すると、視覚障害者の職域を冒すことにつながることは避けられない。その結果、特に近時強調されている障害者の社会参加(ノーマライゼーション)を、逆に阻害するおそれがある。
- あん摩マッサージ指圧師の養成を行う教員は、あん摩マッサージ指圧師の免許を取得後、教員養成科卒で教員資格取得者でなければならないとされている。
[編集] 資格試験
[編集] 受験資格
高校を卒業後、厚生労働大臣指定の専門学校(専修学校専門課程)・盲学校及び国立リハビリテーションセンターや視覚障害者センターなどの各種養成施設で3年以上、あん摩マッサージ指圧師としての知識・技能を修得した者。
[編集] 試験の時期、場所
2月下旬(例年2月の最終土曜日)に各都道府県で行われる。
[編集] 試験科目
- 医療概論(医学史を除く)
- 解剖学
- 生理学
- 病理学概論
- 衛生学・公衆衛生学
- 関係法規
- 臨床医学総論
- 臨床医学各論
- リハビリテーション医学(運動学を含む)
- 東洋医学概論
- 経絡経穴概論
- 東洋医学臨床論
- あん摩マッサージ指圧理論
[編集] 関連団体
- 社団法人日本あん摩マッサージ指圧師会
- 社団法人全日本鍼灸マッサージ師会
- 財団法人東洋療法研修試験財団
- 社団法人東洋療法学校協会
- 日本理療科教員連盟
[編集] 無資格者問題
名称の如何に関わらず、マッサージを業とできる者は「あん摩マッサージ指圧師」の有資格者と、他の法律で規定されている医療従事者(医師、理学療法士、助産師など)だけである。
整体の項も参照のこと。
[編集] 法規上の問題
- 医師法の規定により、医行為である診療(診断と治療)を業として行うこと(医業)は、医師だけに認められている。あはき法は、医師法の例外規定であり、一定の条件の下で、あん摩マッサージ指圧師が独立して、医業類似行為であるあん摩、マッサージ、指圧の施術を行うことを認めるものである。
- あん摩マッサージ指圧師が、医行為である診断を業として行うことを、法は認めない。したがって、仮に、あん摩マッサージ指圧師が、施術の依頼者(いわゆる患者)に対して、施術の際に自分で「診断した病名」を告げる行為を繰り返した場合、違法行為として処罰等の対象となりうる。また、あん摩マッサージ指圧師が「診断書」を作成したとしても、法的意味での診断書とはいえない。例えば、刑法上の虚偽診断書等作成罪が問われるのは医師に限定されている。なお、法は、あん摩マッサージ指圧師がレントゲン写真を撮ることも認めていない。