のぞみ (列車)
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のぞみは、東海道・山陽新幹線で運行されている特急列車の愛称の一つである。
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[編集] 運行概況
東海道・山陽新幹線内の最速列車であり、東京~博多間の運行は2003年10月1日以降この列車のみが行っている。
[編集] 所要時間
東京~新大阪間を約2時間30分、東京~博多間を約5時間で結ぶ。最高速度は、当初300系の270km/hであったが、現在は山陽新幹線内における500系の300km/hである。
- その他の区間
- 東京~名古屋間 - 約1時間40分
- 東京~岡山間 - 約3時間20分
- 東京~広島間 - 約4時間
- 名古屋~岡山間 - 約1時間40分
- 名古屋~広島間 - 約2時間20分
- 名古屋~博多間 - 約3時間20分
- 新大阪~広島間 - 約1時間30分
- 新大阪~博多間 - 約2時間25分
- 岡山~博多間 - 約1時間45分
[編集] 停車駅
東京 - (品川) - (新横浜) - 名古屋 - 京都 - 新大阪 - 新神戸 - <姫路> - 岡山 - 「福山」 - 広島 - 「徳山」 - 「新山口」 - 小倉 - 博多
- カッコの施してない駅は全停車。
- ()内に表示した駅については、どちらか少なくとも1つに停車。なお東海道・山陽直通列車は新横浜に全停車。しかし博多行きののぞみは品川・新横浜の両駅停車
- <>内に表示した駅については、岡山駅発着列車と広島駅発着列車の一部のみ停車。
- 「」内に表示した駅については、姫路に停車しない広島発着列車と博多発着列車の一部のみ停車。
[編集] 特別急行料金について
基本的には、特急料金の扱いは、新幹線のそれと同じである。しかし、1992年(平成4年)の運転開始当初は全車座席指定席で、特別急行料金は新型車両開発のためとして、「ひかり」や「こだま」より高く設定された。
また、「のぞみ」が停車しない駅については、「のぞみ」利用区間に対する「ひかり」・「こだま」の特急料金の差額とを合計したものとした。
2003年10月1日から特急料金が改定され、「ひかり」や「こだま」との格差が縮小された(この時期に「のぞみ」も利用可能となった割引きっぷ類も増えている)。同時に自由席が設置され、自由席を利用する際の特急料金は特定特急料金として、「ひかり」や「こだま」の自由席と同額となった。
なお、フルムーン夫婦グリーンパス(合計年齢が88歳以上の夫婦を対象とした、新幹線を含むJR全線グリーン車を利用可能な切符)やナイスミディパス(30歳以上の2人以上の女性グループを対象とした、新幹線を含むJR全線を利用可能な切符)、ジャパンレールパス(外国人を対象とした、新幹線を含むJR全線を利用可能な切符)などのJR全線乗り放題の乗車券では、「のぞみ」は一切利用できず(自由席の立席利用も別途特急券だけを買い足しての利用も不可)、ジパング倶楽部やレール&レンタカーきっぷなどのような、運賃や特急料金が割り引かれる制度では、「のぞみ」特急料金は割引の対象外となっている。
[編集] 「ひかり」・「こだま」と乗り継ぐ場合
「のぞみ」と「ひかり」・「こだま」を乗り継いで利用する場合の特急料金は、新幹線の改札を出ない場合に限って次により計算する。
- 「のぞみ」で指定席を利用しない(=自由席のみ利用する)場合
- 「ひかり」・「こだま」の利用設備に依存する。
- 「のぞみ」で指定席を利用する場合
- 全乗車区間に対する「ひかり」・「こだま」の特急料金と、「のぞみ」利用区間に対する「ひかり」・「こだま」の特急料金の差額とを合計したものとなる。
- なお、「ひかり」・「こだま」を挟んで「のぞみ」を利用する場合、この原則に従って計算した場合と「ひかり」・「こだま」の区間を通じて「のぞみ」を利用したと見なして計算した場合との、いずれか安い方の金額となる。
例:
- 静岡駅 - (ひかり) - 名古屋駅 - (のぞみ) - 新神戸駅
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- パターン1:ひかり自由席+のぞみ自由席
- 静岡駅~新神戸駅間の乗車券・自由席特急券 6,620円-510円=6,110円
- パターン2:ひかり指定席+のぞみ指定席
- 静岡駅~新神戸駅間の乗車券・特急券+名古屋~新神戸間ののぞみ利用差額 6,620円+300円=6,920円
- パターン1:ひかり自由席+のぞみ自由席
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- 三河安城駅 - (こだま) - 名古屋駅 - (のぞみ) - 岡山駅 - (こだま) - 新倉敷駅
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- パターン1:こだま自由席+のぞみ自由席+こだま自由席
- 三河安城駅~新倉敷駅間の乗車券・自由席特急券 11,750円-510円=11,240円
- パターン2:こだま指定席+のぞみ指定席+こだま指定席
- パターン1:こだま自由席+のぞみ自由席+こだま自由席
- (ひかり・こだま特急料金+名古屋~岡山間ののぞみ利用差額)11,750円+400円=12,150円
- (ひかり・こだまの区間を通じてのぞみを利用したと見なして計算した場合)12,040円
- この場合、安い方の料金が適用されるため、12,040円となる。
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[編集] 主な割引乗車券類
- JR東海エリア
- エクスプレス予約やJR東海ツアーズの「1dayプラン」が代表的な存在。中部国際空港発着の航空機との競争が激しい名古屋市内~北九州・福岡各市内間の往復割引きっぷも販売。
- JR西日本エリア
- エクスプレス予約に加え、山陽新幹線が航空機との競争が激しい為、大阪・神戸各市内~北九州・福岡各市内間であらゆる割引きっぷ類が発売されている(JR四国エリアやJR九州エリア発の設定あり)。同様の理由で、岡山以西の区間から東京23区内への往復割引きっぷも販売。
[編集] 使用車両
- 700系 - JR東海C編成、JR西日本B編成。
- 500系 - のぞみ専用(臨時では「ひかり」にも使用)。2007年をもって、東海道区間ののぞみ運用からは撤退とマスコミで報じられる。
- 300系 - 現在は主に「ひかり」「こだま」に使われているが、臨時「のぞみ」で使用される場合も多い。
[編集] 列車編成
全列車16両編成。かつては全車指定席だったが、2003年10月1日から自由席が設定されている。
博多← | →東京 | ||||||||||||||
1 自× |
2 自× |
3 自○ |
4 指× |
5 指× |
6 指× |
7 指× |
8 指× |
9 指× |
10 指○ |
11 指× |
12 指× |
13 指× |
14 指× |
15 指○ |
16 指○ |
[編集] 静岡県と「のぞみ」
1992年の運行開始から2006年現在に至るまで、「のぞみ号」は緊急時以外は一切静岡県内の駅に停車したことがない(2004年、車掌に暴力をふるった男がいたため、「のぞみ号」が静岡駅に緊急停車、男は静岡県警に逮捕された事例や、2006年10月には同駅でJR東海社員が通過中の「のぞみ号」に飛び込み自殺して列車が緊急停止した事件も発生)。JR東海はこのことに関して、「のぞみは東京・横浜と名古屋・京阪神という3大都市圏間の高速輸送並びにそれ以西との速達輸送を主目的としているため」、「『東京~新大阪間で、東京・名古屋・京都・新大阪に全停車し、品川・新横浜の少なくとも1つに停車、それ以外の駅はすべて通過する列車』を『のぞみ号』の定義とする」としている。
静岡県側としては、この事に関しては非常に不快に感じている模様で、石川嘉延静岡県知事は「県内素通りの『のぞみ号』に対して通過料を取る」とまで発言しているくらいである。これは2003年10月1日以前は通過で、静岡市・浜松市よりも規模が小さい都市である姫路市(姫路駅)・福山市(福山駅)・周南市(徳山駅)・山口市(新山口駅)にもこの日の改正から一部の「のぞみ」が停車するようになった(東京直通「ひかり号」減便のため)ことで更に過熱することになった(但し、この4都市の駅はJR西日本管轄の山陽新幹線内であり、路線の性格上状況が違う部分もあるので単純な比較はできない)。
現実問題として、静岡県内の三島駅・静岡駅・浜松駅の3駅はある程度の利用客を誇っているが、名古屋・京阪神・山陽方面の利用者よりも、首都圏への観光・通勤通学客が圧倒的に多く(特に三島駅の場合)、その首都圏にも比較的近い場所にあるため、「こだま号」または「ひかり号」のみで十分ということである。また、東京・品川・(熱海)・(三島)・静岡・(浜松)・名古屋・京都・新大阪という停車パターンの列車は既に1時間に1本存在(ひかり)しており、JR東海が今後において静岡県内の駅に「のぞみ号」を停車させるような様子も見られない。ただ県内の新幹線停車本数に関しては、需要に対して少ないこと(1時間に2本~3本)は事実であり、毎時2本の「ひかり号」も約半数の列車(岡山発着ひかり)は県内の駅を全て通過している。また毎時2本の「こだま号」に関しては、最高速度こそ「のぞみ号」同等の270km/hであるが、速達列車が多い東海道新幹線のダイヤの都合上、停車するほぼ毎駅で通過列車の待ち合わせをするため、近距離利用でも「ひかり号」との所要時間にかなりの差が生じている(例:東京~静岡間 距離167.4km 所要時間「ひかり号」約1時間 「こだま号」約1時間30分)。よって静岡県民の間からは「こだま号」のスピードアップと、静岡駅・浜松駅停車の「ひかり号」の増発を求める声も多い。
[編集] 沿革
[編集] 朝鮮鉄道・南満州鉄道急行「のぞみ」
第二次世界大戦前、朝鮮総督府鉄道(鮮鉄)と南満州鉄道(満鉄)の釜山~奉天(現:瀋陽)・新京(現:長春)間に、急行列車「のぞみ」が運行されていた。同区間には急行「ひかり」も運行していた。
- 1934年(昭和9年)11月 釜山~京城(現:ソウル)間運転の急行7・8列車の運転区間を奉天まで延長し、「のぞみ」と命名。
- 1935年~1939年(昭和10年~昭和14年)頃 運転区間を当時「満州国」の首都であった新京まで延長。
- 1944年(昭和19年)1月 戦況の悪化により廃止。
[編集] 新幹線「のぞみ」
- 1992年(平成4年)3月14日 当時運賃の値下げなどにより利用を延ばしていた航空機に対抗するために、新しく開発した300系車両にて「のぞみ」の運転を開始。一般公募としばしば誤解されるが、東海旅客鉄道(JR東海)社内で仮称の「スーパーひかり」を本採用する事を回避すべく別愛称を用意した物で、かつての修学旅行列車の愛称だった「きぼう」をアレンジする形での命名とも言われている。また偶然だが、既に同区間を走っていた「ひかり」とは満鉄で姉妹列車の間柄であった時以来、48年ぶりにペアを組む事となった。
- 運転開始当初は東京駅~新大阪駅間に早朝・深夜各1往復の1日2往復の運転であった。また、朝下りの「のぞみ」301号については、新横浜駅を停車、逆に名古屋駅・京都駅を通過とした。特にJR東海の本社がある名古屋駅を通過としたため中京地方の住民から名古屋飛ばし・本社飛ばしと呼ばれた。詳細は「名古屋飛ばし」の項を参照。
- 1993年(平成5年)3月18日 山陽新幹線への直通を開始、1時間1本の運転とされた。
- 1996年(平成8年)3月16日 1時間あたりの最大本数を2本に増加。
- 1997年(平成9年)3月22日 新大阪駅~博多駅間の「のぞみ」1往復で、西日本旅客鉄道(JR西日本)が開発した500系車両の運転を開始。
- 1997年(平成9年)11月29日 500系車両による「のぞみ」、東海道新幹線にも乗り入れを開始。当初3往復の「のぞみ」に使用。また新横浜駅に停車し名古屋駅・京都駅を通過していた「のぞみ」301号は、続行運転する「のぞみ」1号の停車駅に新横浜駅を加えたことで、統合される形となって廃止。
- 1999年(平成11年)3月13日 700系車両による「のぞみ」の運転を開始。
- 2001年(平成13年)10月1日 1時間あたりの最大本数を3本に増加。これにより、新横浜駅では1時間に4往復、新神戸駅では1時間に2往復の停車となる。
- 2003年(平成15年)10月1日 この時のダイヤ改正により「のぞみ」は大幅に増発され、1時間あたりの最大運転本数は7本になった。代わりに「ひかり」が大幅に削減されている。停車駅にこの日新設された品川駅に加えて、姫路駅、福山駅、徳山駅、新山口駅(旧:小郡駅)を追加。
- これは航空機や高速バスとの競合を意識したものである。
- 同時に自由席が設置され、自由席を利用する際の特急料金は特定特急料金として、「ひかり」や「こだま」の自由席特急料金と同額となった。ただ、同額でも「特定」と「自由席」とでは別物の解釈であり、「ジャパンレールパス」及び「ジパング倶楽部」の利用者には、指定席はもとより、自由席の場合でも特典対象となっていない状況には、「のぞみ」の本数が大幅に増えただけに改善の余地あり、との声も多い。
- 2005年(平成17年)3月1日 愛知県で開催される2005年日本国際博覧会(愛・地球博)輸送に際して、1時間あたりの最大運転本数を8本とした。また、山陽新幹線への直通本数を増発した。
- 2006年(平成18年)3月18日 山陽新幹線への直通本数をさらに増加、東京駅~博多駅間は毎時2本体制となるほか、新たに東京駅~姫路駅間の列車が1往復設定される。
[編集] 関連項目
新幹線 |
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現行路線 |
東北新幹線・上越新幹線・北陸新幹線(長野新幹線)/ミニ新幹線 : 山形新幹線・秋田新幹線 |
東海道新幹線・山陽新幹線・九州新幹線 |
整備新幹線 |
北海道新幹線・東北新幹線・北陸新幹線・九州新幹線 |
基本計画線 |
北海道南回り新幹線・羽越新幹線・奥羽新幹線・中央新幹線・北陸・中京新幹線 |
山陰新幹線・中国横断新幹線・四国新幹線・四国横断新幹線・東九州新幹線・九州横断新幹線 |
未成線 |
成田新幹線 |
現行列車 |
はやて・やまびこ・なすの・とき・たにがわ・あさま/新幹線直行特急 : つばさ・こまち |
のぞみ・ひかり(ひかりレールスター)・こだま・つばめ |
廃止列車 |
あさひ・あおば |
営業用車両 |
0系・100系・200系・300系・400系・500系・700系・N700系・800系・E1系・E2系・E3系・E4系 |
試験用車両 |
1000形・951形・961形・962形・WIN350・STAR21・300X・FASTECH 360 S・FASTECH 360 Z・軌間可変電車 |
事業用車両 |
911形・912形/ドクターイエロー・East i |
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