はいすくーる落書
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はいすくーる落書(はいすくーるらくがき)とは、TBS系列で金曜21:00枠で放送された斉藤由貴主演のテレビドラマ。
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[編集] 概要
放送は1989年1月6日から3月24日。2月24日は昭和天皇の大喪の礼のため休止された。全11回。1989年12月29日にはスペシャル版も放映された。このレギュラー版とスペシャル版をあわせ、シリーズパート1と称される。翌年7月から9月には同じ斉藤由貴主演でシリーズパート2が放送された。パート1とパート2には、ストーリー上の関連はない。本稿では「シリーズパート1」について記述する。
原作は当時現役の高校教師だった多賀たかこ著の同名エッセイ。朝日ジャーナルノンフィクション大賞受賞作。原作では群馬県立赤城農林高校(仮名、モデルは群馬県立勢多農林高等学校)という農業高校が舞台だったが、ドラマでは一般的でないと理由からか工業高校に変えられた。原作は女子進学校から転任してきた女性教師が、のどかな中で問題行動に走る高校生気質と、普通科よりもランクが低い、学力困難と見なされる農業高校での日々を綴ったもの。ドラマは一躍ブレイクしたが、ドラマのプロデューサーが知人が在籍していた羽田工業高校の昭和50年代のOBに取材し、青山学院大学卒の新卒の女性教諭(名前はドラマと同音の「いずみ」であった)が生徒と起こしたトラブルがドラマのパートⅠの主なエピソードとなっており、原作タイトルだけを引用しただけで全く違う内容と言ってもよい。
斉藤由貴演じる新米教師・諏訪いづみが不良ばかり集う工業高校へ赴任。始めは生徒達の迫力に怯えるものの、徐々に慣れていき、また生徒達もいづみに信頼を寄せていき、互いに成長していく様子をシリアスにかつコミカルに描いた。斉藤由貴と生徒達の体当たりの演技は好評を呼び、THE BLUE HEARTSの唄う主題歌・「TRAIN-TRAIN」も大ヒットを記録。伊東四朗や小林稔侍らのコミカルな演技が脇を固め、高視聴率を記録した。また生徒役として出演した的場浩司や保坂尚輝らはこのドラマをきっかけにその後俳優としてブレイクし、現在に至る。
高評価にもかかわらず一部の工業高校関係者から、工業高校に対するイメージを損なうと抗議が殺到したため(特に舞台となっている蒲田や羽田から近い羽田工業高校はその悪いイメージが付いてしまった)、放送から15年以上が経過した2005年現在まで再放送はパート1は一度きり,パート2は一度もされていないいわくつきのドラマとなった。(関西地区では、パート1は一度再放送が始まったが第一回のみで打ち切りになってしまった。)また近年、バップが行った、DVD化して欲しいTBSテレビドラマアンケートの中でも第2位の獲得票を記録し、根強いファンがいる事を証明したが、やはりDVD化は実現されなかった。しかし1・2・4・5・7・11話とスペシャル版はVHS化されており、視聴可能である。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] あらすじ
諏訪いづみ(斉藤由貴)は東京・蒲田の薬局店で父・正(伊東四朗)に過保護に育てられた23歳。「夏休みが多い」「若い男の子に囲まれながら仕事が出来る」という能天気な理由で教師を志望し、地元の京浜実業高校工業科へ英語教師として赴任。二年機械科クラスの担任を任される。だがそのクラスは工業科の中でも札付きのワル達が集うクラスであった。自分をからかい、問題ばかり起す生徒達にいづみはキレて本気で辞職を考えるが、工業科実習助手の伴(清水宏次朗)に説得され、また生徒達にラブレターを渡されてしまい、考え直す事に。一日も早く高校を辞めて欲しい正はヤキモキの毎日を過ごす。学校生活を送る中、いづみは生徒達の起す問題を不器用に、しかし誠実に解決していき、生徒達も次第にいづみに信頼を寄せ、伴や田坂教頭(小林稔侍)、他の教師達(石倉三郎・稲川淳二)もいづみを認めていくのであった。
最終回は、校長が下したある生徒の退学処分を撤回させようといづみは奔走し、田坂や伴、他の生徒達も協力するが結局処分は覆らず、いづみは責任をとって辞職を決意する。春休み、失意のいづみの前に生徒達が全員現れる。ある者は不安そうな目を、ある者はいたわるような目をして黙っていづみを迎え入れる。そして最後にいづみの目に映りこんだのは、退学したその生徒の姿であった。ラストカットはそのいづみの瞳がアップで映った画であり、多くの視聴者を驚かせた。
スペシャル版は最終回から9ヶ月後の設定。二年機械科の生徒達は全員無事三年へ進級し、そろそろ進路決定の時期が迫る。しかし生徒達はそんな事おかまいなし。遠藤(的場浩司)はバイトに明け暮れ、黒木(保坂尚輝)らはバイク三昧。他の生徒達もナンパや謝恩会でやるパフォーマンスの練習に余念がない。だがいづみは生徒達を全員卒業させ、無事社会に送り出す事に情熱を燃やす。そんな生徒達との関係をいづみは新聞にエッセイとして投稿するが、普通科から工業科へとやってきた三枝(佐野史郎)はこの記事を問題視し、校長に指摘する。いづみは学校の悪口を書いたつもりはないと反論するも、三枝はこれを一喝し、責任を取るよう迫る。感情的になったいづみは辞意をほのめかすが、田坂に諭される。そんないづみに、遠藤はバイト先の工場に就職する事を告げる。最初はそれに反対したいづみだったが、遠藤の決意を知り、クラス一のワルが自立した大人として成長していた事に涙を流す。そして新聞に書いた生徒達の成長が偽りではない事をいづみは確信する。しかしそんないづみに校長が下した結論は、いづみと田坂の転任であった。さらに追い討ちをかけるように、黒木がバイク事故を起したとの一報が入る。いづみの輸血により、黒木は一命を取り止めるが、その退学は決定的となる。ショックに打ちひしがれるいづみに、田坂は優しく声をかける。「黒木明はどこの学校にもいます。そしてまた失敗するかもしれない。私もあなたも、その失敗を食い止める事が出来ないかもしれない。でもいつか、いつかは食い止める事ができるんだ。だから…、私、教師辞めません。あなたも…。」二学期の終業式。生徒一人一人に成績表を渡すいづみ。そんな中、遠藤は恥ずかしそうに「お世話になりました…」とお礼を述べる。いづみも涙ながらに生徒全員に頭を下げる。職員室で机の整理を行った後、再度教室に別れを告げようといづみは教室に向かう。しかし教室の扉を開けると三枝を前に、生徒全員が残っていた。忘れ物をしたといういづみを教室に入れる三枝だが、やがて高圧的な三枝のホームルームが始まる。いたたまれなくなったいづみが教室を出ようとした瞬間、遠藤が足を踏み鳴らす。その輪はやがて生徒全員に広がり、そして机の上に立って足をバンバン踏み鳴らす。驚くいづみ。三枝の怒号が空しく響く中、生徒達のボルテージは高まっていった。それは三枝を始めとする理不尽な大人達への抵抗であり、そして常に自分達の側に立ってくれたいづみへのはなむけであった。そんな生徒達に、いづみはさわやかな表情で別れを告げた。(参考までに、このホームルームのシーンは、当時公開されていた米映画「いまを生きる」のラストシーンと酷似している面もある。)
[編集] 各回サブタイトル一覧
- 第1話『先生、もんでやるぜ!』
- 第2話『先公、バックれんじゃねェ!』
- 第3話『停学もみんなでくらえばコワくねェ!』
- 第4話『退学コワくてバイクに乗れっか!』
- 第5話『カノジョ!オレはマジだぜ』
- 第6話『赤点なんかクソくらえ!』
- 第7話『先公、ブッとばされてェのか?』
- 第8話『ラブミーテンダーだぜ!』
- 第9話『ビッグになりてェ!』
- 第10話『カモン!ベイビー』
- 最終話『日付のない退学届』
- スペシャル『スペシャルだぜ!テメェら、カッコつけんじゃねェ!』
[編集] キャスト
- 主要人物
- 諏訪いづみ…斉藤由貴
- 少し天然ボケで世間知らずなお嬢様なため、時に生徒以上に暴走してしまう。吉岡という彼氏がいるが、最終回でフラれる。スペシャル版で他の学校へ左遷させられた。生徒達からの愛称は「いづみちゃん」。
- 伴丈治…清水宏次朗
- 工業科実習助手。いづみとよく衝突するが、本当はいづみの事が好き。生徒以上にケンカが強く、生徒達も恐れる存在。最終回でいづみと市野をかばって三年生達を殴り、長野県へ左遷させられた。
- 長谷川和夫…所ジョージ
- 諏訪薬局の店員。ギターが特技。いづみとの結婚を夢見ている。正とはいいコンビでアドリブでやり合うミニコントのようなシーンも多かった。特に島倉千代子の「人生いろいろ」を酔っ払いながら歌うシーンは秀逸である。
- 諏訪恵…越智静香
- いづみの妹で高校生。伴の大ファン。家事を担当。
- 児玉先生…石倉三郎
- 工業科の数学教師兼生徒指導。いつも大声で生徒を怒鳴り散らしている。
- 大井先生…稲川淳二
- 工業科の国語教師。小心者で生徒達におびえており、彼の授業は授業にならない。大の演歌好き。
- 三枝先生…佐野史郎
- スペシャル版でのみ登場。普通科から工業科へ生徒指導でやって来た。生徒達が最も恐れる教師。
- 田坂教頭…小林稔侍
- 工業科の教頭。温厚な性格だが、生徒達にブチギレ、殴り倒した事もある。その後、反省。口癖は「まあまあ」。スペシャル版で平和島高校の定時制に赴任させられる、
- 諏訪正…伊東四朗
- いづみの父。かなり過保護で、早く教師を辞めるよういづみをいつも説得している。何かある度に学校に乗り込み、いづみを辞めさせようとする。
- 機械科の生徒
- 足立政憲…安藤麗二
- ダブリ。いつも競馬の予想をしている。彼女が妊娠したため、スペシャルでは一児の親になっている。
- 宇梶力…家富洋二
- 挙動が幼稚園児。放送部。メガネをかけ、坊ちゃん刈り。
- 津川友樹…池上晃一
- 1話でいづみをレイプしようと企てる。喘息持ち。
- 稲坂伸行…石川裕司
- いつも早弁して、いづみに注意される。
- 臼井和昭…大野英憲
- バンドでベースを担当し、その実力は山根にも認められる。ECHOESの「Zoo」をギターソロで歌うシーンがある。
- 荒巻幸太郎…菊池健一郎
- あやとりが得意。ナンパが趣味。前クールに放送された「3年B組金八先生パート3」にも出演していた。
- 蟹江健太…幸内康夫
- ガソリンスタンドの息子。カニのマークの入ったマスクをする事も。
- 宮下鉄哉…斉藤和美
- 無口でクール。祖母によく殴られるらしい。スペシャル版には出演していない。
- 林六朗…斉藤高広
- 10話で赤ん坊を学校に連れ込む。「on a pet」を「オナペット」と読む。
- 石牟礼松男…斉藤文太
- 通称・石松。武闘派。ダブリ。黒木達とバイクを乗り回している。いづみに顔を引っかかれた事がある。
- 岩山元…佐久間哲
- 通称・ガン。陽気なキャラ。6話の主役。いづみに黒板消しを投げられ、「スカート脱げ!」と追いかけ回した。
- 木崎優…白鳥勇人
- カーテンで顔をふく。エロ本のぼかしを消しゴムで消そうとする。
- 安原紀男…田中基
- 2話の主役。一人暮らしをしている部屋は、生徒達の溜り場。補習でいづみにはなまるをねだり、宝物にしている。
- 柿本忍…田中義訓
- デブキャラ。バンドではドラムを担当。ピザ屋でバイトしている。
- 桑水流誠…西崎博
- ダブリ。いつもタバコをくわえている。黒木のバイク仲間。一度盲腸で入院した。いづみに七三分けにさせられた。
- 桃山一郎…花井直孝
- 通称・モモちゃん。たこ焼屋でバイトしている。いづみに告白して抱きつくが、叩かれる。
- 黒木明…保坂尚輝
- ダブリ。いつもバイクを乗り回している。スペシャル版で事故を起こし、退学処分になった。生徒の中で最もイケメン。
- 寺内新之輔…古本新之輔
- クラス1のお調子者。かなり奇抜なファッションをしている。扇子がキーアイテム。8話の主役。アドリブで斉藤由貴の「夢の中へ」を歌い、いづみにツッコまれる。
- 坂上登…前田晃一
- お調子者。いづみにTuesdayの意味を聞かれ、「いづみちゃんとチューする日」と答え、叩かれる。
- 遠藤薫…的場浩司
- クラス1のワル。7話とスペシャル版の主役。いづみに殴られ、ブチギレた事も。
- 中村正和…馬渕貴裕
- 一番前の席。茶髪。ナポレオンを知らず、いづみを呆れさせる。
- 片桐勉…六浦誠
- 3話の主役。授業中、まぶたに目を書いて眠る。
- 星野光平…村上雅俊
- 7話の主役。おとなしい性格で、遠藤にいびられる。
- 猿橋直…矢野泰二
- 5話の主役。普通科の女子と駆け落ちしようとするが、途中でフラレる。いづみのスカートをめくってビンタされる。
- 倉田成志…山口祥行
- 6話の主役。通称・いい子ブリ夫。ヘビースモーカー。
- 市野龍太郎…渡辺航
- 最終話の主役。いつもラジカセを持ってきている。退学し、トラック運転手になる。
- 塩川ひろみ…渡部夏樹
- バンドのボーカル。金髪。女子生徒に殴られ、「情けないわね」といづみにも叩かれる。
- その他
- 川口警官…鶴田忍
- 機械科の生徒達がいつもお世話になっている蒲田駅前の交番に勤めている。いづみに振り回される事も。
- 山根さん…我王銀二
- 伴の先輩でライブハウスの店長。塩川達のバンドに協力してあげた。
- 黒木の母…猪俣光世
- 黒木にバイクを買い与えた事で学校から責められるも、猛反論。物凄い剣幕で田坂に詰め寄る。
- 遠藤の母…五月晴子
- 遠藤が唯一頭の上がらない人物。大井を殴った遠藤を学校の廊下で叩きまくり、いづみに注意される。
- 猿橋の母…内田あかり(内田明里)
- 猿橋が家出した事でいづみを訪ねるが、子育てに関し無責任な言動をしていづみに怒られる。
- 広瀬忍…藤村正美
- 普通科の生徒で一番の美女。猿橋を誘惑して振り回し、結局フる。いづみに「工業科の生徒を弄ぶな」とキレられる。
- 青木ノブ江…山口由子
- 寺内の彼女。車の中でヤッてる時に児玉たちに見つかってしまい、とっさに寺内にレイプされたと嘘をついてしまう。
- 由紀…大平江利子
- 塩川の友達。タレントの卵。塩川達の初コンサートに駆けつけ、祝福した。
- 友子…吉村奈見子(現:吉村奈見)
- 足立の彼女。家出し足立と同棲。子供を妊娠してしまう。
- 諏訪薬局の客…ビートきよし(現:ビートキヨシ)
- たまたま諏訪薬局にいた遠藤に栄養ドリンクを死ぬほど買わされるサラリーマン。
- 普通科の女子生徒…劇団ひまわり
- 工業科の生徒達にしつこくナンパされる。工業科を侮辱し、いづみをキレさせた。
[編集] スタッフ
[編集] 主題歌・挿入歌
- THE BLUE HEARTS 「TRAIN-TRAIN」「キスして欲しい」「リンダリンダ」「星をください」
[編集] 番組に関するエピソード
- 生徒がガムを吐き出すシーンを考えたが、このドラマのスポンサーで製菓会社であるロッテのイメージを損なうために中止になった。また、ドラマの登場人物に不良生徒が多く、内容も良くないという理由で花王は提供クレジットを自粛した。
- 再放送された際に、視聴者から「工業高校=不良」のイメージが定着するとのクレームが殺到し、番組途中で放送を中止した経緯がある。