エターナルアルカディア
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エターナルアルカディア(Eternal Arcadia)はオーバーワークス制作セガ販売のドリームキャスト用ロールプレイングゲームで、2000年10月5日発売。北米・ヨーロッパでのタイトルはSkies of Arcadia。通常版に加え、@barai版(後述)も発売された。空飛ぶ帆船が大空を行き交う異世界で、海賊ならぬ「空賊」の主人公が繰り広げる冒険を描いている。
2002年12月26日に様々な要素が追加、強化された「エターナルアルカディア レジェンド」がニンテンドーゲームキューブに発売されている。プレイステーション2版も発売告知されていたが、ゲームキューブ版に開発を専念するためという理由で開発中止されている。
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[編集] 特徴的なシステム
[編集] 砲撃戦
このゲームの戦闘は、肉弾戦による通常戦闘の他に、パーティの所持、搭乗している船による砲撃戦が存在する。敵対国や空賊の船、あるいは巨大な怪物との一対一の戦闘で、船に積んでいる砲台を以て攻撃を行う。
砲撃戦ではそれぞれのターンにフェイズがパーティの人数分存在し、敵もこちらのフェイズと同数の行動を行う。1人のキャラクターが1つのフェイズで行動する。また各フェイズには、敵の行動や敵との距離をあらかじめ予測した上で、こちらの攻撃の命中率や敵側の攻撃の危険性なども示されている。
このシステムの存在故、キャラクターのみならず所持している船にもステータスの概念や装備品が存在する。ただしレベルは存在しないため、ステータスアップは装備やアイテムを使うことになる。
[編集] 発見物
ワールドマップ上には町やダンジョンなどのフィールドの他に、ゲームの世界において「未知なる存在」とされているオブジェクトが多数存在し、これらを「発見物」と呼ぶ。存在する場所に船が接近するとコンパスが突如回転しだし、ここで決定ボタンを押すことで発見物を見つけることが出来る。発見したオブジェクトはキャンプメニューの「航海日誌」に記録され、情報をギルドに売却することが可能。
発見物ははじめから目視できる物と、発見することで初めて目視が可能になる物の2つが存在。また止まっている物と、広範囲を動き回っている物も存在し、数もかなりあるため全てを発見するのは困難を極める。
イベントとの関係は全くないやり込み要素の一つだが、一部イベント上発見が必須の物や、「~レジェンド」ではとあるサブイベントを完了することで発見される物などもある。
[編集] キャラクター
[編集] メインキャラクター
- ヴァイス CV:関智一
- 本作の主人公で、青の空賊「ダイン一家」の首領ダインの息子で、クルーとしては、敵船へ直接乗り込む切り込み役を担当している。好奇心旺盛な性格で、世界中の誰も行ったことのない未知の領域を駆けることを夢見ている。また「どんなときも絶対にあきらめない」ことを信条に、どんなに困難な状況も打破する能力をも有する。武器はカトラスを好んで愛用。趣味は地図の収集。
- アイカ CV:川上とも子
- ヴァイスの幼馴染みで、同じく「ダイン一家」の切り込み役をしている。ストレートで、かつサッパリとした明るい性格。お宝とおいしい食べ物が好きで、幽霊や水が苦手。全身のバネを生かした素早い身のこなしと、熟練されたブーメランの腕で強敵相手にも果敢に立ち向かっていく。
- ファイナ CV:堀江由衣
- ある日ダイン一家が襲撃した帝国の戦艦に拉致されていた少女。艦に乗り込んだヴァイスらによって救出され、以後行動を共にすることに。出生、目的を語ろうとしないが、実は古代文明、銀の文明の民の生き残りで、古代の知識に詳しい。最初はヴァイス達を警戒していたが、旅を続けるうちに徐々に心を開いていく。不思議な生物「キュピル」を連れているが、戦闘ではこのキュピルを武器に戦う。
- ドラクマ CV:麦人
- 船乗り達の間で恐れられている巨鯨「モービス」を追い続けている「モービス追いのドラクマ」。ヴァイスらが襲われていたところを救出し、以後行動を共にする。かつてモービスによって片目と片腕、そして大事な一人息子を奪われ、それ以来モービスを追うことだけを生き甲斐にしている。無口で無愛想なため仲間は少なく、長い間ただ一人で行動していた。愛船「リトルジャック」を駆る。
- ギルダー CV:若本規夫
- 無人島へ漂流したヴァイスを救った青の空賊の頭目。自分の気の向くままに生き、日々を楽しむことをモットーにしている。お宝、女、そしてムチャな冒険など、「胸を躍らせるモノ」を求めて「クラウディア」で大空を駆け回る。ノリの軽い男のようだが、空賊としての実力は高く、「気まぐれのギルダー」の二つ名で同業者は勿論バルア帝国にまで恐れられている。
- エンリック CV:保志総一朗
- バルア帝国の皇太子。軍事国家バルアの方針にただ一人異を唱え、近隣国家とは従属でなく、友好な関係を築くべきと主張を続けている。ガルガンチュアに幽閉されたヴァイスらの脱走の手助けをし、国の外側からバルアを変えるために行動を共にし、バルア最新鋭戦艦「デルフィナス」を托す。
[編集] サブキャラクター
ヴァイス達が行く先々で関わることになるキャラクター達。直接戦闘には参加しないが、何らかの形でパーティへ助力してくれる。また、中には当初敵として登場するキャラクターも。
- ダイン
- オーシャンを拠点に活動をする「ダイン一家」の頭目で、主人公ヴァイスの父親。自分たちよりも強大な敵に挑む姿は同業者達の間でも評価が高く、また一家を押しも押されもせぬ空賊に育て上げた実力によって部下から篤い人望を得るに至っている。リーダーとしての実力もあり、空賊の頭と同時に本拠地である空賊島の長の役目も兼任。
- クローネ
- 恋に生きる空賊。旅先で出会ったギルダーに一目惚れし、それ以来彼に自分の思いを伝えるために空を飛び回っている。空賊としての腕はかなりのもので、彼女の恋路を邪魔する者は愛船「プリムローズ」からの猛攻撃を喰らうことになる。
- サンチーム
- 青空賊「サンチーム一家」の頭目。温厚な人柄で、夫婦で空賊稼業を営む傍ら、孤児達を拾って面倒を見ている。機械いじりのエキスパートである彼は、育てている孤児達にもその技術を与え、独立させていく。「マニュファクチュア」はそんな彼の機械技術の粋を集めて作られた船で、外見からはおよそ想像もつかぬほどの実力を有する。
- ダイゴ
- 東の果ての国「ヤフトマー」を統べる国王ミカドの息子。豪快な性格で、自由を好み、宮廷を抜け出して町で遊び回ることも多い。才はあり、次期国王としての活躍が大いに期待されていたが、国の悪臣の策略にはまり謀反の罪に問われ、流刑に。しかし流刑先を拠点としていた東方空賊「テンコウ」を破り、その後その頭目に。
- ジャオ&マオ
- 東方空賊「テンコウ」の頭目であったが、それを破ったダイゴを受け入れ現在は副頭目に。「一千の武器を狩り集める」テンコウの目的のため、ヤフトマーへと到着したヴァイスらを襲撃するが破れ、その後ダイゴと共に力を貸しにやって来る。二つの船体を持つ船「イン・ヤン」を駆り、話し言葉までも二人で共用する双子。
- ピアストル
- GC版「~レジェンド」の追加キャラクターの一人。手に持つ巨大な鎌で、賞金がかけられた空賊達を片っ端から始末する賞金稼ぎ。あまりに腕が立つことから、ついには「死神のピアストル」として恐れられるようになった。ヴァイスに恨みを持ち、執拗にその命を狙う。
- ドク、マリア
- GC版「~レジェンド」の追加キャラクターの一人。船乗り島の空域に医療船を常駐させているフリーの船医で、オーシャン付近の船乗りからは「ドク」の名で親しまれている。マリアという少女を引き取り、育てているが、どういった経緯でこのような暮らしをしているのかは誰にも語ろうとしない。マリアが拾ったハマチョウのエサとなる「ムーンフィッシュ」の採集をヴァイスに依頼。
- バルボア
- オーシャン付近を拠点に活動する黒空賊「バルボア一家」の頭目。「ブラックベアード」を駆り、商船などを手当たり次第に襲撃。船を見かけては襲いかかり、奪える者は残らず奪い取る、絵に描いたような大悪人。
- ドブラ
- ノースオーシャン付近を拠点とする美食空賊。黒の空賊だが、バルボアほどの非道さはない。しかし美味しい物には目がなく、食料をたっぷり積んでいそうな輸送船などを見つけると、「ゴルゴンゾーラ」で襲いかかって食料、食材を根こそぎ奪い取っていく。「戦うことと食べることは同じ」というドブラの人生哲学のもとに害を被った人の数は多い。
[編集] バルア帝国
最大の軍事国家バルア、およびその軍事艦隊「アルマダ」に所属するキャラクター。ヴァイスらの前に敵として立ちはだかる。強大な軍事力を持つ彼らは、パーティにとって最大の強敵となる。
- テオドーラ CV:小宮和枝
- バルア帝国の女帝で、事実上バルアのトップに立つ人物。征服欲と独占欲が強い典型的な独善主義者。かつヒステリックで、自らの意にそぐわない物があることを許さない。バルア帝国の名の下に世界を征服する野望を持つ。
- ガルシアン CV:有本欽隆
- バルア帝国の軍事指揮権全てを担う護国卿。アクの強い性格が集まったアルマダ提督達を率いるほどの卓越した采配力は近隣諸国にまで轟き、バルア帝国にその人ありと言いしめるほどの希代の将。表向きにはテオドーラに従っている素振りを見せるが、根底には大きな野望を抱いている。
- アルフォンソ CV:置鮎龍太郎
- バルア帝国屈指の名門貴族の血統を持つアルマダ第一艦隊提督。特権階級意識に凝り固まった高慢な性格で、時に貴族でなければ人を人とも思わない態度をとる。家系だけで提督になったために実力は低いが、本人はそれに気づかず、帝国一の実力者であるとさえ思っている。
- グレゴリオ CV:小山武宏
- アルマダ第二艦隊提督だが、同時に皇太子エンリックの教育係も兼任。先代皇帝の代からバルアに仕える老将で、帝国への忠誠心は誰よりも強い。しかし同時に平和を愛する穏健派でもあり、帝国の軍事政策への疑問と、君主への忠誠心との板挟みに深い悩みを抱く。鉄壁の防御力を誇り、守りの戦いをさせれば帝国随一との評判が高い。
- ビゴロ CV:菅原正志
- 身の丈2メートルの全身を筋肉で武装したアルマダ第三艦隊提督。徹底した攻撃主義で「攻撃は最大の防御なり」を信条に繰り出される攻撃の破壊力はアルマダ随一。また無類の女好きとしても知られ、「男の強さは抱いた女の数で決まる」という根拠なき家訓を胸に美女を追い続けている。
- ベレーザ CV:天野由梨
- アルマダ第四艦隊の提督を務める、アルマダの紅一点。第三艦隊提督のビゴロとは正反対に頭脳戦を得意とし、情報を駆使して戦わずして勝利するのが彼女のスタイルである。幼い頃父親を戦争で失った過去から戦争を嫌悪し、「バルアが世界を統一すれば戦争はなくなる」ことを信じて帝国に仕える。ガルシアンへ想いを秘めている。
- デ・ロッコ CV:二又一成
- アルマダ第五艦隊提督と同時に、バルアの特殊兵器開発も担当。性格が歪んでおり、表面上は上司に対しへりくだった態度をとりつつも、内心では自分こそが天才で、他人は全て無能だと思っている。自分が作り出す機械には絶対の自信を持ち、それを傷つけた者は地の果てまで追いかけてなぶり殺しにする陰湿な一面も。
- ラミレス CV:緑川光
- ガルシアンに仕える護国卿副官にして、新設されたアルマダ第六艦隊の提督。ガルシアンに対し、盲信的とまで言えるほどの忠誠心を持ち、彼の覇道を遮る者は容赦なく切り伏せる。並々ならぬ剣の腕を持ち、目にもとまらぬ光速の剣技は一撃必殺の威力を持つ。実は銀の文明の民の血をひく、ファイナの幼馴染み。
[編集] @barai
本作のドリームキャスト版では通常版に加えて、ある程度まで遊べるゲームを1000円で購入し、先に進めたくなったら残りのお金を払ってインターネットからメモリーカードにデータをダウンロードして制限を解除する@barai(あっとばらい)版が販売された。@barai版を付録にしたゲーム雑誌もあった。
安く購入したソフトを体験版感覚で遊び、気に入ったら残りの代金を「後払い」するというシステムだったが、ユーザーには受け入れられず、本作と「ハンドレッドソード」の2作で採用されたのみで、2002年3月31日にサービスを終了している。