キーリ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『キーリ』は、壁井ユカコ/著、田上俊介/イラストのライトノベル。電撃文庫刊。第9回電撃ゲーム小説大賞(現・電撃小説大賞)受賞作。ドラマCDも発売されている。また、漫画家の手代木史織よって漫画化もされ、秋田書店から全二巻、発売されている。
[編集] 概要
教会の寄宿舎学校に通う14歳の少女キーリは幼い頃から霊感が強く、そのため神の存在や意義に疑問を持っていた。 冬休みの最初の日に<不死人>の青年ハ-ヴェイと、その同行者の小型ラジオの憑依霊・兵長と出会い、キーリは彼らの旅に勝手について行くことにした。
[編集] 既刊一覧
- キーリ 死者たちは荒野に眠る ISBN 4840222770
- キーリII 砂の上の白い航跡 ISBN 4840223807
- キーリIII 惑星へ往く囚人たち ISBN 4840224358
- キーリIV 長い夜は深淵のほとりで ISBN 4840226040
- キーリV はじまりの白日の庭 (上) ISBN 4840227284
- キーリVI はじまりの白日の庭 (下) ISBN 4840227799
- キーリVII 幽谷の風は吠きながら ISBN 4840231257
- キーリVIII 死者たちは荒野に永眠る(上) ISBN 4840233071
- キーリIX 死者たちは荒野に永眠る(下) ISBN 4840233896
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 登場人物
声はドラマCDでのキャスト。
- キーリ 声:中原麻衣
- 主人公。霊感が強く、霊が見えることから神の存在や教義に疑問を抱いている少女。
- 第1巻では14歳だが、最終巻では17歳に成長。幼い頃から祖母に育てられていたが、第1巻の前半では既に祖母は亡くなり、教会の寄宿舎学校に通うという設定から始まる。
- 母の名はセツリで、父親の名はシグリ・ロウ(詳細は後述)。
- ルームメイトであるベッカの悪戯から、不死人ハーヴェイと出会い、旅をする事になる。旅の中で様々な霊や不死人達と出会い、成長していく。
- ハーヴェイ(エイフラム) 声:磯部弘
- <不死人>と呼ばれる死人兵の青年。長身痩躯、赤銅色の髪と瞳を持っている。
- 本名はエイフラム。戦争時代行動を共にしていたユドとヨアヒム、ベアトリクスからはそう呼ばれている。
- 80年前の戦争で徴兵された際戦死し、その後<核>を入れられて<不死人>となった。
- 多くの人を殺したという事実と、<不死人>という立場からか、あまり人と接しようとしない(ただ、幼い頃から人と接するのに対して不器用な面はあったようだ)。口数も少なく、ぶっきらぼう。不安な時に、ライターを手の中でいじる癖がある。キーリに最初であった頃は、彼女に対しても非常に面倒くさそうな態度を取っていたが、徐々に彼女の存在が大きくなり、最終的には彼女に支えられるようになっていく。
- 全巻を通じて昔の友人であり戦仲間であるユドという失踪した男性を探している。
- 番外編パロディでは多少なりとも女性経験があることを漏らしている。
- 兵長 声:大塚芳忠
- 80年前の戦争でハーヴェイに殺された人間。本名は書かれておらず、当時の軍隊の階級だった<兵長>と呼ばれている。
- 普段はオールドの小型ラジオに憑依しており、時たまその姿を見せることがある。ラジオのスピーカーから音の塊を勢い良く放出することで、相手を攻撃できる。
- ハーヴェイを「ハーヴェイ」と呼ぶことができず、彼が「ハーヴィー」といつも呼ぶたびにキーリやハーヴェイから「ハーヴェイ」と突っ込まれている。
- キーリにとっては良き相談相手であり、ハーヴェイとの仲介役であり、保護者であり、大事な仲間。
- ラジオに憑依して街々を転々としているあいだ、長期間暗い地下に置かれていたことがあり、それがトラウマで密かに暗所恐怖症。本人にとって屈辱的な弱点であり、言うと怒る。
- ベアトリクス
- ハーヴェイ同様<不死人>の女性。第3巻以降登場する。ベッカに似た美しい容姿を持つ女性。美しい金髪と知的なアイスブルーの瞳を持っている。
- 昔、トゥールースという街に住んでいたころ、魔女狩りと称して街の人間に火あぶりにされかけた過去を持つ。その事件は<トゥールースの大火>と呼ばれ、ベアトリクスの心に影を落としている。
- 最初はキーリの事を警戒していたが、最終的には彼女に支えられるほど彼女を信頼するようになる。
- 生前、早くして両親をなくしたベアトリクスは、それをきっかけに兵隊になった。年の少し離れた弟もいた。
- ヨアヒム
- ハーヴェイ同様<不死人>である男性。第1巻に一度登場した後、第5巻から再び登場する。長身痩躯、青灰色の瞳を持っている。
- 登場するたび、キーリを自分の物にしようとする行動ばかりとるが、結局のところハーヴェイが羨ましいという気持ちから出た行動(第8巻最後に記述)だった。
- ハーヴェイとは小学校時代の同級生で、戦争時代は戦場を共にしている。しかし非常にハーヴェイとは仲が悪く、小学校時代から諍いがあったが、それはハーヴェイとヨアヒムが、性格などに似ている所があるからだと思われる(第6巻で、そのような表現がある)
- セツリ
- キーリの母親であり、シグリ・ロウの妻。しかし、ある日の礼拝で、教会の長老が謎の転落死を遂げ、その責任をかけられ教会を去った(存在も教会から抹消される)その原因は、キーリが霊感を持っていたために、長老を転落させた霊に声をあげて笑いかけていたため、キーリが長老を殺した悪魔の子と誤解されたからだと思われる。その後ユドと出会い、彼と共にキーリを連れてイースタベリへと向かう船旅の途中、不死人狩りに巻き込まれて死亡した。
- 第2巻では、霊体として登場する他、同巻の中でセツリと別れる過去を垣間見る時、また第8巻でセツリがシグリと別れるいきさつを垣間見るとき等に登場する。
- 性格は非常にキーリと似ており、外見も酷似。共に行動していたユドとの関係は、キーリとハーヴェイの関係にも似ている。
- シグリ・ロウ
- キーリの父親であり、セツリの元夫。現在は教会のトップである<十一聖者>の一人。
- シグリ・ロウはちょうど<十一聖者>のうちの一人が亡くなり、その欠けた席の第一候補に挙がっていた時、長老の謎の転落事故が起きた。
- セツリとキーリ、そして<十一聖者>の座を天秤にかけられ、シグリは後者を取りセツリを見捨ててしまう。そのため、第8巻ではキーリと再会するも彼女との間には大きな溝が出来てしまっていた。しかし、最終巻でキーリがシグリを赦し、2人の仲は元に戻った。
- ユド
- ハーヴェイやヨアヒムが不死人になるよりずっと前、戦前に化石資源から作られた不死人。砂色の髪と瞳を持っている。
- ユド、という名は聖書の中で救い主を裏切ったものの名前だが、それを彼は自ら名乗った。
- ユリウス(ユーリ)
- 第2巻から登場する、キーリ同様<十一聖者>を父に持つお坊ちゃま。書類上は、<十一聖者>の血筋で誕生した唯一の子供とされている(本来はキーリもそれに含まれる。)首都に住んでおり、ストーリー後半はハーヴェイやキーリに大きく貢献する。
- キーリに淡い恋心を抱いている少年。
- ベッカ 声:南央美
- キーリが寄宿舎学校に通っていた頃のルームメイト。本編での登場は第1巻のみ。たった1話だけの登場にも関わらず、多くの読者から人気を集めている。
- 電車事故によって亡くなった少女の霊で、キーリにしか見えない。しかし、寄宿舎学校の中では唯一ともいえるキーリの親友だった。そのため第2巻以降も、巻頭のオープニング等でキーリが彼女に手紙を書くという姿が幾度も見られ、キーリにとっていかに大事な存在だったかがうかがえる。
以上で、作品の核心的な内容についての記述は終わりです。
電撃ゲーム小説大賞
|
||||||||
第8回
|
キーリ 死者たちは荒野に眠る
|
第10回
|
||||||
大唐風雲記 洛陽の少女
|