ソニック (列車)
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ソニック(Sonic)とは、九州旅客鉄道(JR九州)が博多駅~中津駅・大分駅・佐伯駅間を鹿児島本線・日豊本線経由で運行するエル特急の愛称。日中は博多駅~大分駅間で毎時上下各2本を確保しており、同区間を2時間1分で結んでいる。
[編集] 運行概況
列車の沿革にもあるとおり、当初は「にちりん」の博多駅~大分駅間の速達列車であり、列車名も「ソニックにちりん」を名乗っていたが、1997年に883系電車の増備に伴い、博多駅~大分駅間の「にちりん」は全て「ソニック」に改称(ただし当時1往復は485系電車を使用)。その後、883系の「ソニック」と485系の「にちりん」では速度の格差が生じることから、2000年に「にちりん」の一部を「ソニック」と延岡駅発着の「ひゅうが」に分割。さらに2001年には振り子車両の885系電車(「白いソニック」)を投入し(ただし、885系での運転自体はすでに「白いかもめ」車両でなされていた)、合わせて「にちりん」を博多駅から小倉駅発着に変更したことで、「ソニック」は現在の毎時上下2本体制となった。
現在では多くの「にちりん」の運転区間が別府駅以南と短縮されたため、従来の「にちりん」に代わり小倉駅において山陽新幹線との連絡を行う。また別府駅・大分駅において「にちりん」と接続し、宮崎方面とも連絡しており、別府以北と大分以南とを直通する旅客への便宜を図って、別府駅または大分駅において「にちりん」と「ソニック」を乗り継ぐ場合特急料金を通算する特例が設けられている。
朝夕の混雑が激しい特急列車でもある。特に5両編成の列車はデッキまで乗客があふれることが多く、カーブで転倒する人がいるなど問題も多い。増結や増発、普通・快速列車の増発などが慢性的に遅れていることに加えて、特急への誘導が混雑を生んでいる。
中でも博多駅~小倉駅間では新幹線や高速バスとの対抗策として割引きっぷ(1枚あたり普通運賃より安いものもある)を発売している事や、新幹線が通らない黒崎駅や折尾駅からの利用客も多い事から、終日混雑が激しい。
西小倉駅~小倉駅間は重複運転をするため、上り下りを問わず小倉駅からは進行方向が逆になる。このため、小倉駅に到着する直前には、座席を逆方向に転換するよう促す車内放送が流れる。
- 運転区間
- 博多駅~佐伯駅(2往復)
- 博多駅~大分駅(27往復)
- 博多駅~中津駅(2往復)朝・夕のみの設定で100番台の番号が与えられている。
この他に、多客期には小倉駅~大分駅間の列車が増発される。本数は時期によって異なる。
- 停車駅
路線名 | 駅名/ 列車名 |
佐伯発着 | 大分発着 | 中津発着 |
---|---|---|---|---|
鹿児島本線 | 博多駅 | ● | ● | ● |
吉塚駅 | | | ○ | ○ | |
香椎駅 | ○ | ○ | | | |
福間駅 | | | | | ○ | |
東郷駅 | | | | | ○ | |
赤間駅 | | | ○ | ● | |
折尾駅 | ● | ● | ● | |
黒崎駅 | ● | ● | ● | |
八幡駅 | | | | | ○ | |
戸畑駅 | ○ | ○ | ● | |
小倉駅 | ● | ● | ● | |
日豊本線 | ||||
下曽根駅 | ○ | ○ | | | |
行橋駅 | ● | ● | ● | |
宇島駅 | ○ | ○ | ● | |
中津駅 | ● | ● | ● | |
柳ヶ浦駅 | ○ | ○ | ||
宇佐駅 | ○ | ○ | ||
杵築駅 | ○ | ○ | ||
亀川駅 | | | ○ | ||
別府駅 | ● | ● | ||
大分駅 | ● | ● | ||
鶴崎駅 | ● | |||
幸崎駅 | ○ | |||
臼杵駅 | ● | |||
津久見駅 | ● | |||
佐伯駅 | ● |
※●:全列車停車 ○:一部列車停車
- 編成内容
※883系電車で運転する列車について、この字体で記した列車は、土曜・休日は所定5両の列車が7両、所定7両の列車が5両として運転される。
- 883系電車5両編成(3・15・21・25・37・43・47・57号、8・14・18・30・36・40・50・56号)
大分・博多← | →小倉 | |||
1 グ指 |
2 指自 |
3 自 |
4 自 |
5 自指 |
- 883系電車7両編成(5・9・11・13・27・31・33・35・49・53・55・103号、2・4・6・20・24・26・28・42・46・48・52・102号)
大分・中津・博多← | →小倉 | |||||
1 グ指 |
2 指 |
3 指 |
4 自 |
5 自 |
6 自 |
7 自指 |
- 885系電車(1・7・17・19・23・29・39・41・45・51・101号、10・12・16・22・32・34・38・44・54・58・104号)
佐伯・大分・中津・博多← | →小倉 | ||||
1 グ指 |
2 指 |
3 指 |
4 自 |
5 自 |
6 自指 |
号車番号がこの字体→禁煙車 この字体→喫煙車
※指定席が自由席となる場合は以下の通り。
- 1号及び39号以降の下り列車において、883系7両編成での3号車、885系での3号車。
- 57号の2号車指定席部分(土曜・休日は2・3号車)。
- 中津駅発着列車(100番台)において、1号車以外の指定席車。
- 上り列車の小倉駅~博多駅間において、1号車以外の指定席車(この場合は空いている指定席を自由席として開放するため、指定券を持っている客が優先)。
※883系5両編成の列車については編成に予備がないため、異常気象時などは783系電車で運転される場合がある。この場合、グリーン車→1号車A室、指定席→1号車B室・2号車A室・5号車B室、自由席→2号車B室・3・4号車・5号車A室となる。
[編集] 沿革
- 1995年4月20日:「にちりん」のうち博多駅~大分駅間運転の一部列車において883系電車「ソニック」を使用し、当該列車の愛称を「ソニックにちりん」に変更。(車両は改正前の3月から使用)。
- 1997年
- 1999年3月13日:博多駅~大分駅間最速1時間59分での運転を開始した。また通勤・通学需要に対応し中津駅発着列車を設定した。この列車は100番台を与えられている。
- 2000年3月11日:佐伯駅発着列車を設定。下曽根駅などにも停車するようになった。485系電車に代わり885系電車(「白いかもめ」用6両編成)および783系電車(ハイパーサルーン)運転開始。
- 2001年3月3日:「ソニック」用に新造された885系電車(5両編成)運用開始。「白いソニック」との通称が与えられる。これに伴い「白いかもめ」と783系電車は撤退。また、この改正で「にちりん」が基本的に小倉駅発着になった関係で「ソニック」は大幅に増発され、小倉駅~大分駅間では時間によって1時間に特急が片道3本(「ソニック」2本・「にちりん」1本)運転されるようになった。
- 2003年3月:「にちりん」は一部を除いて別府駅発着になり、「ソニック」は別府駅・大分駅で「にちりん」と接続するようになった。これに伴い、「ソニック」と「にちりん」において特急料金の通算を設定。なお、この改正と同時に「白いソニック」は6両編成となり、「白いかもめ」車両と共通運用になった。
- 2004年4月:大分駅~佐伯駅間での車内販売を中止した。
- 2005年10月1日:途中駅の停車時間は30秒を原則としたため、博多駅~大分駅間の最速列車の所要時間は2時間1分となった。
[編集] 関連事項
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