トヨタ・ウィッシュ
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ウィッシュ (Wish) はトヨタ自動車が生産しているミニバン型乗用車である。
全幅が1.7メートル以下の「5ナンバーサイズ」を基本とする3列6-7人乗りのミニバンである。
販売面においては、イプサムが2代目へのフルモデルチェンジで大型化した事によりその後継を担う目的も与えられているが、初代イプサムとはエンジンの排気量が異なるほか、初代イプサムが「ファミリー」を重視したのに対しウィッシュは「スポーティ」を多く取り入れた内外装やグレード構成にするなど両車種の違いは少なくない。そのため、トヨタではイプサムの後継車種ではないと説明している。
当初は日本国内専用車だったが、タイ王国、台湾でも現地生産されている。
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[編集] グレード構成
グレード構成はベーシックな”X”、上級の”G”を基本に、トップモデルとして、2リットルモデルにオーバーフェンダーと17インチタイヤ、シーケンシャルCVTを与えた、スポーティな”2.0Z”を据える。「2.0Z」はオーバーフェンダーによって幅が1700mmを超えるため、その他のグレードが5ナンバーなのに対して、3ナンバーとなっている。また1.8Lモデルにはスポーティグレードの”Sパッケージ”(2005年9月のマイナーチェンジで”Aero sportsパッケージ”に名称変更)、廉価グレードの”Eパッケージ”が設定されている。
[編集] スタイル・機構
エンジンは当初、1ZZ-FE型 1800cc (132ps) のみだったが、同年4月には1AZ-FSE型 2000cc D-4(155ps) が搭載された。 トランスミッションはオートマチックトランスミッションのみで2リットルのFFモデルにCVTを、1.8リットルFFモデル及び、4WDモデルには4ATを組み合わせている。
プラットホームはプレミオ、アリオンの物をベースに、ホイールベースを延長するなどの改良がされた。
スタイリングを重視した結果、スライドレールによりデザインに制限が出るスライドドアは採用せず、後席ドアも前席ドアと同じ前ヒンジドアになっている。
三角窓がある。
[編集] 歴史
2002年 東京モーターショーでウィッシュを参考出品。翌年の2003年1月に販売開始。
2003年 5月に2000cc&CVTモデルを追加
2005年9月にマイナーチェンジを行い、フロントのエンブレムをネッツ店専売車種向けの"N"をかたどったものに変更するなど内外装のリフレッシュ、メカニズム関連の見直しともにカーナビをG-BOOK ALPHAやBluetoothハンズフリー機能、ヘルプネットなどに対応したHDDタイプに変更するなどの大幅な改良を行う。
2006年4月17日に特別仕様車X“Limited”が発売された。
2006年5月30日に生産台数の約8割の30万314台がハンドル操作不能に陥る恐れがあるとしてリコールされる。
[編集] ウィッシュの日本国外での人気
ウィッシュは、2003年末ごろより、日本仕様車を中心に、香港・シンガポール・マレーシアといった国々へ並行で輸出されている。
[編集] ウィッシュの評価と売り上げ
ウィッシュのボディサイズは、2000年にデビューしてヒットしていたミニバン、ストリーム(ホンダ)のそれと全長、全幅、全高すべてが1mm違わず同値であり、コンセプト、デザインなども酷似(=パクリ)している意見もあった。 この点に関してトヨタ自身が認めたため、一部では非難の的にもなった。ただし、ストリームの良い点は参考にし、負の点は改善するなど研究もしっかり進んでおり、ストリームに比べ約5cm長いホイールベースにより居住性、使い勝手ではウィッシュの方が優る。さらに、内外装のデザインも洗練されており、多くのトヨタ車に共通するしっかりとした造り込みも健在である。
また、ウィッシュに対抗するためにストリームが大掛かりなマイナーチェンジを敢行したが、大規模な意匠変更が仇となって好みが分かれてしまったことなどもあって、実際の売り上げではストリームを遙かに上回るヒットを記録している。これに伴い、トヨタお得意の人気車潰しの手法の代表格と呼ばれる一因になった。
派生車種のアイシスが発売され、他社からはラフェスタ(日産)などの強力な競合車種も相次いで発売されているが、そんな中にあっても好調な売り上げを保っている。