トヨタ・クレスタ
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クレスタ (CRESTA) は、トヨタ自動車で生産されていた高級中型乗用車であり、マークIIとチェイサーの姉妹車である。生産期間は1980年から2001年(GX50型~JZX100型)。のちにチェイサーと統合されヴェロッサとなった。
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[編集] 概要
初代は姉妹車と同じ4ドアピラードハードトップとして登場し、ボディやエンジンは上記の2車と共通している。2代目以降は、マークIIとチェイサーがビラードハートトップだったのに対し、セダンとして発売されていた。(3代目の80系以降プレスドアを採用)
また、X100系では他の姉妹車には5速MTが設定されているのに対し、クレスタは全車ATのみの設定である。グレード名はノーマルが「スーパールーセント (SUPER LUCENT) 」、スポーツモデルは80系までは「GT」、90系は「ツアラー (TOURER) 」、最終モデルの100系は「ルラーン (Roulant) 」と何度も変更された。後継車種であるヴェロッサも現在は生産終了している。
GX70系からGX80(JZX80)系は、ハイソカーブームでマークIIと共に女性からも人気だったが、クレスタは初代ソアラと共に暴走族に好まれた。
乗りつぶし車として有名であり、ほとんどのオーナーが廃車まで手放さない車としても有名で、特に初代やターボモデルなど、中古市場でプレミアが付くほどの人気を誇っている。走行距離が低いと定価ほどで売られることもあるほど。現在クレスタオーナーからクレスタ再発売の要望は高い。
[編集] 歴史
[編集] 初代(X50・X60系 1980年-1984年)
1980年3月に登場。新設されたトヨタビスタ店の最高級車種であった。角目4灯ヘッドライトやスクエア・カットのテールライトを持ち、当時としてはスタイリッシュな4ドアピラードハードトップとして登場した。マークII・チェイサーの実質的な姉妹車ではあったが、クレスタはドアパネルを共用するのみで、他の姉妹車よりも高級なイメージを持っていた。7ヶ月後にマークII・チェイサーも初代クレスタに追従するフルモデルチェンジを受け、マークII3兄弟が完成することになる。エンジンは従来のM系に代わる新開発の直列6気筒1G型を初めて搭載した。キャッチコピーは「クレスタ、なんと私的なクルマだ」。
1981年10月、SOHCターボ(M-TEU型)搭載車を発売。
1982年8月、マイナーチェンジ。角目4灯のヘッドライトは角目2灯に変更。1G-GEU型エンジン (160ps ツインカム24) 搭載車を発売。上級グレードに設定されたツートンカラーが絶大な人気を得て、若い世代の高級車指向を一気に推し進める結果となった。キャッチコピーは「男は、最高のものを独占したい」。
1983年2月、1G-GEU型エンジン搭載車に電子制御オートマチック (ECT) を設定。
前期・後期通してCMソングはボズ・スキャックス (Boz Scaggs) の「You Can Have Me Anytime」(邦題:トワイライト ハイウェイ)。
なお、初代から3代目まで一貫して「トヨタの最高級パーソナルセダン」というキャッチコピーが用いられた。
[編集] 2代目(X70系 1984年-1988年)
1984年8月登場。この代からはサッシュドアを採用した一般的なセダンとなった。姉妹車であるマークIIセダンが6ライトウインドウを採用しているのに対し、クレスタは4ライトの端正なスタイルを持つ。角型4灯ヘッドライトやスクエア・カットのテールライトなど先代から受け継がれたスマートなイメージを残しつつ、より豪華な内外装となった。姉妹車であるマークIIと共にハイソカーブームに乗り、当のトヨタが驚くほど先代以上に大ヒットを記録している。中古車市場では同年式のマークIIよりも高い値で売られていたこともあった。キャッチコピーは、「クレスタの新しい挑発が始まる」。
初期のCMソングはジョージ・ウィンストン (en:George Winston) の「Longing/Love(邦題:あこがれ/愛)」(アルバム「オータム」に収録)。 発売当時、この曲の印象的なメロディーと共にOAされ、これがきっかけで曲の認知度も大幅に上がることになる。
1986年8月 マイナーチェンジ。外装の変更と装備の充実が図られた。キャッチコピーは「彫り深き気品」。
ちなみに、米国で販売されていたGX71系CRESSIDA(クレシーダ)(マークIIセダンの輸出仕様)のフロントマスクは、GX71系クレスタのフロントマスクに角型2灯ヘッドライトを組み合わせたものだった。
前期・後期共に山崎努がイメージキャラクターを務めた。
[編集] 3代目(X80系 1988年-1992年)
1988年8月登場。初期のCMキャッチコピーは、「私の場合、クレスタでなければならない。」「心の貴族」。
この代からプレスドアが採用されると共に丸みを帯びたデザインとなり、数々の豪華装備やエレクトロニクス技術も満載された。バブル絶頂期ということも手伝ってか、初代や2代目を上回る大ヒットを見せ、マークIIとチェイサーを含めた販売台数は歴代1位を記録している。発売開始から18年を経過するが、現在の道路でも見かけることが多い車のひとつである。
1989年8月には3000cc(7M-GE)車(3.0スーパールーセントG)が追加される。従来からの4輪ESC(ABS)の他にTRCも標準で装着された。
1990年8月のマイナーチェンジ時には、マークII・チェイサー同様に2500cc(1JZ-GE)車が追加される。キャッチコピーは「静かに満ちてくるもの」「優れて私的なできごと」。なお「トヨタの最高級パーソナルセダン」のキャッチコピーはこの代まで使われた。こちらも先代同様山崎努がCMキャラクターを務めた。
ちなみに、初代から3代目まで長期に渡ってCMに出演していた山崎努は、実際にクレスタを長年愛用していたという。
[編集] 4代目(X90系 1992年-1996年)
1992年10月登場。車体が大型化し、マークII・チェイサーともども3ナンバー化される。CMキャラクターには写真家の浅井慎平が採用された。
1994年9月、マイナーチェンジ。
[編集] 5代目(X100系 1996年-2001年)
1996年9月登場。CMには過去に日産・ブルーバードのCMに出ていた沢田研二、玉置浩二、高橋幸宏が出演し、ローリング・ストーンズの「TIME IS ON MY SIDE」を演奏した。キャッチコピーは「それは、セダンという生き方」。
先代では、3兄弟同様ツアラーシリーズ(ツアラーV・ツアラーS・ツアラー)がトップモデルであったが、この型のクレスタのみがルラーンに名称変更され、スポーティモデルも先代ではMTも用意されていたが、クレスタはATのみとなっている。 中古車市場ではATのみの設定であるが、MT車へ改造したクレスタも存在する。
スタイリングは全盛期のX70系・80系を思わせる直線基調としながらも、4代目ビスタに似たテールランプや小型グリルなどが採用されたことで、同様に直線基調としたマークIIや、歴代で最もスポーティーなイメージとなったチェイサーに比べ、どこかチグハグな印象を与えるものとなってしまった。そのためか販売は不振だったようである。
1998年8月 マイナーチェンジ。グリルが大型化され、テールランプが横基調に改まったことにより、見栄え格段に良くなった。2.0(1G-FE)車もVVT-iを採用し、走行性能も向上している。CMには新たに原田芳雄を起用し、カジュアルなイメージが排除された落ち着いたものとなった。キャッチコピーは「高い意思を持ったセダン」「私のクレスタ」。
2001年に生産を終了した。
藤沢とおるの漫画「GTO」でも登場し、主人公の鬼塚に何度も西部警察もびっくりのスタントや水没・転落・炎上と散々壊された内山田教頭の愛車は、このモデルのスーパールーセント。色はパールホワイトマイカ。ドラマ版ではスポンサーの関係からメルセデス・ベンツだった。
[編集] その他
5代目のX100系は、全日本プロドリフト選手権(D1グランプリ)にマークII・チェイサーと共に出場している。