トリスタンとイゾルデ (楽劇)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
クラシック音楽 |
---|
作曲家 |
ア-カ-サ-タ-ナ |
ハ-マ-ヤ-ラ-ワ |
音楽史 |
古代 - 中世 |
ルネサンス - バロック |
古典派 - ロマン派 |
近代 - 現代 |
楽器 |
鍵盤楽器 - 弦楽器 |
木管楽器 - 金管楽器 |
打楽器 - 声楽 |
一覧 |
作曲家 - 曲名 |
指揮者 - 演奏家 |
オーケストラ - 室内楽団 |
音楽理論/用語 |
音楽理論 - 演奏記号 |
演奏形態 |
器楽 - 声楽 |
宗教音楽 |
メタ |
ポータル - プロジェクト |
カテゴリ |
『トリスタンとイゾルデ』 (Tristan und Isolde) は、リヒャルト・ワーグナー(ヴァーグナー)の三幕の舞台音楽であり、1857年から1859年にかけて作曲された。一般に楽劇とされているが、本来はワーグナー唯一の無銘の作品である。ワーグナーは、この作品の主要な部分について ゴットフリート・フォン・シュトラスブルク(Gottfried von Strassburg) の騎士道本から引いており、また、音楽的な部分ではあらゆる音楽の頂点に達したといえる。なかでも前奏曲の冒頭に現れる調性の曖昧な和音はトリスタン和音と呼ばれ、従来の機能和声の枠を超えた大胆なものである。前奏曲と最後のイゾルデのアリア「愛の死」は演奏会でもよく演奏される。
[編集] 登場人物
- トリスタン(Tristan) (テノール)
- マルケ王(Marke) (バリトン)
- イゾルデ(Isolde) (ソプラノ)
- クルヴェナル(Kurwenal) (バリトン)
- メロート(Melot) (テノール)
- ブランゲーネ(Brangane) (メゾ・ソプラノ)
- 牧人 (テノール)
- 舵手 (バス)
- 若い水夫の声 (テノール)
[編集] 筋書き
前奏曲:極めて画期的内容を持っている。チェロの斉奏で開始される。前奏曲は一応a-mollをとっているが、音楽学者のローレンツは、全曲はE-durを基調としている、と断じている。この前奏曲の画期的な点は、a-mollのドッペルドミナント(五度上の五度の和音)で始まり、五度の和音に解決している点である。更にその後C-durに転じ、a-mollに戻っている。このような始まり方は前例がなく、また極めて調性が曖昧なため、無調音楽の先駆と言われている。これはトリスタン和音と呼ばれている。更にこの前奏曲で呈示されるいくつかの動機(特にワーグナーの編み出したライトモティーフである)(「憧れの動機」や「宿命の動機」など)は、全曲に非常に大きな意味を持っている。
第一幕 船。トリスタンは、イゾルデとの婚姻を目論むマルケ王の使いとしてアイルランドからコーンウォールへの彼女の移送の任務を負わされる。イゾルデとその侍女のブランゲーネはカーテンで仕切られた船の中央に座っている。イゾルデはトリスタンがかつて彼女が看病した傷ついた騎士であることに気づく。しかも彼は彼女の許婚マロルドを殺した仇であった。彼女は恋と憎しみの間をさまよった末、トリスタンを殺して自分も死ぬため、ブランゲーネに毒薬を作らせる。魔術に通じたイゾルデの母はブランゲーネに薬の調合を教えたのであった。ところが出されたのは毒薬でなく媚薬であった。2人は突然惹かれ合い、愛の法悦に浸る。
第二幕 マルケ王の城。トリスタンとイゾルデは、狩りに出た王の留守中に密会を図る。ブランゲーネは逆心を懐くメロートが王に密告しないよう注意を促すが、2人は愛の語らいを延々と続ける。忠臣クルヴェナルが王の帰還を知らせるが、時すでに遅くメロート、続いて王が現れる。しかし王はメロートの不実を責め、トリスタンはメロートに対し剣を抜くが、敗れて負傷する。
第三幕 ブルターニュにあるトリスタンの城。クルヴェナルは傷ついたトリスタンを連れ帰っていた。傷は悪化し、クルヴェナルはイゾルデに使いを送る。牧人が城壁に立ちイゾルデの船が着くのを待ち、笛で到着を知らせる。トリスタンは最後の力を振り絞って彼女に近づいて名を呼び、彼女の腕の中で死ぬ。マルケ王は2人の仲を許すため彼女を追って来ていたが、クルヴェナルはメロートと戦い相討ちとなる。イゾルデもトリスタンの後を追って死に、後に王が残される。
[編集] 関連
- トリスタンとイゾルデ (トリスタン物語)