ドイツのボードゲーム
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ドイツのボードゲームとは、ドイツで作られるボードゲームを指し、現代の世界のゲームの一つの潮流を示すキーワードである。
1980年代以降、世界中でコンピューターゲームが席巻しているように見えるが、昔ながらの「紙とコマ」で遊ぶタイプのボードゲームも、依然として受け継がれ、活発に遊ばれている。世界的に見ると、ドイツが最もボードゲームの盛んな国と言える。
ドイツでは、年間数百のゲームが新たに発売される。
本項で述べる「ドイツのボードゲーム」とは、ドイツ人の作者、あるいはドイツのメーカーによるものが中心だが、必ずしもこれに限定せず、周辺のフランス・オランダ・イギリス、あるいはアメリカや日本製の(下記の特徴を持つ)ゲームも視野に入れて語られる場合が多い。
あるいは、狭義の「ボードゲーム」にとどまらず、(形状で分類すると)カードゲーム、ダイスゲーム、立体ゲームといったゲームも含む。
重要なゲームの賞として、ドイツ年間ゲーム大賞(Spiel des Jahres)、ドイツゲーム大賞(Deutscher Spielepreis)がある。
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[編集] 特徴
「ドイツのボードゲーム」は、一般に以下のような特徴を持つ。(当然、例外も多数ある)
- 最大の特徴は、対象を子供から大人までとする、いわゆる「ファミリーゲーム」を指向している点である。この点に関連して、具体的には以下の特徴を持つ。
- ルールが比較的簡単。その場で説明してすぐ遊べる程度。
- プレイ人数は2人のものもあるが、3人~6人程度の多人数ゲームが多い。4人までを対象にするゲームでは、2人用の特殊ルールの設定がなされるものが多い。人気ゲームでは4人より多人数でプレイするための拡張キットが発売されることがある(例:カタンの開拓者たち)。
- プレイ時間は、短いもので数分。長いもので60分からせいぜい90分程度。
- 運と技術の両方が適度に必要。つまり、単純な双六のように運だけによるゲームはほとんどなく、囲碁や将棋のようなアブストラクトゲームによく見られる、運の要素を排除したゲームも少ない。従って、初心者や子供でも勝つことができ、また、習熟することにより勝ちやすくなるという上達の要素もある。
- 子供でもできるが、いわゆる子供だましではなく、大人でも(大人同士でも)十分楽しめる内容である。
- 対象年齢は、4歳から、6歳から、8歳からなど、細かく設定されている。
- ゲームのコンポーネント(実体)はしっかりとした造作となっており、板状のボード、(多くは木製の)コマなどが用いられる。造形デザインや描かれるイラストもレベルが高い。
- ゲームのデザイナー(作者)が意識され、パッケージに明記されることが多い。人気デザイナーも多く、デザイナーの名前が売り上げにも影響する。
- 日本で購入する場合、2000円~7000円程度と、比較的高価である。
[編集] 代表的なデザイナー
- ライナー・クニツィア(Reiner Knizia、ドイツ)
「アメン・ラー」「チグリス・ユーフラテス」「ロストシティー」「砂漠を越えて」「ラー」「サムライ」 - ヴォルフガング・クラマー(Wolfgang Kramer、ドイツ)
「6ニムト!」「エルグランデ」「ミッドナイトパーティー」「ティカル」「トーレス」「アンダーカバー」 - クラウス・トイバー(Klaus Teuber、ドイツ)
「カタンの開拓者たち」「貴族の務め」「ドリュンター・ドリューバー」「バルバロッサ」 - アレックス・ランドルフ(Alex Randolph、アメリカ)
「ガイスター」「ハゲタカのえじき」「ザーガランド」「イースター島」 - アラン・ムーン(Alan.R.Moon、イギリス)
「エルフェンランド」「ユニオンパシフィック」「カピトール」「アムレット」 - シド・サクソン(Sid Sackson、アメリカ)
「アクワイア」「キャントストップ」 - シュテファン・ドーラ(Stefan Dorra、ドイツ)
「バケツくずし」「1号線で行こう」「ラッツィア」 - ミヒャエル・シャハト(Michael Schacht、ドイツ)
「王と枢機卿」「ジャンク」「パリス」「コロレット」 - ハインツ・マイスター(Heinz Meister、ドイツ)
「オールザウェイホーム」「ザップゼラップ」「ディスクショット」
[編集] 代表的な作品
ボードタイプ
カードタイプ
- バトルライン
ボードゲーム、ドイツ年間ゲーム大賞、ドイツゲーム大賞記事中での紹介リストも参照のこと。
[編集] 日本の状況
日本では、1980年代以降ボードゲームの販売と言えば、人生ゲーム程度しかない状況が続いていたが、近年ドイツゲームの販売が見られるようになってきている。
- 2002年 カプコン社より「カタン」(カタンの開拓者たちのリメーク)「指輪物語」発売
- 2002年 エポック社より「NDSG(ノンデジタルストラテジーゲーム)」シリーズとして「6ニムト!」「ニューエントデッカー」「アフリカ」「ミシシッピークィーン」「エルフェンランド」が発売される。
- 2002年 ビバリー社よりブロックス発売(注:ブロックスはフランス製)
- 2003年 雄山閣社よりボードゲーム専門誌「ボードゲーム天国(パラダイス)」発売。遊宝洞が「伝説のかけら」と「仮面舞踏会」をドイツ・エッセンのボードゲームショウに出展。
- 2005年 グラパックジャパン社、新製品の「サッカーチェス」と「ワルモノ2」をドイツ・エッセンのボードゲームショウに出展。同時に国内発売。
- 2006年 バンダイ社より「盤盤ゲーム家族」シリーズの1つとして乗車券 (ボードゲーム)が「チケット トゥ ライド」の名前で発売される。