ドラグーンシステム
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ドラグーンシステムはアニメ『機動戦士ガンダムSEED』及び『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場する架空の兵器。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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[編集] 概要
ドラグーンシステム(分離式統合制御高速機動兵装群ネットワークシステム:Disconnected Rapid Armament Group Overlook Operation Network SYSTEM)はモビルスーツ(モビルアーマー)本体から分離され独立した攻撃機として機能する、オールレンジ攻撃(全周囲攻撃)と広領域戦闘性に優れた兵装である。各端末は個別に移動し標的に攻撃を仕掛け、同時に本体も攻撃に参加可能であるため、本システムを搭載した機体は単機とは思えぬ戦闘能力を発揮する。ただし、そのためには複数の端末を管制制御する必要があり、パイロットの負担は大きい。目標への全周囲攻撃を行なうには、パイロットに卓越した空間認識力が必要とされ、使用できる者は限られている (1~2基の端末を「動かす」程度ならば誰でもできる模様)。 本システムの操作に使用される入力用インターフェースは特殊なもので、三次元空間で物体の位置を瞬時に把握する能力「空間認識能力」が際立って高い人間の脳内にある物体配置を読み取り、フィードバックしつつ連携運用するという物で、それにより端末の射出・収納からビーム砲の正射まで、パイロットは自らの手足を一切使わずにシステムを操作できる。 余談だが、『機動戦士ガンダムSEED』シリーズ特殊設定担当の森田繁氏曰く、「使い方は(UCにおける)ファンネルと同じ。」とのことだ。
代表的な機体であるZGMF-X13Aプロヴィデンスには11機の攻撃用ポッドが搭載され、敵機を取り囲んで全方向からのビーム攻撃により対象を撃破する。量子通信によりニュートロンジャマーの影響下でも安定した誘導が可能であるが、かなり高度な空間認識能力(ただしこの能力を持つ者は、コーディネイター、ナチュラルのどちらかに限定はされていない)を有するパイロットでなければ、使いこなすことはできない。また、ただでさえ非常に複雑なMSの操作が更に複雑化し、本体の操縦に加えてドラグーンシステムの操縦も加わる。そのため、通常のMSの操縦に余裕があることも適性の条件に入っている。限られたパイロットしか使いこなせない問題を解決するために、ブルーコスモスは3人の人間の脳を物理的に接続し、それぞれがX、Y、Z軸を受け持つことで擬似的な空間認識能力を発揮することができるMA・ペルグランデを開発している。ペルグランデのドラグーン端末はMSのブルーフレームセカンド以上の大きさがあり、通常のドラグーンと比べでかなりの大きさである。設定画を見る限り砲門数は1基に数門あると思われるが劇中では1基1門しか攻撃していない。なお緊急時に分離するとドラグーンが使えなくなる。
劇中でドラグーンに対する適性を持つ者と確認されているのはプレア・レヴェリー、ムウ・ラ・フラガ(ネオ・ロアノーク)、ラウ・ル・クルーゼ、モーガン・シュバリエ、コートニー・ヒエロニムスである。また彼ら以外にも、キラ・ヤマトはある程度普遍化されたとはいえ適正がなければ使えないスーパードラグーンを扱っている。レイ・ザ・バレルもドラグーンを操ってはいるがプロヴィデンスザクより後に搭載されたドラグーンは第二世代のものであり、量子インターフェイスの改良により空間認識能力が低くともパイロットとしての技量が高ければ操る事が可能である。そのため、レイが本当に高度な空間認識能力があるかどうかは疑問視する声もある。しかし、レイはラウと全く同じ遺伝子を持っており、劇中でもエグザスのガンバレルを的確に迎撃しているため、適性を持っている可能性は高い。またキラとレイは適正者同士で起こすニュータイプのような描写もされている。なお、スティング・オークレーはカオスの機動兵装ポッドを操っているが、特に優れた空間認識力がなくとも2基程度のドラグーン端末であればパイロットの技量次第では扱える。よってスティングに適性があるか定かではない。
なお、ガンバレル搭載機としてTS-MAmod.00メビウス・ゼロが有名であるが、この機体は量子通信機の実用化以前に開発されたため、ポッドの誘導方式は無線式ではなく有線式である。メビウス・ゼロ当時はガンバレル技術が発展途上であったため、後に開発されたドラグーンシステムより機動性に劣っていたが、その後の改良の成果によるものか、ガンバレルストライカー、エグザスの頃になると、ドラグーンに迫るほどの性能を見せるようになった(有線式であるため、ケーブルが切断してしまうと操作不能になる点は変わりない)。 後にドラグーンは改良されて、ある程度の普遍性を得、旧世代ドラグーン操作に必要とされていた程の空間認識能力が無くとも、通常よりも高い空間認識能力があれば扱えるようになり、この技術がストライクフリーダムのEQFU-3Xスーパードラグーン機動兵装ウイング、プロトカオスのドラグーン仕様EQFU-5X機動兵装ポッドに使用されている。そしてカオスの実用化を経て、プロヴィデンスザクの第2世代ドラグーンは比較的容易に運用可能なドラグーンシステムへと進化を遂げている。レジェンドのドラグーンシステムはその集大成であり、デュランダルによれば誰でも操作が可能とのこと。しかし、その性能を発揮しきれるかどうかはパイロットの技量次第である。
レジェンドやストライクフリーダム、アカツキに搭載されている攻撃端末は無重力下のみならず1/6Gの月面でも問題なく使用されていたことから、ある程度の自力飛行能力があるものと思われる。ただし、大気圏内では重力の関係で、地球上でドラグーンは使用出来ない。この他、本システムは攻撃手段としてだけではなく、使い方次第ではその遠隔操作能力を生かした無人機の操作にも応用できる。実現することはなかったが、ZGMF-X56Sインパルスの分離合体システムの最終形は全てのパーツをドラグーンシステムで制御し、より迅速な運用を可能にすることであった(通称:ドラグーンフライヤー)。
月面を含む宇宙空間では無敵ともいえる兵器だが、攻撃対象のパイロットがエースだったり、ドラグーンの適性があると話は違ってくる。キラ・ヤマト、カナード・パルス、ラウ・ル・クルーゼ、レイ・ザ・バレル、シン・アスカ、アスラン・ザラ、ムウ・ラ・フラガ、叢雲劾、イライジャ・キール、イルド・ジョラールがオールレンジ攻撃に対して回避・防御などの対応が出来ている。この内、ドラグーンの端末を捕捉して撃墜出来た者はキラ、カナードの2名で、機動力がドラグーンより劣る機動兵装ポッドやガンバレルを破壊したのはアスラン、レイ、ラウ、イルドの4人である。なおドラグーン装備のMSを初見で落としているのはキラだけである。エースの中のエースでも初見で撃墜することが難しい。しかしドラグーンやガンバレルにのみ特化した機体だと、攻撃ユニットを全て掻い潜られて接近されたり、落とされると攻撃手段をほぼ失ってしまう。実際に劇中に於いてムウの駆るメビウス・ゼロがラウのシグーやジンに接近を許したために度々戦線を離脱している(メビウス・ゼロにはリニアガンも装備されているが接近戦での使用は難しい)。これを回避するために、プロヴィデンスやレジェンドは機体本体にも高い戦闘能力が備わっており、仮にドラグーンを全て切り抜けられて本体に接近を許しても、撃退可能になっている。 ガンバレルストライカーやアカツキでは、ドラグーンが換装タイプのバックパックに装備されている。特にガンバレルダガーは戦闘中にガンバレルを失った際、新しいガンバレルストライカーを母艦から発進させ、換装するという戦法を見せている。 また、カオスやストライクフリーダムの場合は、機体本体にも多数の敵を圧倒するだけの火器が装備されており、実際にドラグーンユニットが可動砲台として使えない重力下でも多大な戦果をあげている。ちなみにレジェンドは、ドラグーン端末を可動砲台として運用することも可能である。
余談ながら非常に高い空間認識能力を持つ者は、宇宙世紀で言う所のニュータイプの様な描写で描かれている。そのため、ファンの間では空間認識能力を持つ者=ニュータイプという定義が出来上がりつつある(既にガンダムウォーでは、ムウ・ラ・フラガなどはニュータイプ扱いとなっている)。
[編集] ドラグーン・システムを搭載している機体
- YMF-X000A ドレッドノートガンダム
- ZGMF-X13A プロヴィデンスガンダム
- TSX-MA717 ペルグランデ
- GFAS-X1 デストロイガンダム
- ORB-01 アカツキ
- ZGMF-X20A ストライクフリーダムガンダム
- ZGMF-X24S カオスガンダム
- ZGMF-X666S レジェンドガンダム
- ZGMF-X3000Q プロヴィデンスザク
[編集] ガンバレル
- TS-MAmod.00 メビウス・ゼロ
- AQM/E-X04 ガンバレルストライカー
- TS-MA4F エグザス