ファイティング・ファンタジー
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ファイティング・ファンタジーは、スティーブ・ジャクソンとイアン・リビングストンにより創始されたゲームブックのシリーズであり、また、そのルールを元にしたテーブルトークRPGのタイトルでもある。
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[編集] 概要
ファイティング・ファンタジー・シリーズの最初の7冊は、スティーブ・ジャクソンとイアン・リビングストンの2人だけで執筆されたが、それ以降の巻ではさらに多くの書き手が加わった。このスティーブ・ジャクソンは、アメリカでスティーブ・ジャクソン・ゲームズを経営するゲーム作者のスティーブ・ジャクソンとは別人である。ただし、アメリカのスティーブ・ジャクソンもまた、ファイティング・ファンタジー・シリーズの内、1984年の『サソリ沼の迷路』と1986年の『深海の悪魔』および『ロボットコマンドゥ』の計3作を執筆している。
このシリーズは、ジャクソンとリビングストンの共著『火吹山の魔法使い』(1982年)に始まりジョナサン・グリーン著『Curse of the Mummy』(日本未訳、1995年)に終わる59冊のシリーズと、ジャクソンによる『ソーサリー』4部作より成る。これらに加えて、2005年にイアン・リビングストンの『Eye of the Dragon』(日本未訳)が久々の新刊として出版されている。
読者が主人公の行動を選択し、各パラグラフごとに指示される選択肢で物語の展開を決定するという点では、ファイティング・ファンタジーは、それ以前に出版されていた『Choose Your Own Adventure』(日本では『きみならどうする?』のタイトルで発売)シリーズなどの「ゲームブック」と共通していた。ファイティング・ファンタジーがこれらのゲームブックと決定的に異なっていたのは、戦闘その他の状況においてサイコロを使って結果を出すようになっていたことである。これらのルールはとても単純ではあるものの『ダンジョンズ&ドラゴンズ』などのテーブルトークRPGと似通ったものだった。
ファイティング・ファンタジーで主人公のとる行動は、1段落~丸1ページくらいの大きさのセクションに分割され、大抵はそれらの末尾で選択肢から1つを選ぶか、あるいはサイコロを振る。各ページはいくつかのそのようなセクションから成り、各セクションには太字で番号が付けられている。通常の本ならばページの隅にページ数が記載されているが、ファイティング・ファンタジーではその代わりに、「129–131」のような形式でそのページにあるセクションが分かるように記載されている。
『ソーサリー』4部作という例外を別にすれば、ファイティング・ファンタジー・シリーズは各巻が独立しており、他の巻について全く知らなくても問題なくプレイできる。その一方で、シリーズの多くは「タイタン」と呼ばれるファンタジー世界を舞台とする点で共通しており、そのいくつかはストーリーや登場人物を共有している(例えば『火吹山の魔法使い』『Return to Firetop Mountain』『Legend of Zagor』の3作にはどれも敵役として邪悪なる魔術師ザゴールが登場する)。従って、各巻を続けてプレイすればそれだけ楽しめるようになっている。
[編集] 歴史
1980年に、ゲームズ・ワークショップの設立者であるスティーブ・ジャクソンとイアン・リビングストンは、TRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の熱狂的なブームを背景に、一人用のゲームブックを出版することを思い付いた。最初に提案された『The Magic Quest』には、二人が創作しようとしていたゲームのスタイルを示す短い冒険が含まれていた。1年後に『The Magic Quest』の企画はイギリスの出版社ペンギン・ブックスに受け入れられ、ジャクソンとリビングストンは6箇月にわたって初期の企画の拡張と改良に努めた。その結果が、最初のファイティング・ファンタジー『火吹山の魔法使い』である。数回の改稿を経て、1982年に『火吹山の魔法使い』が、ペンギン・ブックスの子供向けレーベルであるパフィン・ブックスから出版された。
第1作の成功を受けて、ジャクソンとリビングストンは新たなゲームブックの執筆に着手した。互いの時間を有効に活用するために、以降の作品では単独の執筆体制が採られた。1983年に、ジャクソンはファイティング・ファンタジーの第2作『バルサスの要塞』を、リビングストンは第3作『運命の森』を書き上げた。そして『トカゲ王の島』(リビングストン、1984年)までの7作品が出版された後には、二人以外の作家も執筆陣に加わることになった。もう1人の、つまりアメリカのスティーブ・ジャクソンによる『サソリ沼の迷路』が1984年に出版され、これ以降にアンドリュー・チャプマン、カール・サージェント、マーク・ガスコイン、ピーター・ダービル=エバンスなどが参加した。
ファイティング・ファンタジー・シリーズは1980年代を通じて好調な売り上げを収めたが、1990年代の初めになって、家庭用ゲーム機によるロールプレイングゲームの台頭という、TRPG業界を襲ったのと同様の問題に直面した。第50作『Return to Firetop Mountain』(リビングストン、1992年、日本未訳)でシリーズの打ち切りが予定されていたが、この作品が予想外の成功を収めたため、更に10作が追加されることとなった。しかし実際には59巻で出版は打ち切られた。第60巻『Bloodbones』はファンの間で幻の作品となり、現時点(2006年4月)においても未出版のままである。
2002年に、イギリスのアイコン・ブックスはファイティング・ファンタジー・シリーズの出版権を獲得し、ウィザード・ブックスというブランドを立ち上げてシリーズの復刊を始めた。ただし、この復刊ではラインナップの制限(現時点ではジャクソンとリビングストンの作品のみが出版されている)や出版順の変更、『ソーサリー』4部作をシリーズに組み込むなどの改変が行われている。また、新版では表紙もオリジナルとは別のイラストに差し替えられている。イアン・リビングストンはファイティング・ファンタジーシリーズの新作『Eye of the Dragon』を執筆した。2005年11月29日には、幻の第60巻『Bloodbones』が2006年11月に出版されると発表された。
日本でのファイティング・ファンタジー・シリーズは、1984年に社会思想社より第1巻『火吹山の魔法使い』が浅羽莢子による翻訳で出版されてベストセラーとなり、ゲームブック・ブームを引き起こした。一方、『ソーサリー』4部作は社会思想社ではなく東京創元社が権利を獲得し、1985年に翻訳・出版した。その後、社会思想社はシリーズ2巻以降の日本語版を発行し続けたが、1991年にマーティン・アレン著の第33巻『天空要塞アーロック』が出版した時点でシリーズの刊行を打ち切った。
1990年代以降はゲームブック自体の出版が極めて衰退し、日本においてもファイティング・ファンタジーシリーズは長らく絶版であったが、2003年に創土社より『ソーサリー』四部作が浅羽莢子による新訳で発行され、2005年にはウィザード・ブックスの表紙による『火吹山の魔法使い』『バルサスの要塞』が扶桑社より復刊された。
[編集] 年表
- 1982年 イギリスのPenguin Booksより『The Warlock of Firetop Mountain』が発売される。
- 1984年 日本の社会思想社より『火吹山の魔法使い』が発売される。
- 1985年 日本の東京創元社より日本語版の『ソーサリー』シリーズが発売される。
- 1986年 日本で社会思想社より『ウォーロック』誌創刊。拡張ルール等も紹介される。
- 1986年 イギリスで『火吹山の魔法使い』を元にしたボードゲームが発売される。
- 1995年 イギリスで『Curse of the Mummy』(最終巻)が発売される。
- 1998年 アメリカのアイドス・インタラクティブより、『死のワナの地下迷宮』を元にしたコンピュータゲームが発売される。
- 2002年 イギリスのIcon Booksにより一部タイトルが復刊される。
- 2003年 日本の創土社より新訳にて『ソーサリー』シリーズの復刊が開始される。
- 2005年 日本の扶桑社より『火吹山の魔法使い』『バルサスの要塞』が復刊される。
[編集] システム
システムはゲームブックでの使用が前提のため、単純にまとまっている。
[編集] 用具
ゲームをするのに必要なものは、能力値を記録するための筆記用具と、サイコロ2つである。 ゲームブックの場合各ページの欄外にサイコロの目が印刷されているため、適当なページを開くことでサイコロを振る行為に代えることが可能である。
[編集] 能力値
主人公は以下の能力値を持つ。
- 技術点(skill; 技量ポイントとも訳される)
- 主人公の戦闘など能力をあらわす。
- 装備や怪我などによって上下する。
- 体力点(stamina; 体力ポイントとも訳される)
- 主人公の体力をあらわす。
- 怪我・病気・疲労などで減り、食事や休息で回復する。
- 運点(luck; 運勢ポイント、強運点とも訳される)
- 主人公の運のよさをあらわす。
[編集] 戦闘
双方がサイコロを振り合い攻撃力を決め、大きい方が相手にダメージを与える。
攻撃力は技術点とサイコロの目で決まるが、所持している武器・防具や戦闘時の状況により修正が加えられることもある。また、アドバンスト・ファイティング・ファンタジーでは、所有する技能によっても修正が加えられる。
ダメージは通常2点であるが、武器・魔法などで変動することもある。また、追加ルールではさらにサイコロを振って決めることもある。
[編集] 魔法
基本ルールには魔法が存在しないため、いくつかの拡張ルールが存在している。
- 体力を消費して魔法をかける。
- ソーサリー
- 謎かけ盗賊
- アドバンスト・ファイティング・ファンタジー
- あらかじめ規定の数だけ使用できる呪文を選んでおく。この場合、選んだ呪文しか使えない。
- バルサスの要塞
- サソリ沼の迷路
- 体力の代わりに魔力(魔法点などと呼ばれる)を消費する。
- 王子の対決
[編集] 背景世界
ファイティング・ファンタジーは、「タイタン」と呼ばれる異世界を主な舞台とする。タイタンは、ファイティング・ファンタジーシリーズ各作品の主要な舞台であるアランシア大陸、ソーサリー4部作や『魔術師タンタロンの12の難題』の舞台である旧世界、混沌の地クールの三つの地域から構成されている。
この世界の詳細は、1986年にジャクソンとリビングストンの監修の下マーク・ガスコインにより執筆された解説書『タイタン』の中で述べられている。同書は日本では1990年に社会思想社より訳書が刊行されたが、絶版となっている。
[編集] 有名な場所
[編集] アランシア
- 火吹山
- 『火吹山の魔法使い』の舞台。山頂に真っ赤な植物が群生して燃えているように見えることからこう呼ばれる。『雪の魔女の洞窟』でも、最後にこの山の山頂に赴くことになる。
- ダークウッドの森
- 『運命の森』の舞台。北側には魔術師ヤズトロモが住む塔があり、南側にはドワーフの町ストーンブリッジがある。
- ポート・ブラックサンド
- 『盗賊都市』の舞台。領主アズール卿が支配する、その通称の通り犯罪者たちが闊歩する悪徳の街である。また、都市の下には古代都市カーセポリスの遺跡がそのまま残っている。
- ファング
- 『死のワナの地下迷宮』の舞台。領主のサカムビット男爵が作り上げた地下迷宮による「迷宮探検競技」で知られる。
- 柳谷とサラモニス
- 『バルサスの要塞』の舞台。サラモニスは250年以上の歴史を誇る都市国家である。
[編集] クール
- 八幡国
- 『サムライの剣』の舞台。他の地域から山脈で隔絶され、独自の(日本風)文化が形成されている。
- サソリ沼とフェンマジー
- 『サソリ沼の迷路』の舞台。サソリ沼は、多くの小道が複雑に交わっていてコンパスなどで方角を知ることができないため、地図を作ることもできない危険な土地である。また、最近になって「あるじ」と呼ばれる魔法使いたちがこの沼に住み始めた。
- フェンマジーはサソリ沼に面した小さい村である。住民はサソリ沼が危険であることを知っており冒険者たちに警告をする。ただし、一部の商人などは沼を挟んだ隣町ウィロウベンドへ続く道を欲している。
[編集] 旧世界
- カーレ(カレー)
- 『城砦都市カーレ』(改題『魔の罠の都』)の舞台。ポート・ブラックサンドに並ぶ危険な街である。北方からの侵略者から町を守るため、北門は魔法で施錠されている。
- ガランタリア
- 『魔術師タンタロンの12の難題』の舞台。大陸西岸にある都市である。
[編集] その他
上述の地域に含まれない場所として、アトランティスとアマリリアがある。
アトランティスはかつて存在したが火山の噴火により水没した島である。この島があった場所にある海底遺跡は、『深海の悪魔』の舞台となっている。
アマリリアは、タイタンとは別の次元にあるとされている世界であり、リビングストンによる第54作『Legend of Zagor』や小説『Zagor Chronicles』などの、後期のリビングストンの作品に登場する。タイタン-アマリリア間は魔法による移動が可能であり、この二つの世界は同じ惑星上でなくとも、同じ作品世界に属することが示唆されている。ただし、日本で発売されたアマリリアを舞台とする作品は、『魂の宝箱と12の呪文』のみである。
また、ジェーミー・トムソンとマーク・スミスによる第11巻『死神の首飾り』は、オーブと名付けられたタイタンとは別の世界を舞台としている。オーブはトムソンとスミスによるゲームブック『Way of the Tiger』シリーズにも登場する。『Way of the Tiger』シリーズは、日本では『タイガー暗殺拳』のタイトルで、二見書房より一巻のみ刊行されている。
[編集] 有名な人物
[編集] 領主
- アズール卿
- 「盗賊都市」ポート・ブラックサンドの領主。悪徳の街を恐怖と力で支配している。
- サカムビット男爵
- ファングの領主。危険な迷宮を作る趣味があり、その迷宮は世界中で広く知られている。カーナス卿という弟がいる。
- 長谷川喜平
- 八幡国の将軍。代々伝わる「鍔鳴りの太刀」により、カリスマ性を得ている。
- ジリブラン
- ドワーフの街、ストーンブリッジの長。戦闘に力を発揮する魔法の戦槌を所有している。
[編集] 悪役
- ザゴール
- 火吹山の奥に住む魔法使い。「悪魔の三人」のひとり。
- バルサス・ダイア
- ぎざ岩高地にそびえる「黒の塔」の主。「悪魔の三人」のひとり。
- ザラダン・マー
- 人間を怪物に改造する技術を持つ「悪魔の三人」のひとり。
- マンパンの大魔王
- 「ソーサリー」シリーズの最後の敵。亜人類や怪物を指揮し、人間界を支配しようとしていた。
- ヴォルゲラ・ダークストーム
- 「悪魔の三人」の師匠に当たる魔法使い。最後の弟子である三人に殺される。
[編集] 善の魔法使い
- ゲレス・ヤズトロモ(w:Gareth Yaztromo)
- ダークウッドの森のはずれに住む魔法使い。甘い物好きで、お菓子を買うために魔法の道具を販売している。
- 師と同じ名前のヴァーミスラックスというカラスの使い魔がいる。
- アラコール・ニカデマス(w:Arakor Nicodemus)
- ポート・ブラックサンドに隠れ住む魔法使い。つまらない依頼を持ち込まれるのが嫌いだが、真に重要な事態には協力を惜しまない。
- サラモニス王サラモン57世の師でもある。
- 癒し手(ペン・ティ=コーラ・w:Pen Ty Kora)
- 南方の呪術を取り込んだ治癒の魔法の達人であることからこの通り名で呼ばれる。ヤズトロモ、ニカデマスに並ぶ善の魔法使い。
- 「緑の」セレイター
- クール大陸のフェンマジーに住む魔法使い。絶滅したとされていた薬草アンセリカを発見した。
- 「月を追うもの」ヴァーミスラックス(w:Vermithrax Moonchaser)
- ヨーレの森で魔法を教えていた魔術師。ヤズトロモ・ニカデマス・癒し手の三人は彼の最後の弟子である。
[編集] その他
- 謎かけ盗賊
- 正体不明の怪人物。中立にして運と偶然の神であるロガーンに仕えるトリックスター。
- ヴィック
- カーレ(カレー)に住む人物。奴隷船の船長や殺人鬼にも顔がきく。
[編集] タイタン世界以外の作品
ファイティング・ファンタジー(同名のゲームブックシリーズ)のなかには、タイタン世界以外を舞台にした、ファンタジー以外のジャンル作品も存在する。これらはファイティング・ファンタジー(RPGシステム)ではフォローされておらず、共通した背景設定も持たない。また(明確な形での)タイタン世界との繋がりもない。(逆にいえば、オーブを舞台とする第11巻『死神の首飾り』以外のファンタジー作品は、全て「タイタン世界」を舞台とした共通の設定を持っていることになる)
- さまよえる宇宙船
- スタートレック風の宇宙冒険SF。未知の宙域に迷い込んだ宇宙船トラベラー号による、幾つかの惑星上での冒険を扱う。船長である主人公以外にも、技術点と体力点を持つ6人の乗組員(科学官、医務官、技官、保安官、警備員2名)が登場し、銃撃戦のルールが追加されている。
- 地獄の館
- 現代の悪魔崇拝者たちが住むドラマーの館を舞台としたホラー。一定値以上になると主人公が発狂する「恐怖点」のルールが追加されている。
- 宇宙の暗殺者
- 悪の科学者サイラスの宇宙船への潜入を描く宇宙冒険SF。体力点に加えて「装甲点」と、銃撃戦ルールが追加されている。
- フリーウェイの戦士
- 荒廃した未来の地球におけるマッドマックス風のカーバイオレンス。主人公の愛車ダッジ・インターセプターには「火力点」と「装甲点」が与えられている。
- 宇宙の連邦捜査官
- 宇宙SF
- サイボーグを倒せ
- 4種類の超能力(超体力、思念力、超技術、電撃)のいずれかを持つ主人公シルバー・クルセイダーと恐怖結社との戦いを描く、アメコミ風のスーパーヒーローアクション。舞台となる都市の名前はタイタン・シティ。ギャビン・シュートは、この都市を舞台にシルバー・クルセイダーが活躍する短編『破滅への秒読み』を書いている。
- 電脳破壊作戦
- 異星人の奴隷となった人類を解放するためのレジスタンス活動を描く、四つの惑星を舞台とした宇宙冒険SF。
- ロボットコマンドゥ
- 地球とは別の惑星を舞台とし、装甲点や速度の異なる複数のロボットを搭乗し分ける巨大ロボット物。ロボテックがモチーフとなっている。
- スターストライダー
- SF
- 天空要塞アーロック
- SF
これらの作品では、基本となるルールに加えて、ロボットや宇宙船などを表現するルールと専用のアドベンチャーシートが付属する場合がある。
[編集] 関連書籍
1984年に、ジャクソンはファイティング・ファンタジーのルールと世界に基づいた、テーブルトークRPGのルールとシナリオ集『ファイティング・ファンタジー』を執筆した。この書籍には「願いの井戸」と「シャグラッドの危険な迷路」の2作のシナリオが収録されており、日本では東京創元社から翻訳出版された。1986年には、ファイティング・ファンタジー・シリーズに登場する種族や怪物を多数収録した『モンスター事典』・背景世界に付いて語られた『タイタン』・TRPGシナリオと追加ルールが収録された『謎かけ盗賊』が発行された。この3冊はすべて社会思想社より1986年から1990年にかけて翻訳出版されている。
1989年にファイティング・ファンタジーに基づく2番目のTRPGシステムであるアドバンスト・ファイティング・ファンタジーが発表され、このシステムによるルールブック『ダンジョニアRPG』と、追加ルール『ブラックサンド!』『アランシア』の三作が出版された。『アドバンスト・ファイティング・ファンタジー』は、日本では社会思想社から翻訳出版された。
また、ファイティング・ファンタジーの世界を題材にした7作の小説が出版されている。『The Trolltooth Wars』(ジャクソン、1989年)、『Demonstealer』(ガスコイン、1991年)、『Shadowmaster』(リビングストン&ガスコイン、1992年)の3作の独立した小説と、魔術師ザゴールの登場する『The Zagor Chronicles』4部作(リビングストン&サージェント、1993年~1994年)である。これらの小説はいずれも日本では未訳である。
[編集] 主な著者
ファイティング・ファンタジーの主な著者として、以下の人物が挙げられる。
- スティーブ・ジャクソン(英)
- 『火吹山の魔法使い』の著者の一人。その後、魔法の導入、ファンタジー以外のジャンルの作品の発表など、新しい方向性を多く提示した。
- 代表作は『ソーサリー』4部作など。
- イアン・リビングストン
- 『火吹山の魔法使い』の著者の一人。多くの新しいジャンルの作品を発表したジャクソンとは逆に、単一世界(上述のタイタン)を舞台にした作品を多く発表した。
- 代表作は『死の罠の地下迷宮』など。
- スティーブ・ジャクソン (米)
- 『カー・ウォーズ』『GURPS』などで知られるゲームデザイナー。上記二人以外の著者による最初の作品『サソリ沼の迷路』の作者である。同作品は、最初にパラグラフ間の双方向移動を盛り込んだ作品として知られる。
- マーク・ガスコイン
- 『モンスター辞典』『タイタン』などの著者。『アドバンスト・ファイティング・ファンタジー』の作者でもある。
[編集] 現在の状況
- イギリスで一部タイトルが復刊されている。
- 一部作品のシナリオがd20システムのシナリオとして発売されている。
[編集] 文献一覧
ここでは、日本で発売された物のみをあげる。英語版の出版物一覧はList of Fighting Fantasy game booksを参照。
[編集] ゲームブック
- ファイティング・ファンタジー(社会思想社刊)
- 火吹山の魔法使い
- バルサスの要塞
- 運命の森
- さまよえる宇宙船
- 盗賊都市
- 死のワナの地下迷宮
- トカゲ王の島
- サソリ沼の迷路
- 雪の魔女の洞窟
- 地獄の館
- 死神の首飾り
- 宇宙の暗殺者
- フリーウェイの戦士
- 恐怖の神殿
- 宇宙の連邦捜査官
- 海賊船バンシー号
- サイボーグを倒せ
- 電脳破壊作戦
- 深海の悪魔
- サムライの剣
- 迷宮探検競技
- ロボット コマンドゥ
- 仮面の破壊者
- モンスター誕生
- ナイトメア キャッスル
- 甦る妖術使い
- スター ストライダー
- 恐怖の幻影
- 真夜中の盗賊
- 悪霊の洞窟
- 最後の戦士
- 奈落の帝王
- 天空要塞アーロック
- ソーサリー(東京創元社)
- 魔法使いの丘
- 城砦都市カーレ
- 七匹の大蛇
- 王たちの冠
- ソーサリー(創土社)
- シャムタンティの丘を越えて ISBN 4-7893-0130-3
- 魔の罠の都 ISBN 4-7893-0131-1
- 七匹の大蛇 ISBN 4-7893-0132-X
- 諸王の冠 ISBN 4-7893-0133-8
- ファイティング・ファンタジー(扶桑社による復刊)
- 火吹山の魔法使い ISBN 4-594-04909-5
- バルサスの要塞 ISBN 4-594-04952-4
- その他
- 王子の対決(社会思想社)
[編集] ファイティング・ファンタジー(テーブルトークRPG)
説明がないものは社会思想社刊
- ファイティング・ファンタジー(基本ルールブック・東京創元社)
- モンスター事典
- タイタン(背景世界資料集)
- 謎かけ盗賊(シナリオ・追加ルール集)
[編集] アドバンスト・ファイティング・ファンタジー
- アドバンスト・ファイティング・ファンタジー 上下巻
- タンタロンの立方体(シナリオ集)
- タイタンふたたび(リプレイ集)
[編集] FFd20
d20システム用シナリオ。背景世界は同じだが、ルールはd20システムを使用する。すべて国際通信社の刊行である。
- 火吹山の魔法使い ISBN 4-434-04587-3
- 雪の魔女の洞窟 ISBN 4-434-04768-X
- ソーサリー1 シャムタンティの丘を越えて ISBN 4-434-05220-9
- 死のワナの地下迷宮 ISBN 4-434-05893-2
- ソーサリー2 魔の罠の都 ISBN 4-434-06141-0
- 迷宮探検競技 ISBN 4-434-06142-9
- ソーサリー3 七匹の大蛇 ISBN 4-434-06144-5
- 運命の森 ISBN 4-434-06143-7
[編集] その他
- 安田均著『ゲームブックの楽しみ方』(評論)
- 山本弘著『四人のキング』(同システムを利用したテーブルゲーム)
- スティーブ・ジャクソン著『魔術師タンタロンの12の難題』(パズルブック・背景世界を共有)
- イアン・リビングストン著『魂の宝箱と12の呪文』(パズルブック)
[編集] 外部リンク
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