ホワイト・ストライプス
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ホワイト・ストライプス (The White Stripes) はアメリカのロック/ブルーズ・デュオ/バンド。アメリカ合衆国デトロイト出身。1997年にデビュー。ストロークスとともに、ガレージロック・リバイバルのバンドとして有名である。バンド名の由来は赤に白い縞の入ったペパーミント・キャンディから。
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[編集] メンバー
[編集] 経歴
1997年、デトロイトにて姉弟デュオとしてデビュー。インディー・ロックシーンにてスリーター・キニーなどと行動を共にする。
1999年、インディースで1stアルバム『ザ・ホワイト・ストライプス』をリリース。2000年には2ndアルバム『デ・ステイル』をリリース。
2001年、メジャーに移籍し3rdアルバム『ホワイト・ブラッド・セルズ』をリリース。まずイギリスで人気が広がり、やがてアメリカでもガレージロック・リバイバルの旗手として名を馳せる。レゴブロックを用いた「フェル・イン・ラブ・ウィズ・ア・ガール」 (Fell in Love with a Girl)のプロモーションビデオも話題となった。2002年にフジ・ロック・フェスティバル出演のため来日。
2003年、4thアルバム『エレファント』をリリース。初の単独来日公演を行う。ジャック・ホワイトは同年のRolling Stone誌で"The 100 Greatest Guitarists of All Time"の17位に選出される。2004年には「セブン・ネイション・アーミー」 (Seven Nation Army)でグラミー賞べスト・ロック・ソング賞(この曲は、サッカーW杯2006年ドイツ大会にて、優勝したイタリアチームが決勝戦終了後に合唱したことでも有名)、『エレファント』でベスト・オルタナティブ・ロック・アルバム賞を受賞するなど、21世紀の初頭における最重要バンドの一つとしての地位を確固たるものとした。同年には再びフジ・ロック・フェスティバル出演のため来日している。
2005年7月、5thアルバム『ゲット・ビハインド・ミー・サタン』をリリース。2006年に『ゲット・ビハインド・ミー・サタン』で再びグラミー賞ベスト・オルタナティブ・ロック・アルバム賞受賞。同年1月に2度目の単独来日公演を行った。
[編集] 音楽性
パンク・ロック、ブルーズ、カントリー・ミュージックをベースにしたガレージロック。ジャック・ホワイトが全ての曲を作っている。ギターとドラムというロックバンドとして最小と言える構成だが、それを感じさせない激しいロックンロールを奏でる。
バンドのイメージカラーは赤・白・黒の3色から成り立つ。これはメグ・ホワイトの好きなペパーミント・キャンディからインスピレーションを受けたもので、ジャックによれば「ナチからコカ・コーラにも通じる、最も強力な色の組み合わせ」。また、音の柱も原則的にヴォーカル・ギター・ドラムの3種で構成されている。しかしながら、ボーカルのジャックはオルガンやピアノ、マリンバなども演奏し、特に『ゲット・ビハインド・ミー・サタン』に於いてはその3種に捉われない懐の深い音楽性を垣間見せている。メグのドラミングスタイルは非常にシンプルなもので、そのために彼女のドラマーとしての能力はしばしばファンの間でも議論となる(映画『スクール・オブ・ロック』でもネタにされている)。インタビューなどでほとんど喋らないことともあいまって、一部で「メグは実はロボットではないか」と囁かれたこともある。
レコーディングに時間をかけないことでも有名であり、『エレファント』はレコーディングに約2週間しかかけなかった。次のアルバムである『ゲット・ビハインド・ミー・サタン』も同じく約2週間でレコーディングされた。この時レコーディングに使用した機材は全て1960年代以前に作られたものである。
同じガレージロック・リバイバルの旗手であるストロークスと並び称されることが多いが、ストロークスの都会的で洗練された演奏、曲調に対して、ストライプスはいい意味で泥臭い、芯の太い演奏、曲調を得意とする。そうったプレイスタイルもあってか、欧米では高い評価を受けているにも関わらず日本における知名度はストロークスのそれよりも一歩劣る。
ジャックがリスペクトしているアーティストとしてボブ・ディラン(デトロイトでの公演にジャックが出演したことがあり、メグも非常に熱心なファンである)やロバート・ジョンソンが挙げられることが多い。また、ジャックは最近、同じデトロイト出身のアリス・クーパーに影響を受けた扮装をしている。彼は地元デトロイトのミュージシャンが音楽的土壌を作ってくれたのを感謝しており、特にイギー・ポップのファンで、ストゥージズのアルバム『ファンハウス』を「今までに作られた最高のロック・アルバム」と言っている。
[編集] バンド外での活動
- 2003年に、ジム・ジャームッシュの映画『コーヒー&シガレッツ』に出演している。
- 2006年には、アニメ『ザ・シンプソンズ』にカメオ出演している。
ジャック・ホワイト
- 俳優として、映画『コールド・マウンテン』に出演。歌手としての彼を知らない人にも強い印象を与える。また、同映画のサウンドトラックに曲を提供している。
- カントリー・ミュージックの大御所の1人であるロレッタ・リンが2004年にリリースしたアルバム『Van Lear Rose』をプロデュースし、デュエット曲「Portland, Oregon」にはボーカルとしても参加。アルバムは2005年のグラミー賞でベスト・カントリー・ミュージック・アルバム賞、「Portland, Oregon」はベスト・カントリー・ボーカル・コラボレーション賞を受賞した。
- ベックとは友人であり、2005年のアルバム『グエロ』にはベースで参加している。また、ベックはストライプスの「ザ・ハーデスト・ボタン・トゥ・ボタン」 (The Hardest Button to Button)のプロモーションビデオに出演している。
- 2005年にブレンダン・ベンソンらと結成したバンドであるラカンターズではギター、ボーカル、シンセサイザーを担当。デトロイト時代の親友と演奏できるのが大変嬉しいらしい。ブラーのデーモン・アルバーンが参加しているゴリラズのように、ストライプスとは完全に別のプロジェクトである。
メグ・ホワイト
- ファッションブランド、マーク・ジェイコブスのモデルを2006年春のコレクションからつとめている。
[編集] 元夫婦説
ジャック・ホワイトとメグ・ホワイトは公式には姉弟ということになっているが、インターネット上に2人の婚姻届・離婚届(1996年9月21日~2000年3月24日)が流出し、実際は元夫婦であると指摘されている。最近の雑誌のインタビューでは、姉弟ではないのでは?とバンド紹介欄に書かれることもあるが、あくまで姉弟としてインタビューを受けている。
また、ジャックはモデルのカレン・エルソン (Karen Elson)とブラジルで2005年6月1日に結婚しており、娘がいる。エルソンは「ブルー・オーキッド」 (Blue Orchid)のプロモーションビデオに出演もしている。
[編集] ディスコグラフィー
[編集] アルバム
- ザ・ホワイト・ストライプス - The White Stripes (1999年)
- デ・ステイル - De Stijl (2000年)
- ホワイト・ブラッド・セルズ - White Blood Cells (2001年)
- エレファント - Elephant (2003年)
- ゲット・ビハインド・ミー・サタン - Get Behind Me Satan (2005年)
[編集] 関連項目
- ラカンターズ
- ミシェル・ゴンドリー - 「フェル・イン・ラブ・ウィズ・ア・ガール」をはじめ、ストライプスのいくつかのプロモーションビデオを監督している。
- デ・ステイル - 2ndアルバムのタイトルの由来となった、20世紀始めのオランダの美術・建築雑誌およびグループ・様式。