マナティー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
マナティー |
||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
分類 | ||||||||||||||
|
||||||||||||||
種 | ||||||||||||||
|
マナティー (Manatee) は、ジュゴン目(海牛目)のマナティー科に属する大型の海棲哺乳動物。カイギュウ(海牛)とも呼ぶが、現在はマナティーの方が一般的である。1属3種が現生する。マナティー類は、北アメリカ、中央アメリカ、南アメリカ、カリブ海の浅い海や河川、河口に生息している。
同じジュゴン目のなかまであるジュゴンとは、頭部や尾の形態が異なる。マナティー類の尾はヘラ(しゃもじ)のような形をしているのに対して、ジュゴンの尾は二股にわかれて、イルカ類の尾と同じように、左右に広がっている。マナティは草食であり、摂食に多くの時間を費やしている。
[編集] 種類
アフリカマナティー Trichechus senegalensis はアフリカ西岸に、アマゾンマナティー T. inunguis は南アメリカ東岸に、そしてアメリカマナティー T. manatus はカリブ海の西インド諸島に生息している。さらに、フロリダマナティーを独立した種として分類することもあるが、ITIS(Integrated Taxonomic Information System)での扱いのように、アメリカマナティーの1亜種とすることが一般的になってきている。日本では鳥羽水族館が唯一飼育・展示を行っている。
[編集] アメリカのマナティー
フロリダマナティーは、体長4.5m以上に達することがある。淡水中でも海水中でも生活することができる。かつては油を採るためや、食肉用に狩猟が行われていたが、現在では法律で禁止されている。クリスタルリバーやケイブで有名なマナティースプリングにも生息する。
西インド諸島のアメリカマナティーは、絶滅危惧種である。自然界には天敵は存在しないが、人間の進出が、沿岸泥湿地域におけるアメリカマナティーの生息地を狭めており、多くの個体が船外発動機付きモーターボートのスクリューによって傷つけられている。 マナティーは摂食中に、しばしば釣り具(釣り針や錘(おもり)など)を呑み込んでしまうことがある。通常これらの異物がマナティーを傷つけることはないようだが、単繊維の釣り糸は別である。そのような釣り糸は、この動物の消化器官に詰まり、ゆっくりと死に至らせることがある。
マナティーはしばしば発電所の近くに集まるが、これは発電所の近くでは水が温かいからである。彼らは、この自然界のものではない熱源に頼るようになってしまっている。つまり、常に温水が供給されるので、水の温かいところへ回遊することをやめてしまったのだ。近年、かつての発電所が閉鎖されつつあるが、アメリカ合衆国の魚類野生生物局(the U.S. Fish and Wildlife Service)は、マナティーたちの発電所への依存度の高さに鑑みて、彼らのために水を温めてやる方法を模索している。
カテゴリ: 動物関連のスタブ項目 | 海牛目