モルッカ諸島
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モルッカ諸島(Kepulauan Maluku)は、インドネシア北東部に位置するスラウェシ島とニューギニア島の間に散在する大小多数の島々の総称である。インドネシア語ではマルク諸島(Maluku)と呼ばれる。古くから香料群島として知られ、ハルマヘラ島、セラム島、アンボン島、テルナテ島、ティドール島などの島を含んでいる。行政的にはマルク州としてまとめられ、アンボン島のアンボンが州都である。面積は7万4505平方キロメートル。
構造的にはヒマラヤ造山帯と環太平洋造山帯の会合点にあたり、地盤変動が激しく、大小の島々を生じ、また諸所に火山活動が見られる。気候は高温多湿で、密林に覆われた島が多い。
[編集] 歴史
3世紀、扶南の交易相手として馬五洲と記された。交易品は丁香。中国の文献では、元の時代には文老古、明の時代には美洛居などと記された。北部では丁子、中央部では肉荳蔲を産し、香料諸島と呼ばれ大航海時代には到達目標の1つとなった。1512年にポルトガル人が進出し、後から来たスペイン人との間に香料貿易の主導権をめぐる争いが続いた。オランダ人は1599年から南部に勢力を張り、1623年のアンボイナ事件で競争者イギリスをこの地から追い出し、全諸島を支配下に置いた。オランダは香料貿易を独占するとともに、生産量調節のためホンギ遠征と呼ばれる強硬手段で香料原木の伐採、焼却を行い、住民の反感を招いた。オランダ東インド会社は1667年にはマカッサル王との間にボンガヤ条約を結んで、インドネシア東部から全競争勢力を退去させた。しかし、18世紀末以後は香料の産出地が他に増え、モルッカ諸島の意義は失われた。インドネシア共和国独立後の1950年に島民たちが反乱を起こしたが鎮圧された。