モーターカー
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モーターカーとは、主に鉄道の保守作業に使用される小型の鉄道車両である。但し、鉄道部内では「鉄道車両」ではなく「機械」として扱われることが多いので車籍は無い。
「鉄道車両」ではないので、運転するのに動力車運転免許は不要である。そのため、保線係員等の動力車免許不保持者が操縦することが可能。ただし、機械扱いであるために最高速度は45km/hに制限されているのに加え、実際に本線上を走行させる場合は線路閉鎖を前提とする。
保守、点検に用いられ、資材を積んだ小型貨車を牽引する場合もある。編成化された小型貨車の先頭に遠隔操縦用の運転台を設けて、プッシュプル運転することが可能な車両も存在する。車体は黄色に塗装されている場合が多いが、東海旅客鉄道(JR東海)の濃淡ブルーや近畿日本鉄道の薄緑色など黄色以外の場合もある。ディーゼルエンジンにより駆動する。車両によっては車体中央に自車昇降用油圧式ジャッキをもったものがあり、自車をジャッキアップした後に車体を手動で旋回させてその場で方向転換させることが可能である。
積雪地帯では、除雪車の代用として線路の除雪作業に使用されることもあり、よく見かけることができる。
変り種は長良川鉄道のNTB209で、車籍がありトロッコ列車を牽引しているが保守作業や除雪作業にも活躍している。
主なメーカーは北陸重機工業や松山重車輌工業などである。
なお、北海道旅客鉄道(JR北海道)にはモーターカーを鉄道車両に改造したDBR600形が存在する。これはモーターカー使用時には線路閉鎖をしなければならないため、これを解消するために一般の鉄道車両に仕立てたものである。一方、通常の鉄道車両を改造した西日本旅客鉄道(JR西日本)の試験車両「U@tech」は改造時(2004年10月22日付)に車籍を抹消され、モーターカーと同じ扱いにしている。また。東海旅客鉄道(JR東海)が事業用に保有していた新幹線貨車(バラスト散布用の931形ホッパ車など)も1993年に同じ取扱いをしている。