ライスナー・ノルドシュトロム解
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ライスナー・ノルドシュトロム解 (Reissner-Nordstrøm metric, Reissner-Nordstrøm solution) あるいは ライスナー・ノルドシュトロム解 とは、一般相対性理論のアインシュタイン方程式の厳密解の一つで、球対称で電荷を帯びたブラックホールを表現する計量 (metric)である。シュヴァルツシルト解の発見直後、 ライスナー(Reissner, 1916年)と ノルドシュトロム(Gunnar Nordstrøm, 1918年) によって報告された。
ライスナー・ノルドシュトロム計量は、次のように書ける。
ここで、
であり、
- は、ブラックホールの質量
- は、ブラックホールの電荷
である。ここでは、光速と万有引力定数を1とする幾何学単位系 () を用いている。電荷がゼロであれば、解は、シュヴァルツシルト解を再現する。
この解には、2つの地平面が存在する。座標で表現すると
の面であり、外側が事象の地平面、内側がコーシー地平面 (Cauchy horizon)と呼ばれる。 電荷がのとき、2つの地平面は重なり、最大荷電ブラックホール(extremal black hole)となる。
この値以上の電荷を持つと()、時空が裸の特異点を持つことになるので、 ロジャー・ペンローズの宇宙検閲官仮説に基づけば、このようなブラックホールは自然界には存在しないと考えられる。