ラブホテル
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ラブホテルとは、カップルが一時の休憩や性行為を目的に短時間(休憩)、もしくは宿泊で利用する事の出来る部屋を提供する施設。ラブホ、ファッションホテル、ブティックホテルともいう。もっと直接的な言い方として、Hホテルというのもある。
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[編集] 一般のホテルとの相違
- 予約出来るラブホテルは少ない。予約せずに利用するのが一般的なため、多くのラブホテルは入り口付近に部屋の空き状況を示す「満」「空」の表示がある。
- 部屋を選ぶ際は、パネルを見て選ぶのが一般的である。空いている部屋の写真はバックライトが点灯して明るくなっており、ボタン押下によって予約をする。
- フロント周辺は、他の利用者及び従業員と顔を合わせない様に配慮されている場合が多い(部屋にある精算機や、フロントと各部屋を繋ぐエアシューターによって部屋で会計が可能なケースもある)。
- 全ての部屋が「ダブル」(ダブルベッドが一つ)であり、いわゆる「シングル」(シングル用ベッドが一つ)や「ツイン」(シングル用ベッドが二つ)の部屋は無い。
- チェックインする時間帯によっては、宿泊せずチェックアウトする事(休憩)が出来る。
- 入口に「休憩○○円、宿泊○○円」と表示された看板がある。通常利用できるのは休憩のみで、3時間程度が一般的である(関西では2時間としているホテルも少なくない)。宿泊が可能になる時刻は(地域差もあるが)20~22時以降であることが多く、金・土曜・祝前日などは23時~24時以降となるなど、更に遅いのが一般的である。逆に平日昼間は「サービスタイム」「フリータイム」などとして、通常休憩は3時間単位ほどのところ「7~17時」「13~20時」など長時間利用出来る事が多い。需給バランスに応じて利用料金が上下する。
- 枕元には統合パネルが設置されており、照明やBGM、エアコンなどが寝ながらコントロール可能になっている。またコンドームが必ず用意されている(栄養ドリンクやミネラルウォーターが用意されていることもある)。
[編集] その他の特徴
- アダルト専門チャンネルと接続可能なテレビを設置している(一般的なホテルでは有料だが、ラブホテルではほぼ無料で見る事が出来る)。
- 回転ベッド※2、ガラス張りの浴室(マジックミラーとなっていてベッドから浴室内が見えるケースもある)、壁や天井に大型の鏡、ウォーターベッド、SM用具などが備えられている事がある。
- 室内の自販機(冷蔵庫)には、アルコール飲料やソフトドリンクのみならず、バイブレータなどの用具がある事もある。
- ホテルによってはコスプレのコスチュームがレンタル出来る所もある。
- 複数のミラーボールが天井に吊り下がり、ライトアップ効果などで非日常を演出している所もある。
- サウナ室が浴室に備え付けてある場合もある。
- サウナ室の他にも、カラオケ機器、テレビゲーム、ジャグジーバス、パチンコやスロットマシーン、マッサージチェアなどが備わっている場合もある。一般的に設備が充実しているほど値段は高い。
- ホテル名に所在地の地名を取り入れるケースは少なく、著名人の名前や国内や海外の有名な地名、ロマンチックな語感の名称を採用する傾向がある。
- 旅館業法で、宿帳(宿泊者名簿)の設置を義務づけており、当然ラブホテルにもあるが、まともに記入する人はいない。又、それを良い事に宿泊者数を実際の宿泊者数より少なく計上する業者がいて、脱税の温床になっている。(詳しくは映画「マルサの女」を参照のこと)
[編集] 歴史
この種の場所の起源は、江戸時代の出会茶屋にまで遡る事が出来るといわれる。第2次世界大戦前には「待合」「赤線地帯」がその機能を果たしていた。第2次世界大戦後には「連れ込み宿」が多く登場した。1980年代頃から回転ベッドなど豪華な設備のホテルが建設された目黒エンペラー《目黒川沿いに存在し、現在は「目黒倶楽部 石庭」と改名》が有名であった。なお、現在はこのような形態でラブホテルを新規開業する事はほぼ不可能なため、ビジネスホテルで申請し、認可が下りた後に小規模な改装をして営業をしている所がほとんどである。そのため外観的に一般のホテルと大差ないラブホテルが増えてきている。
かつての連れ込み宿では、女中がお茶を持ってきて「どうぞごゆっくり」などと意味深なあいさつをしていったというが、現在のラブホテルでは受付・会計も店員と顔を合わせずに出入り出来るようになっている事も多い。ただし、一時期ラブホテルにおける殺人事件が多発したため、警察の指導により防犯ビデオが設置されている事が一般である。これは顧客名簿に記入しない事に対する代替処置である。又、子供連れやペット同伴、外国人、同性同士の利用を拒否していたラブホテルも多かったが、現在では減少している。
[編集] 類似語
- 逆さクラゲ かつての連れ込み宿が温泉を示すマークを表示していた事から使われた隠語。
- モーテル モーター+ホテルで、自動車のまま入れる形式のホテルの事。ただし、言語の「MOTEL」にはそのようなニュアンスはまったく無い。「ADULT MOTEL」という言い方はあるがその存在も名称もあまり一般的ではない。
- ファッションホテル・ブティックホテル 若い世代に合わせたおしゃれな内装のホテル。
- レンタルルーム 男女が性行為目的で使用する部屋とされているが、実際にはホテルヘルスなどの無店舗型風俗店のサービス提供場所として利用されているケースが多い。ホテルとは性格が異なり一部を除いては宿泊は出来ない。
[編集] 立地
- 繁華街の少しはずれに密集し、いわゆるラブホテル街を形成している場合がある。
- 寺が密集する寺町周辺。精進落としとして栄えた遊郭街の名残が主(東京・鶯谷、大阪・下寺町、名古屋・新栄)
- 高速道路のインターチェンジ周辺や幹線道路沿いにもしばしば見られる。(名神高速一宮IC付近や京葉道花輪ICなど)
[編集] 風俗営業法
風俗営業法に「店舗型性風俗特殊営業」の一つとして「専ら異性を同伴する客の宿泊(休憩を含む。以下この条において同じ。)の用に供する政令で定める施設(政令で定める構造又は設備を有する個室を設けるものに限る。)を設け、当該施設を当該宿泊に利用させる営業」(第2条第6項7号)とあるが、政令の基準と一般にラブホテルと考えられる内容に差異があり、「店舗型性風俗特殊営業」に該当しないラブホテルも数多い。
なお※2については、1985年の新風営法によって上記の「政令で定める構造又は設備」のひとつとなり、「店舗型性風俗特殊営業」認定による経営上のデメリット(教育施設の近くで営業できない等)を避けるために撤去/可動停止の動きが進み、新規設置も行なわれなくなった。そのため、2006年現在では姿を見る事は少ないが、現役で可動の回転ベッドを設置している古いホテルも各地に残存している(例えば、東京都内では鴬谷、駒込周辺に数軒確認されている)。 また、主に個人向けの設備として回転ベッド自体は現在も新製品が製造・販売されており、東京ビッグサイトで行なわれるラブホテル向けの展示会にも出品されている。地方ではこうしたベッドを新規設置する店もごく稀に登場しているが、全般的に言えば今後の設置拡大は見込めない情勢である。
[編集] 関連記事
- ホテル内で経営者又は利用者に設置された隠しカメラで撮影された映像が、市場に出回るという過去があった。
- リビアの最高指導者ムアンマル・アル=カッザーフィーは、日本のラブホテルで使われている回転ベッドを業者から輸入し愛用していた。これはトリポリにあるリビア大統領官邸が米軍に爆撃された時、各国の報道陣が現場映像を公開したため明らかとなった。
- 海外において、日本を紹介する雑誌などの特集の中で、ラブホテルが取り上げられる事がある。欧米では、文字通りのアンダーグラウンドな売春宿でも無い限りは、性交渉そのものを目的とした同種の施設は存在しない。一般人が、パートナーと性交渉する場合は、自宅かあるいは一般の宿泊施設を借りるのが普通である。海外のドラマや映画で、男性あるいは女性がパートナーを自宅に誘ったり、ホテルのレストランやバーでルームキーを示し、部屋を予約して相手を待っていることを示唆する演出が見られるのはそのためである(日本の場合は、単にラブホテルよりも高価な一般のホテルをわざわざ予約した、という意味合いで使われる演出である)。そのため、日本の都市部の狭小な住宅事情からくるプライバシー確保問題などと関連させて論じられる事もある。日本を批判的に論ずる意見の中で述べられることも多い。