国鉄クモヤ93形電車
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クモヤ93形は、1958年(昭和33年)4月に日本国有鉄道(国鉄)がモハ51形の改造により製作した架線試験車(電車)である。
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[編集] 概要
走行しながら架線の状態(高さ、偏位、パンタグラフとの接触状況等)を測定する事業用車で、1両のみが豊川分工場において改造された。改造当初はモヤ4700形(4700)と称したが、1959年(昭和34年)6月の車両形式称号規程改正により、クモヤ93形(93000)に改められた。落成後は、田町電車区に配置されたが、1980年(昭和55年)3月26日付けで廃車された。
[編集] 外観
改造種車となったモハ51078は、1932年(昭和7年)にモハ40形(40010)として新製されたもので、1944年(昭和19年)に戦時改造によって42系電動車と台車を振替え、片運転台化のうえモハ51形に編入されたものである。
改造に際しては、台枠のみを流用して車体を製作し、台車、電装品は新製されており、種車の面影は全くない。車体は屋根が全長にわたって平らな低屋根構造とされ、80系電車に似た2枚窓をもつ前面(いわゆる「湘南型」)をもつ両運転台型となった。前照灯は上部中央に1灯のほか、左右の窓下にそれぞれ1灯を配した3灯である。パンタグラフは前後に2基が搭載され、車両中央付近の屋根には架線観測用の監視用窓が上方へ張り出しているほか、検測時に架線を照らす投光器が設置されている。
台車は、川崎車輛が試作した軸梁式のOK-4(国鉄形式DT29)で、主電動機も試作の1時間定格出力158kWの強力なものを4個搭載し、歯車比は30:52=1:1.735と高速度運転に適する仕様となっている。
車内は、前位から暗室、整理室、寝室、倉庫、観測室、測定室、電源室となっており、測定室には各種測定機器が備えられていた。
[編集] 高速度試験
1960年(昭和35年)11月に151系「こだま形電車」と本車による東海道本線金谷駅-藤枝駅間の上り線を使った高速度試験が10日間にわたって行われた。本車は、11月21日に金谷から出発して加速、最高速度となる藤枝方に設けた約1.3kmの試験区間で当時の狭軌鉄道の世界最高記録である175km/hを達成した。本車の車体側面には、それを記念したチャンピオンプレートが貼られていた。
[編集] 関連項目
日本国有鉄道(鉄道院・鉄道省)の旧形電車 |
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車体長17m級の鋼製標準形電車 |
30系・31系・32系(電動車)・33系・50系・62系 |
車体長20m級の鋼製標準形電車 |
32系(制御車・付随車)・40系・42系・51系・52系・63系・70系・72系・80系 |
私鉄買収車 |
広浜・信濃・富士身延・宇部・富山地鉄(富岩)・鶴見臨港 豊川・鳳来寺・三信・伊那・南武・青梅・南海(阪和)・宮城 |
事業用車/試験車 |
クモヤ93形・493系 |
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