天の川 (天体)
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天の川(あまのがわ、あまのかわ)は、夜空を横切るように存在する雲状の光の帯である。万葉集では大伴家持の歌に、天漢(あまのがわ)とも記されている。 この光の帯は天球を一周しており、恒星とともに日周運動を行なっている。天の川の実体は膨大な数の恒星の集団である。我々の地球を含む太陽系は天の川銀河と呼ばれる銀河の一員であり、我々はこの銀河を内側から見ているために天の川が天球上の帯として見える。天の川銀河の中心は射手座の方向にある。
「銀河」は本来天の川を指す言葉であるが、現在では一般的な天体としての銀河(galaxy)全般を表す言葉として使われている。天体としての天の川銀河を特に銀河系とも呼ぶ。英語の Milky Way (ミルキーウェイ)は文脈によって「天の川」と「銀河系」の両方を指す。
ただし、都会など空が人工の光で明るくなった場所では確認が難しい。現在の日本では、田舎に出ないと確認できないことも多い。日本では、夏と冬に天の川が南北に頭の上を越える位置に来る。これをまたいで夏には夏の大三角形が、冬には冬の大三角形が見える。他の星も天の川の周辺に多いので、夏と冬の夜空はにぎやかで、これに対して春と秋の夜空には目立つ星座が少ない。
[編集] 神話
ギリシャ神話では、天の川は女神ヘラが眠っているあいだにゼウスが赤ん坊であったヘラクレスに飲ませていた母乳が、ヘラが目覚めて嫌っていたヘラクレスが乳を飲んでいたので驚いた際に流れ出したものとされる。英語での名称 Milky Way はこの神話にちなむ。
中国・日本など東アジア地域に伝わる七夕伝説では、織女星(こと座のベガ)と牽牛星(わし座のアルタイル)を隔てて会えなくしている川が天の川である。二人は互いに恋しあっていたが、天帝に見咎められ、年に一度、七月七日の日のみ、天の川を渡って会うことになった。詳細は七夕の項目を参照のこと。