授乳
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授乳(じゅにゅう)は、原則として母親が乳児に乳を飲ませること。母親の乳房から直接子供に飲ませる行為をさすことが多い。ヒトを含む哺乳類の特徴でもある。
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[編集] 授乳の仕方
母親は両手で赤ん坊を横抱きにし、乳首を含ませる。添い寝して与える場合もある。
以上は母親の乳を直接与える場合であるが、ヒト及び人間に飼育されている動物では、その種用に調整された人工の乳(育児用ミルク)を与える場合もある。
[編集] ヒトの授乳
直接乳房から飲まさなくても(搾乳して哺乳瓶から飲ませる等)、母乳を用いる場合を「母乳栄養」、母乳を用いず育児用の粉ミルク他のみを用いる場合を「人工栄養」、両者を併用する場合を「混合栄養」と称する。日本の産院では、出産直後は母親を休ませるために母子を離して新生児にミルクを与える例があり、その後母乳のみで育てても、厳密には混合栄養に分類されることになる。
[編集] 母乳栄養
詳細は母乳栄養を参照されたい。
医学的に問題のない場合は、母乳栄養、特に母乳を直接乳房から飲ませることが最良とされている。日本でも厚生省が母乳栄養推進運動を盛んに展開した。ネスレなどの大手食品メーカが粉ミルクの宣伝を行い母乳栄養を妨げているとしてボイコット運動が展開された([1]、[2])。WHO/UNICEFの「母乳代替品のマーケティングに関する国際基準」の決議に棄権した日本でも、現在では粉ミルクのTV宣伝は禁止されている。
母乳を与えるのは必ずしも産みの親とは限らない。乳母を参照されたい。
[編集] 母乳の代替品
詳細は粉ミルクを参照されたい。
医学的な理由で母乳を与えることができない場合(母親が感染症を罹患している、乳汁移行性のある薬物を服用している、乳首が炎症を起こした、子の側に先天的な代謝疾患がある、等)や、母乳が不足する場合、社会的な理由で直接授乳できない場合(母親が乳児から離れて就労している場合や、職場に授乳設備がない場合)、美容的な好みによって直接授乳することを避けたい場合などに、育児用の粉ミルクが広く用いられる。1980年代に入り、母乳の組成に近い粉ミルクが開発されるようになった。子に先天代謝異常がある場合は、特別に調整した育児用粉ミルクを用いる。
牛乳は鉄含有量が少なく、乳児期から1日400ml以上飲ませると鉄欠乏性貧血の原因になりうるので、育児用粉ミルクや母乳の代わりに飲ますのは1歳以降にすべきであるとされている([3])。欧州では牛乳を早くから乳児に飲ませていたので、フォローアップミルクが開発された。
かつて、青森県の農村では、母乳の不足をやむを得ず薄い米のとぎ汁で補ったことがあった。その結果幼児に発生したリボフラビン(ビタミンB2)欠乏症はシビ・ガッチャキ病として知られる。
1才を過ぎると母乳では成長に必要な栄養を十分摂取することが出来なくなるため離乳の必要がある。ただし社会によっては3歳近くまで食事と並行して母乳を与えつづける文化もある。
[編集] その他の哺乳類の授乳
- 肉食獣:母親はゆったりと横になり、腹ばいになった仔が乳首に吸い付く形が多い(上記写真参照)。
- 草食獣:産屋や子育ての場としての巣を作る種類と作らない種類がある。巣を作らない草食獣の多くは天敵に襲われるのを警戒し、立ったまま授乳する。仔も立ったまま母親の腹の下に鼻を突っ込んで乳を飲む。
- 有袋類:仔は母親の袋(育児嚢)にもぐりこみ自力で乳首に吸い付く。
- 海生哺乳類:海に生きる哺乳類の場合、海中で授乳を行うものと陸上で行うものがある。
[編集] 関連項目
[編集] 関連書籍
- ひよこクラブ編『初めてママの母乳育児安心BOOK―妊娠中から卒乳まで』ベネッセコーポレーション (2004年)ISBN 4828856765
- 桶谷式乳房管理法研鑚会編『桶谷式 母乳で育てる本』主婦の友社 (2002年)ISBN 4072327565
- 根岸正勝著『母乳で育てる元気な赤ちゃん―授乳・離乳・卒乳・アトピーアレルギー』池田書店 (2000年)ISBN 4262164187