海の牙城
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『海の牙城』(うみのがじょう)は横山信義作の架空戦記、全5巻。遠き曙光(全4巻)の続編である。
目次 |
[編集] 各巻題名
- マーシャル航空戦(ISBN 412500925)
- サイパン沖海戦(ISBN 4125009309)
- 本土強襲(ISBN 4125009406)
- 帝都攻防(ISBN 4125009430)
- 真珠湾の凱歌(ISBN 412500952X)
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 概要
蘭印資源地帯を巡る攻防で日本軍は米太平洋艦隊を撃破した。両軍は戦力の拡充を図り戦線は膠着化する。
1943年11月、ついに米軍は反攻を開始。戦艦を主力にした米軍に対し、航空主兵主義へ全面的に転換した日本軍はマーシャル・サイパンで出血を強いつつも、戦場は日本本土に近づく。
この苦境を打開する為に日本軍は起死回生の策に出るが、同時に米軍も新たな作戦を実行に移す……。
[編集] 兵器
本作には史実兵器の改良・改装の他、名称以外は全くの別物や完全な新規装備と見られるものが存在する。
[編集] 日本軍
[編集] 艦船
- 柱島空襲時の戦訓を元に全副砲を撤去し、高角砲・機銃を増備。空母護衛の一翼を担うが、サイパン沖で機動部隊を襲撃する米水上部隊と会敵。最大のライバルたるモンタナと一騎打ちを行う。
- 同型艦として建造される予定であった武蔵・信濃は空母に改装。
- 開戦時、艤装段階だった大和型戦艦二番艦武蔵の砲塔・上構等を撤去、空母に改装したもの。飛行甲板を装甲甲板ではなく通常の木甲板にする事により、二段格納庫に百機以上の艦載機搭載を可能とし、最高速力30ノットを発揮。その広大な飛行甲板は爆弾を2・3発被弾しても、被弾箇所が片側に寄っていれば発着艦は可能である。弱点は工事短縮のため、エレベーターが2基しか設置されてないこと(同型艦の信濃は3基設置)。
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- 穂高型航空母艦
- 機動部隊の上空直衛と対潜警戒を任務とする(このコンセプトは『蒼海の尖兵』における雲龍型空母に類似)基準排水量1万3200トンの戦時急造空母。量産性を重視した直線的な艦影と傾斜煙突と一体化した艦橋を持つ。魚雷庫、魚雷調整室、補用機用の格納庫を持たず、搭載機は戦闘機40機、攻撃機6機。
- 同型艦は全て日本アルプスの山岳名から付けられたので「アルプス空母」の異名を持つ。穂高、乗鞍、剣(つるぎ)、白馬、常念、燕(つばくろ:未成)の6隻が登場。
- 当初の水雷戦隊旗艦の設計を防空に変更し、水雷・航空兵装を撤去。主砲も新設計の55口径12.7mm連装高角砲4基へと変更し、さらに65口径8cm連装高角砲6基と機銃多数を装備する。同型艦4隻。
- 同様の経緯を辿った艦として大淀型防空巡洋艦が就役している。
- 旧式化した重巡を防空巡に改装したもの。新造防空巡と同種の装備(55口径12.7mm連装高角砲5基、65口径8cm単装高角砲8基、機銃多数)を持つ。
- 準同形艦である青葉型防空巡洋艦も同様の改装を施され、機動部隊の防空任務を務める。
[編集] 航空機
- 整備性の向上と早期の開発を実現するために、天山と同様の発動機(火星25型、1850馬力)・エンジンカウリング・プロペラを装備し、また機体は零戦の線図を流用する事で開発に成功した新型艦戦。
- 20mm機銃4門の火力と12.7mm機銃に対する防弾装備(但し、多数被弾した場合は貫通の恐れあり)、全速降下に耐えられる機体構造などF6Fと互角に戦える機体である(F4Uには苦戦を強いられる)。
- 当初計画の三座から複座への変更で防弾装備の充実、後部座席の13mm機銃搭載にも拘らず、最高速度の向上を達成。
- 同様の変更を行った機体として艦上偵察機彩雲があげられる(但し彩雲は非武装)。
- 信頼性向上のため発動機を水冷から空冷に換装した機体。同様の機体に陸軍戦闘機飛燕がある。
- 天山と同様、後部座席の機銃を13mmとし迎撃力の向上を行う。
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- 試作噴進式戦闘機『炎竜』
- 遣独潜水艦の持ち帰ったハインケルHe280を国産化したもの。元の機体と比べて自動空戦フラップの装備などの点が改良されている。4巻の帝都攻防では米戦闘機を圧倒。武装は20mm機銃3門。最高速度は785㎞/h。