石油ファンヒーター
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石油ファンヒーターとは暖房器具の1つで、灯油を燃焼しそのエネルギーで得た熱を送風ファンによって排出し暖をとる電気製品である。 他の暖房器具に比べランニングコストが安いことが利点として挙げられるが、灯油の扱いや燃焼時の臭気、保存状態の悪さによって使用不能になるなどメンテナンスに劣等性がある。
1978年に三菱電機が初めて商品化し、以後各メーカーが参入した。しかし、近年では価格競争の激化などにより撤退したメーカーも多い。
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[編集] 基本的な構造
灯油をそのまま燃焼させる石油ストーブとは異なり、灯油を電気や燃焼筒の熱によって気化(ガス化)し、空気との混合ガスにして燃焼させ、発生した熱を本体背面にある送風ファンにより機外へと排出し、熱を室内へ送り出す。
原理上、家庭用電源を使用しているため停電時には使えなくなる。
[編集] 燃焼方式の違い
石油ファンヒーターには主に3種類の燃焼方式の違いがあり、各方式により以下のような特徴がある。
[編集] ブンゼン式石油ファンヒーター
灯油を気化器と呼ばれる場所で電気の力により熱し、自然吸気によって混合ガス化されたガスを燃焼筒で燃やす仕組みを持つファンヒーター。他の方式よりも消費電力が多い。とあるメーカー製の製品では3.2kWタイプのファンヒーターで98Wの電気が消費されてしまう。反面、初期着火が早く40秒~1分30秒ぐらいで燃焼が始まるファンヒーターもあり、また仕組みも単純でファンヒーターそのものの価格も安い。燃焼中の音は他方式に比べて大きい傾向にあるが、点火、消火時の臭いは少なく、燃焼中の臭いに関してはほとんど気にならないレベルである。
※クリーニング機能
ブンゼン式のファンヒーターの特徴である、気化器に付着したタールを焼き尽くしてしまう機能のこと。クリーニング機能動作時は強烈な異臭を放つので室外での動作をお勧めする。メーカーによってブンゼン式でもクリーニング機能がない機種も存在する(しかし、クリーニングが不必要というわけではない)。
[編集] ポンプ噴霧式石油ファンヒーター(ARCバーナー)
灯油を燃焼筒で発生した熱を利用し、機械的に空気と混合させて作った混合ガスを使用して燃焼筒で燃やす仕組みを持つファンヒーター。電気の力で灯油を温めないためブンゼン式に比べ格段に燃焼時消費電力が低い。3.2kWタイプのポンプ噴霧式ファンヒーターで21Wの消費電力ですむ。しかし初期着火の時間が遅く、着火までに2分から3分近くかかってしまう。この現象をカバーすべく各メーカーは早期着火スイッチなる機能を装備しているが、あくまでもアイドリング状態を維持させる機能であるため、その間の電力が消費される。冷え切った状態のファンヒーターでは早期着火スイッチを押してすぐに運転ボタンを押しても着火はされない。
反面、燃焼時に発生する臭気はブンゼン式やポット式に比べ少ないが、点火時、消火時の臭いは多い。機械的に空気を混ぜているので、混合ガス用空気を別の口から取り入れているのが特徴。ブンゼン式やポット式は送風用空気口と燃焼用空気口が同じなのに対し、ポンプ噴霧式は別の丸い口から取り入られるため高地(酸素が薄い地域)でも簡単な操作で使用が可能になる。
[編集] ポット式石油ファンヒーター
燃焼筒に灯油を流し込み燃焼させるタイプのファンヒーター。過去に多く作られていた方式だが近年では1社のみの製造となっている。混合ガスを作らないので、どんな灯油でも燃焼させることが出来るが、若干石油臭が多く排出されてしまう。
[編集] サイズ
各メーカー、燃焼サイズにより以下の通り分類されている。
- 2.5kW 7畳~9畳用
- 3.2kW 8畳~12畳用
- 3.4~3.6kW 9畳~12畳用
- 4.6~4.8kW 12畳~15畳用
- 5.4~5.8kW 15畳~20畳用
- 6.2~6.6kW 23畳~27畳用
[編集] 灯油の問題点
石油ファンヒーターメーカーが頭を抱えている問題として不良灯油、不純灯油がある。 販売店から初期不良として返品されてくる製品のほとんどがこの不良灯油や不純灯油が原因によって起きた故障によるものであり、未だユーザーには認知されていない大きな問題点でもある。 石油ファンヒータおよび石油ストーブは機械そのものを燃やしている部分はなく、気化された灯油を燃やしているだけなので機械的な故障は少ない。故障したと思ったらまず先に灯油を疑わなければならない。 また、対応した販売店の店員自体も不良灯油に関しては認知度が低く、ユーザーからのクレームを避けるためそのまま新品と交換してしまうことも多々ある。
不良灯油とは長時間放置していたり、昼夜の寒暖の差が激しい環境におかれたため、品質が劣化してしまった灯油のことを指す。不良灯油の見分け方としては、良質灯油は無色透明なのに対し、黄色く変色している。ひどいものになると滋養強壮剤のような色にまで変化してしまう。また、灯油自体の臭気にも変化があり、俗に言う「目にしみる」ような臭気であれば不良灯油になっていることが多い。昨シーズンに購入した灯油は夏を越えることにより不良灯油に変質している可能性が高く、使用すると故障の原因となるため、使用は避けるべきである。
不純灯油とは、灯油の成分以外のものが混ぜ合わさっている状態の灯油のこと。主に水、軽油、ガソリン等が混ぜ合わさっていることが多い。 中でも一番多い混合灯油は水の混入で、ポリタンクの蓋をしっかり閉めていなかったり、昼夜の寒暖の差が激しく、ポリタンク内で霜が降りてしまうと、水分が混ぜ合わさり不純灯油となってしまう。水は灯油より重いため灯油下部に溜まってしまい、水が入っていることに気づかずにそのまま給油ポンプで吸い上げてファンヒーターに注ぎ込んで使用すると故障してしまう。ファンヒーターを買ってきて灯油の混合を確認せずに最初に灯油を入れてしまうと不純灯油による故障が出てしまうことが多い。
水以外にも軽油やガソリンによる不純灯油もあり、そのまま使用すると目が痛くなったり、喉に不調を訴えたりと人体に影響が出るため使用は避けるようにする。また、火災の原因になることもある。
各メーカーとも不良灯油や不純灯油の使用による故障はメーカーが新製品購入者に行っている無償修理保証が適用されず、全て有償による修理の対応となるため、注意が必要である。
不良灯油や不純灯油による故障を避けるためには、
- シーズン越しの灯油は絶対使用しない。
- 寒暖の差が激しい場所での保管は避ける。
- 直射日光に当てない。
- 赤または青色のポリタンクを使用する(白色ポリタンクは水専用)。
- 長期保管は避け、信頼のある回転の速い販売店(ガソリンスタンドなど)で灯油を購入をする(毎日のように新鮮な灯油が届けられ、保管状態も良いため)。
などの対策が挙げられる。
不良灯油、不純灯油を使用すると以下の様な症状が現れる。
- 不良灯油を使用した場合
- 黒煙、白煙が噴出し口から大量に排出される。
- 耐えられない様な臭気が出る。
- 着火してもすぐに消火されてしまう。
- (芯式ストーブの場合)芯が黒く固まってしまい、芯が出なくなる(ダイヤル、レバーなどが操作出来なくなる)。
- 不純灯油(水が混入)を使用した場合
- 給油警告が常に出る。
- 火力が弱くなる。
- 着火されなくなる。 ―などが挙げられる。
なお、不良灯油や不純灯油はガソリンスタンドに申し出ると回収してくれる。
[編集] シリコーンの問題点
家庭用に使用されるヘヤスプレーやワックス材などに含まれるシリコーンをファンヒータのある部屋で使用すると、ファンヒータ内部にある炎検知器が誤作動を起こし運転しなくなってしまうことがある。これは炎検知器に気化されたシリコーンが付着してしまい、燃えているはずのバーナーを炎検知できなくなってしまい、不完全燃焼を起こしていると誤認して機械が判断し消火してしまうのである。噴出し口が白く汚れているときはシリコーンによる故障が多い。この場合の故障のときは機械を分解し、炎検知器を清掃または交換しなければいけないので修理が必要。
[編集] 主な石油ファンヒーターメーカー
- ブンゼン式石油ファンヒーター
- ポンプ噴霧式石油ファンヒーター(ARCバーナー)
- ポット式石油ファンヒーター
- 過去に製造していたメーカー