出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
'磁気誘導ループ(じきゆうどうるーぷ)とは、聴覚障害者用の補聴器を補助する放送設備のこと。 磁界を発生させるワイヤーを輪のように這わせることから、通称「磁気ループ」と呼ばれる。
[編集] 概要
磁気誘導ループは、補聴器に直接音声を送り込むための機材である。磁気を発生させるだけなので、対応する受信機材がなければ、なにも活用できない。 通常、補聴器は音を全体的に大きくする機材なので、周囲の雑音により音声の聞き取りが難しい場合がある。磁気誘導ループによりもたらされる磁気を受信し、音声信号に変える事で雑音の少ないクリアな音声を聴く事が出来る。
[編集] 構成と仕組み
機材は次のもので構成される。
- 磁気発生用アンプ
- 一般的に音声を発生させるアンプとは異なり、磁界を発生させるために必要な電流を発生させる機械。アンプそのものは音声データを磁気にかえるだけのシステムであるため、別途マイクや他の音響設備から音声信号を入力する必要がある。
- 磁気発生ワイヤー
- 磁気を発生させて、補聴器に信号をおくるためのワイヤー。受信者のまわりにワイヤーを這わし、ワイヤーの両端を磁気発生用アンプに繋ぐことで磁界を発生させる。磁気発生ワイヤーは特殊なもので、中には何本ものワイヤが束ねられている。工学的には、強力な磁界を発生させるためには磁気発生ワイヤーを何百回も巻く必要があるが、この磁気発生ワイヤーにある複数のワイヤーがこのかわりをしている。実際に利用する場合には、磁気を発生させたい領域を1周させるだけで必要な磁界を発生させることができる。
- 受信用補聴器
- 磁気を信号に変えるための「コイル」を搭載した補聴器のこと。安価な補聴器ではこのコイルを搭載していないものがある。磁気誘導ループの信号を受信するためには、補聴器にあるスイッチを「T」(テレフォン)へ切り替える作業が必要。
[編集] 関連項目