腕立て伏せ
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腕立て伏せ(うでたてふせ)は、代表的な筋力トレーニングの一つ。体育学では「腕立て伏臥腕屈伸」とも呼ばれる。また、プッシュアップとも呼ばれる。
[編集] 概要
うつ伏せになった状態から、全身の体重を両方の手のひらと両つま先の4箇所で支え、両腕を伸ばす力(肘関節を曲がっている状態から伸ばす動き)によって身体を持ち上げ、逆に肘関節を曲げて腕を折りたたむことにより身体が地面に付かない程度に下げることを繰り返すのが基本的な形である。通常は器具等は使用されず、身体のみにてできるトレーニングである。この際に腰を曲げず、頭部から腕を除く全身が常に直線状に維持されることが理想とされる。なお呼吸は、身体を持ち上げながら息を吐く方法と、持ち上げて最高点に達したところで吐ききる方法がある。
腕立て伏せを行う回数をもって、これ自体をスポーツないしは競技として捉えることも可能である。数える単位は通常「回」であり、身体の上下運動の一往復をもって一回と数えるのが一般的である。より競技性を求める場合には、正確なカウントが求められることになるが、代表的なカウント方法としては、肘を最も折りたたんだ状態から、一度伸ばし、再度肘が折りたたんだ状態になることで1回と数える方法がある。1回の往復運動が単位となることから、逆に肘を伸ばした状態から、折り曲げ、再度元の状態になるまでを1回とすることも考えられる。この際に身体が十分に押し下げられたことの基準として顎が地面に触れることを求めることもありうる。
[編集] 効果
物理学的に、腕の開き方によって負荷が掛かる箇所が変わる。両腕を思い切り開きながら行うと大胸筋に、両手を揃えながら行うと上腕二頭筋に負荷を掛けることができ、それぞれの筋肉をピンポイント的に鍛えることができる。
腕立て伏せはスポーツマンが特に高頻度に行う筋肉トレーニングの一種であり、特に腕力を鍛える上で重要である。筋肉や腕力をつける目的で行う場合には、高速に屈伸するよりも、ゆっくりと屈伸したほうが効率がよい。大きな負荷を連続的に掛けることができるからである。
[編集] 腕立て伏せの変種
腕立て伏せは一般的に掌を床について腕を屈伸させるが、空手やボクシングなどのトレーニングでは、指を立て掌を浮かした状態で行う 「指立て伏せ」や、拳を握った状態で行う「拳立て伏せ」、プッシュアップバーと呼ばれる道具を使ったものなどもある。これらは前腕部の筋力や握力の鍛錬に効果があるとされる。また、負荷を増すために、脚部を上体より高く傾斜させたり、さらにこれらを片腕で行う場合もある。 その場合手の幅を狭めて行うとダイヤモンド・プッシュアップと呼ばれ、肩の筋肉を鍛えることが出来る。あるいは、通常の腕立て伏せがきついと感じる時は膝をついて行うこともある。