DHC-8 (航空機)
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DHC-8(De Havilland Canada Dash 8)とは、1980年代初頭にカナダのデハビランド・カナダ社 (DHC)が開発した双発ターボプロップ旅客機である。これは1992年に米ボーイング社からDHC社を買収したボンバルディア社 (Bombardier Aerospace) によって現在生産されている。1996年以降この航空機は騒音・振動抑制装置が装備され、Qシリーズとして知られるようになる。
DASH8(ダッシュ・エイト)とはDHC-8シリーズの愛称である。
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[編集] バリエーション
このDash 8型機にはいくつかのバリエーションがある。
- Series 100:1984年に運用が開始された原型の37-40座席バージョン。日本では琉球エアーコミューター、天草エアラインが運航。
- Series 200:性能を改善したより強力なプラット・アンド・ホイットニー製 PW123型エンジンをSeries 100型機体に据付。日本ではオリエンタルエアブリッジが運航。
- Series 300:Series 100/200型を3.4メートル胴体延長した、1989年に運用が開始された50-56座席バージョン。日本ではエアーニッポンネットワークが運航する他、琉球エアーコミューターが導入を決定した。
- Series 400:2000年に運用が開始された胴体延長及び70-78座席に性能向上したバージョン。三菱重工業がリスクシェアリングパートナーとして開発に参加、中胴、後胴、垂直尾翼、水平尾翼、エレベーター/ラダー、ドアなど全体の半分近くの設計・製造を行っている。かつて日本が製造したYS-11より少し大きな機体で、効率の良い6枚ブレードのプロペラを装備して比較的低回転数(離陸時1020rpm、巡航時850rpm)で所要の出力を発揮する。新しい騒音・振動抑制装置を装備しており、乗り心地はYS-11よりかなり改善されている。日本では2003年に日本エアコミューターが運航を開始、その後エアーニッポンネットワーク・エアーセントラル運航。
1996年第2四半期以降に製造されたシリーズ全機種に騒音・振動抑制装置(NVS)を装備。その機体名に『Q』(Quiet の略)を付し『Q400』や『Q100』と呼んでいる。
[編集] スペック
DHC-8-100 | DHC-8-200 | DHC-8-300 | DHC-8-400 | |
全長 | 22.25 m | 25.68 m | 32.84m | |
全巾 | 25.91 m | 27.43 m | 28.42m | |
最大離陸重量 | 16466kg | 19505kg | 29257kg | |
座席数 | 37-40席 | 50-56席 | 70-78席 |
[編集] 競合機種
フォッカー社・フェアチャイルド ドルニエ社の倒産、サーブ社の競合機種の製造終了のため、現在では競合機種は少なく、世界中の航空会社で採用されている。
[編集] ATR (Avions de Transport Régional)
[編集] フォッカー
[編集] サーブ
- サーブ340:33-35座席、GE社製 1,750shp CT79B型エンジン (340Bバージョン)。1998年に生産終了。
- サーブ 2000:50座席、ロールスロイス社製 4,000shp AE2100型エンジン、巡航速度360kt。生産は1999年に終了。
[編集] Fairchild Dornier
Dornier 328:32座席、PW119型エンジン。生産は短期間。
[編集] トラブル
エアーニッポンネットワークが導入したSeries 400(DHC8-400型機)で度重なるトラブルが問題化。主脚を格納する油圧系統の動作不良、油漏れが相次いだほか、設計ミスによる配線不良や電子機器の故障が発覚、機体整備による欠航や離陸後に引き返す事例が多発した。事態を重視した国土交通省は、2006年6月にカナダ政府及びボンバルディア社に対して異例の改善要求を行っている。