アラウィー派
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アラウィー派(العلوية al-‘Alawīya)は、イスラム教(イスラーム)の一派。主にシリアの山岳地帯に分布する。アラウィーはアラビア語で「アリーに従う者」に意味し、9世紀のシーア派の活動家イブン・ヌサイルの名からヌサイリー派とも言う。一般にシーア派の系統に属すとされるが、シーア派のどこから分派したかは正確には明らかではなく、また他の宗派と大きく異なった教義を持ち、イスラムの枠内にあるかは微妙とする意見もある。トルコにはトルコ語でアレヴィー派と呼ばれる同一系統の名称をもったグループがいるが、シリアのアラウィー派との関連については不明な点が多い。
シリアではアラウィー派は人口の1割強ほどであるが、軍部やバアス党の有力者を輩出しており、シリアは実質的にアラウィー派コミュニティに支配されていると言われる。アサド大統領父子もアラウィー派の出身である。
[編集] 教義
イスマーイール派やキリスト教にシリア地方の土着宗教の要素があわさったと考えられる独特の教義を持つ。女性に魂はないとされるため、教義は男性のみのサークル内の秘伝とされ、神秘主義の色彩が強い。
「正統派」イスラムとは異なり、神(アッラーフ)は人間の姿をとって現れることがあるとする。アリーは神が地上に現した最後の姿であると考え、神格化される。また、アリーは「本質」を意味し、「名」(宣教者)であるムハンマドと「門」(解釈者)であるサルマーンという不可分の要素である2名の人物とともに地上に現れたのだとする一種の三位一体思想を持ち、それぞれを月・太陽・天空になぞらえて信仰する。
また、生前に善行を積めば死後ほかの人間に、悪行を重ねれば動物に生まれ変わるというインドの輪廻に似た転生思想や、キリスト教から取り入れたと考えられる聖霊の祝祭なども他のイスラム教宗派との大きな相違点である。