ガム
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ガム(gum)はチューインガム(Chewing gum)の略で、噛むことによって味が出る菓子。
ガムの主原料は天然樹脂のチクルである。風船ガムでは酢酸ビニル樹脂(ポリ酢酸ビニル)も使われる。これに炭酸カルシウム、ポリイソブチレン、甘味料、香料を加えて作られる。
通常は噛むだけで飲み込まない。もし飲み込んだとしても体内で消化吸収されずにそのまま排出される。形状は板状、粒状ものがあり粒状には糖衣のようなコーティングを施されている。
配合する材料により味を自由に設定できるが、多くの場合甘味がついている。無砂糖のガム(キシリトールガムなど)は、歯磨きの代わりに噛まれることがある。
日本チューインガム協会によると、2004年時点でキシリトール入りがガム市場の6割を占めている。キシリトール入りは、板状より粒状が主流。
風船ガム(バブルガム)は、ゴム風船のようにふくらませるために作られたのガムで、これも甘い味がついている。
平安時代、6月1日に餅などの固いものを食べ、健康と長寿を祈る「歯固め」の風習があったことから、協会では1994年、同日をガムの日・チューインガムの日と設定した。
しかし、公共施設の床面の醜いポイ捨てガムの除去には苦慮しており、東京原宿表参道など、ガムバスターズなどのガムを除去ための機器を導入している所もある
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[編集] 効能 (と考えられているもの)
ガムに限らないが、ものをかみ続けていることで眠気を防いだり集中力をあげたりできるとされる。すなわちガムをかむとアゴを動かす咬筋が活発に運動する、そのため咬筋内にある紡錘型をした感覚器官「筋紡錘」を刺激し感覚神経が活発となるためである。眠気防止のためのガムとしてはカフェインを配合したり刺激的な味にすることでいっそうの効果を挙げることを期待したものが販売されている。集中力をあげるためのものでは特に多い味というものはないが、メジャーリーグの選手などで試合中でもガムを食べている場面が撮影されることがある(ただし、噛みタバコやヒマワリの種を噛んでいるの場合もある)。日本では、試合中にガムを噛む姿が「真剣さが無い・不真面目である」と非難の対象にされる事があった。
またかみ続けることで顎の筋肉が鍛えられるため、顎関節症やそれに伴う諸症状などの予防や緩和に繋がると考えられているが、逆に顎を酷使するため、発症者には厳禁との見方もある。その他、現代の食生活では柔らかいものばかりを摂りがちで、加齢と共に頬や顎の肉が垂れて来る人が多いが、その緩和(フェイスラインの引き締め)にも多少の効果はある。
[編集] 歴史
アメリカ大陸の先住民族がエゾマツの樹脂を噛んでいたのが由来とされるが、これより以前にヨーロッパでも弾力性のある物質を噛む風習があったという説もある。
最初のガムは味がなく、パラフィンでできていた。1848年、アメリカ合衆国でジョン・カーティスが「メイン州純正スプールガム」というパラフィンガムを発売した。
1871年には、トーマス・アダムスが「アダムス・ニューヨーク」といチクルガムを発売。まだ味はついていなかった。
1879年には初の味つきガムをジョン・コルガンが発売した。
風船ガムは1880年代には存在した。最初の製造者はフランク・ヘンリーと伝えられる。
ガムの自動販売機は、アメリカでは19世紀末には既に存在した。