クライヴ・バーカー
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クライヴ・バーカー(Clive Barker, 1952年10月5日 - )は、イギリスの小説家、脚本家、映画監督。
ホラーとファンタジーの分野の第一人者。そのキャリアはホラー小説で始まり、初期の代表作は『血の本』(Books of blood)シリーズに収められている短編である。『血の本』は、世界幻想文学賞と英国幻想文学賞を受賞した。
スティーヴン・キングがバーカーの作品を絶賛したエピソードは、ファンの間では広く知られている。最近ではホラー要素を含んだ大作の現代ファンタジーに重点を移している。
バーカーの作品は、私たち自身のなかにも存在するファンタジー的な世界(これについては同世代のニール・ゲイマンとも思想が共通している)、超自然的な性の役割、複雑に絡み合った神話学の構造などを特徴としている。
映画監督としての顔も持つ。代表作は自身の作品『ヘルバウンド・ハート』の映画化である『ヘルレイザー』(1987年イギリス)。
映画監督としては常にホラー映画に重点をおいており、『ミディアン』や『ロード・オブ・イリュージョン』を監督している。かれの初期の短編映画The ForbiddenやSalomeは、シュルレアリスム的な要素のある実験アートでもある。
バーカーは、多彩な視覚芸術家でもあり、さまざまなメディアで活躍している。時には自身の本のイラストも手がけたり、個展を開いたりしている。Clive Barker's Undying (Dreamworks Interactive, 2001)というゲーム作品も好評をもって迎えられている。
バーカーの作品の、とくにホラーの面から同性愛のテーマを感じるファンもいるようであるが、かれ自身、同性愛者であることを公言している。
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[編集] 経歴
イングランドの港町リヴァプールに生まれる。ビートルズの歌「ペニー・レイン」で有名なペニーレインで少年時代を送った。ポーやブラッドベリの小説を耽読する。
14、5歳のころ、ヒッチコックの監督作品『サイコ』とジョージ・パルの監督作品『宇宙戦争』の2本立て映画を観たとき、ホラー小説を書きたいと考え始めた。また、著名なホラー小説家であったラムゼイ・キャンベルの講演を聴いたことも、ホラーを書きたい意欲をかきたてた。しかし、バーカーはこのころ、演劇に熱中し、みずからも戯曲を執筆していた。
リヴァプール大学に進学。劇場などでアルバイトをする。英語学と哲学を専攻して学士号を取得する。
大学卒業後、ロンドン北部のクラウチ・エンドに移住し、演劇の世界に入り、戯曲の執筆に力を注いだ。
[編集] 作品
[編集] 小説
- 『血の本』シリーズ
- 宮脇孝雄訳『ミッドナイト・ミートトレイン』(『集英社文庫』)、集英社、1987年1月。ISBN 4-08-760125-0
- 大久保寛訳『ジャクリーン・エス』(『集英社文庫』)、集英社、1987年3月。ISBN 4-08-760126-9
- 宮脇孝雄訳『セルロイドの息子』(『集英社文庫』)、集英社、1987年5月。ISBN 4-08-760127-7
- 大久保寛訳『ゴースト・モーテル』(『集英社文庫』)、集英社、1987年7月。ISBN 4-08-760129-3
- 宮脇孝雄訳『マドンナ』(『集英社文庫』)、集英社、1987年9月。ISBN 4-08-760132-3
- 矢野浩三郎訳『ラスト・ショウ』(『集英社文庫』)、集英社、1987年11月。ISBN 4-08-760136-6
- 宮脇孝雄訳『魔道士』、集英社、1988年2月。ISBN 4-08-773091-3
- 宮脇孝雄訳『ヘルバウンド・ハート』(『集英社文庫』)、集英社、1989年6月。ISBN 4-08-760167-6
- 宮脇孝雄訳『死都伝説』(『集英社文庫』)、集英社、1989年6月。ISBN 4-08-760166-8
- 酒井昭伸訳『ウィーヴワールド』上・下、集英社、1989年10月。ISBN 4-08-773105-7 / ISBN 4-08-773106-5(のち、集英社文庫に収録、1994年11月刊。ISBN 4-08-760255-9 / ISBN 4-08-760256-7)
- 山本光伸訳『不滅の愛』上・下(『角川文庫』)、角川書店、1991年4月。ISBN 4-04-247001-7 / ISBN 4-04-247002-5(のち、改版され角川ホラー文庫に再収録、1995年4月刊。ISBN 4-04-247001-7 / ISBN 4-04-247002-5)
- 中田耕治・松本秀子訳『ダムネーション・ゲーム』上・下(『扶桑社ミステリー』)、 扶桑社、1991年9月。ISBN 4-594-00803-8 / ISBN 4-594-00804-6
- 加藤洋子訳『イマジカ』1~4(『扶桑社ミステリー』)、扶桑社、1995年7月~1995年8月。ISBN 4-594-01783-5 / ISBN 4-594-01784-3 / ISBN 4-594-01793-2 / ISBN 4-594-01794-0
- 池央耿訳『アバラット』、ソニー・マガジンズ、2002年12月。ISBN 4-7897-1973-1(のち、ヴィレッジブックスに収録、2005年11月刊。ISBN 4-7897-2690-8)
- 嶋田洋一訳『冷たい心の谷』上・下(『ヴィレッジブックス』)、ソニー・マガジンズ、2003年10月。ISBN 4-7897-2135-3 / ISBN 4-7897-2136-1
- 池央耿訳『アバラット』2、ソニー・マガジンズ、2004年11月。ISBN 4-7897-2414-X
[編集] 評論
- (スティーヴン・ジョーンズと共編著)日暮雅通訳『クライヴ・バーカーのホラー大全』、東洋書林、2001年9月。ISBN 4-88721-531-2
[編集] 映画
- 「ヘルレイザー」シリーズ
- 『ヘルレイザー』
- 『ヘルレイザー2』
- 『ヘルレイザー3』
- 『ヘルレイザー4』
- 『ヘルレイザー・ゲートオブインフェルノ』
- 「キャンディマン」シリーズ
- 『キャンディマン』
- 『キャンディマン2』
- 『キャンディマン3』
- 『ロード・オブ・イリュージョン』
- 『ミディアン』