クラフトワーク
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クラフトワーク(Kraftwerk、ドイツ語読みでクラフトヴェルク、発電所の意)は、ドイツの電子音楽演奏集団、テクノユニットである。
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[編集] 歴史
1970年にドイツのデュッセルドルフでラルフ・ヒュッターとフローリアン・シュナイダーにより結成された。当初は前衛的電子音楽を発表しリスナーにはジャーマン・プログレッシヴ・ロックとも捉えられていたが、『アウトバーン』の商業的成功以降、徐々にポップス、そしてダンスミュージックに方向転換していく。彼等の楽曲は電子楽器を用いた(テクノポップやデトロイト・テクノを含めた広義の意味での)テクノ・ヒップホップ・ユーロビートなどの音楽ジャンルの発展に大きな影響を与え、サンプリングの元ネタとしてはジェームス・ブラウンとともに最も使われているアーティストとも言われる。なかでもヒップホップの巨人アフリカ・バンバータはクラフトワークから多大な影響を受け、いわゆる「エレクトロ・ファンク」という新しいサウンドを生み出した。
初期の実験的アルバム以降の彼等の作品は各アルバムごとに明確なコンセプトが提示されており、その主題も「高速道路」「放射能」「鉄道」「ロボット」「コンピュータ」など、従来のバンドが取り上げなかったきわめて即物的・無機的なものが多い。その反面、ポップなメロディと、機械によるジャストでありながらファンキーなリズム、そして彼等のユーモアセンスによって親しみやすいものとなっている。結成35年を迎えたが一時の停滞期を乗り越え、現在また盛んな音楽活動を行っている。代表曲に「アウトバーン」、「ロボット」、「ツール・ド・フランス」、日本語で歌詞が書かれた「電卓」(来日ライブでは、この曲を本物の電卓を持って歌った)などがある。
過去のライヴでは、膨大な機材群をステージ後方におびただしく並べて演奏していた。現在のライヴでは、巨大な3面スクリーンに映される、演奏と完全同期した映像がフィーチャーされている。機材構成は機動性を生かしたシンプルなものであり、メンバー4人がSONY社製のノートPC・VAIOと、スタインバーグ社製のDAWソフト・Cubaseによって楽曲をリアルタイムでコントロールしている。
[編集] メンバー
[編集] 現在のメンバー
- Ralf Hütter ラルフ・ヒュッター
- Florian Schneider Eßleben フローリアン・シュナイダー=エスレーベン
- Henning Schmitz ヘニンヒ・シュミッツ
- Fritz Hilpert フリッツ・ヒルパート
[編集] 過去に在籍していたメンバー
- Klaus Dinger クラウス・ディンガー (脱退→Neu!→La Düsseldorf→La!Neu?)
- Michael Rother ミヒャエル・ローター (脱退→Neu!→Harmonia→Solo)
- Thomas Hohman トーマス・ホーマン (脱退)
- Klaus Roeder クラウス・レーダー (脱退)
- Wolfgang Flür ヴォルフガング・フリューア (脱退→Yamo)
- Karl Bartos カール・バルトス (脱退→Elektric Music(Electric Music)→Solo)
[編集] 歴史
- 1968年、ラルフとフローリアンによりクラフトワークの前身とも言うべきグループ、オルガニザツィオーン(Organisation)結成。
- 1969年、実験的アルバム『トーン・フロート』(Tone Float)をリリース。
- 1970年、グループ名称をクラフトヴェルク(Kraftwerk)に変更。世界的には英語読みの「クラフトワーク」で通用している。
- 1974年、アメリカのラジオ番組から火がつき「アウトバーン」が世界的にヒット。一躍有名に。この作品から1981年の『コンピューターワールド』の頃までが全盛期であり、世界で多くのフォロワーを生み出す。
- 1980年代半ば~ 音づくりへのこだわりからアルバム制作は滞り、グループとしての活動も次第にペースが落ちて行く。
- 1990年代後期~ ワールドツアーライブを中心に、徐々に精力的な活動を再開
- 2000年、ドイツハノーファー万博のテーマ曲としてシングル「EXPO2000」リリース。
- 2003年、17年ぶりの新作アルバム『ツール・ド・フランス』リリース。
- 2005年、初の2枚組ライブアルバム『ミニマム・マキシマム』、同名のライブDVDリリース。
- 2006年、1974年から2003年まで発表した曲のベストアルバムをリリースする予定。
[編集] ディスコグラフィー
- 『クラフトワーク』 - Kraftwerk (1971)
- 『クラフトワーク 2』 - Kraftwerk 2 (1972)
- 『ラルフ&フローリアン』 - Ralf & Florian (1973)
※以上3枚は現在正規盤ではリリースされておらず入手困難。
- 『アウトバーン』 - Autobahn (1974)
- 『アウトバーン・ツアー』 - Concert Classics (live; released late 1990s but recorded 1974 or 1975)
- 『放射能』 - Radio-Activity (1975)
- 『ヨーロッパ特急』 - Trans-Europe Express (1977)
- 『人間解体』 - The Man Machine (1978)
- 『コンピューター・ワールド』 - Computer World (1981)
- 『エレクトリック・カフェ』 - Electric Cafe (1986)
- 『The Mix』 - The Mix (1991) (a sort-of compilation reworking old songs)
- 『ツール・ド・フランス』 - Tour de France Soundtracks (2003)
- 『ミニマム・マキシマム』 - Minimum-Maximum (2005)
なお、『放射能』以降の楽曲は一部を除き一般バージョンの英語版とドイツ語圏向けのドイツ語バージョンの2種類が存在する。そのため、同じアルバムでも基本的に英・独2バージョンリリースされる(『ツール・ド・フランス』は1バージョンのみ)。例外として「ポケットカルキュレーター」(『コンピューター・ワールド』収録)のように英・独・仏・日の4カ国語や「ショウルーム・ダミー」(『ヨーロッパ特急』収録)の英・独・仏の3カ国語、「セックスオブジェクト」(『エレクトリック・カフェ』収録)の英・独とスペイン版初回限定で収録されたスペイン語版の3カ国語、1983年に出たシングル「ツール・ド・フランス」(日本未発売)の独語とタイトルにちなんだ仏語の2カ国語といった例外もある(ツール~は現在は仏語のみ歌われている)。 特殊なバージョン違いの例としては、通常6曲収録である1986年のアルバム『エレクトリック・カフェ』は、韓国版のみ儒教社会に与える影響を考慮して「セックス・オブジェクト」をカットした全5曲収録としてリリースしている。
[編集] 代表曲
- アウトバーン(1974年)
- ヨーロッパ特急(1977年)
- 『ヨーロッパ特急』収録。かつてヨーロッパを走った特急「ヨーロッパ特急(TEE)」をモチーフ。鉄道の走行音を再現している。同じアルバムの収録曲「メタル・オン・メタル」はこの曲の続編である。アフリカ・バンバータの「プラネット・ロック」はこの曲をサンプリングしている。
- ロボット(1978年)
- モデル(1978年)
- 『人間解体』収録。1982年にイギリスのチャートで1位になる。
- 電卓(1981年)
- 『コンピューター・ワールド』収録。日本語の歌詞が話題に。余談だが、英語版は「ポケット・カリュキュレーター」。
- ナンバース(1981年)
- 『コンピューター・ワールド』収録。英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロシア語、そして日本語の数字を歌う。
- ミュージック・ノン・ストップ(1986年)
- 『エレクトリック・カフェ』収録。ライブでは必ず最後に演奏する。
- ツール・ド・フランス(2003年)
- 『ツール・ド・フランス』収録。フランスの自転車レース、ツール・ド・フランスをモチーフ。元々1983年にシングルで出したが、2003年にアレンジ。ツール・ド・フランスのテーマ曲。映画『ブレイクダンス』のターボのホウキのシーンで使われ話題になった。
[編集] 外部リンク
- KRAFTWERK offcial Web Site
- German Kraftwerk-Forum
- Elektronik Tanzpalast
- The Kraftwerk FAQ - Kraftwerk Frequently Asked Questions and answers
- ANTENNA - The International Kraftwerk Mailing list
- クラフトワーク神社
- クラフトワーク メーリングリスト
- 伝説のテクノバンド"クラフトワーク"は Cubase SX を選んだ - Steinberg Japanのアーティスト情報一覧より