クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズ
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『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ! 夕陽のカスカベボーイズ』(クレヨンしんちゃん あらしをよぶ ゆうひのカスカベボーイズ)は、2004年4月17日に公開された『クレヨンしんちゃん』の劇場映画シリーズ第12作目。
前作のコメディ路線から一転し、再びシリアスな作品になった。
水島努が監督した2つ目の作品。上映時間は96分。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] おはなし
リアル鬼ごっこで遊んでいたカスカベ防衛隊は、町中を駆け回っているうち、一軒の潰れた古い映画館「カスカベ座」を見つけた。
誰もいないはずの劇場では、音も無い映画が上映されていた。それを見つめるカスカベ防衛隊。だが、トイレに立ったしんのすけが戻ると、風間くん達は姿を消してしまっていた・・・。
夜になり、行方不明になったみんなを心配した野原一家はカスカベ座に入るが、延々と映される荒涼とした原野の映像に目を奪われてるうち、気が付けば映画と同じ荒野に立っていた。
荒野を歩いていくと、西部劇に出てくるような町があった。野原一家は帰り道を聞くため酒場に入るが、そこで人相の悪い連中に因縁をつけられ、乱闘騒ぎになってしまう。ほどなくしてシェリフが制止に現れるが、なんとその隊長は風間君であった。しんのすけは親しげに話しかけるが、いきなり腹を殴られてしまう。風間君はしんのすけたちのことを忘れているようで、性格も粗暴になっていた。さらに、腹を立てた風間君は野原一家を捕らえるよう保安隊に指示する。
野原一家は逃げる途中、この町(ジャスティスシティ)の知事に仕えているつばきという少女に救われた。この場所が何なのかはわからないが、つばきは「帰りたいという気持ちが強いのなら、その気持ちを忘れずに持ち続けてください」と一家にアドバイスする。
マイクという男性が保安隊に強制連行されてきた。つばきによると「余計なことをしていつも保安隊にひどい目に遭わされている」という。マイクが保安隊から暴行を受けているところに知事ジャスティスがやってくるが、拱手傍観して去っていった。野原一家はマイクを介抱し、事情説明を求める。どうやらマイクも、野原一家と同じく映画館で映像を見ているうちにこの町に来たらしい。マイクは立入禁止区域に指定されている場所に何かがあると思い侵入したらしいのだが、何もなかった上に保安隊に見つかり厳しい体罰を受けたという。しかもマイクは、自分の職業や家族を忘却していた。
野原一家は帰る方法も見つからず思案に尽きるが、春日部にいた頃の記憶を忘れぬよう確固たる意志を持って、何としても帰る方法を模索する。しかし、それでも記憶は徐々に薄れていく。ひまわりはしんのすけのことを忘れ、しんのすけもぶりぶりざえもんの絵が描けなくなってしまっていた。
マサオ君とネネちゃんは夫婦になっていた。しんのすけは春日部に帰ろうと誘うが、彼らも春日部の記憶をなくしており、その上今の状況に満足していると帰るのを頑なに拒む。しかし町はずれで閑居していたボーちゃんだけはしんのすけたちのことも憶えており、まだ春日部に帰りたいという気持ちも強いという。そこでしんのすけはボーちゃんとともにいつもの掛け声「カスカベ防衛隊、……!」と叫ぼうとするが、二人ともあのかけ声を忘れてしまっていた。
果してカスカベ防衛隊と野原一家は、本当の自分を取り戻し、無事春日部に帰る事が出来るのだろうか…。
[編集] 概要
主要人物の一人であるマイクのモデルは映画評論家のマイク水野こと水野晴郎であるが、本人に無許可であったため、水野晴郎事務所が配給元の東宝に問い合わせたという椿事も起こった。クライマックスの戦闘シーンでは、マイクの呼んできたアンチ・ジャスティスの一派として初代『荒野の七人』の面々が顔を連ねており、随所に西部劇のパロディが散見される。また、オケガワ博士を引きずり回す場面や、しんのすけやみさえらに鞭を打つ場面など、非人道的な暴力描写が多いのも特徴。前作『嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード』からまた一転して『嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』以来の感動作でもある。最終カットのしんのすけの行動についてさまざまな憶測が飛び交った。
オープニングでは『オラはにんきもの』が9年ぶりに再び使用され、話題になった。なぜ使用されたかはファンからはオールドファンへのファンサービスという説もあるが、明確な理由は分かっていない。主題歌はNO PLANが担当しており、本編にもわずかながら出演している。
[編集] つばきとしんのすけ
今作品では、しんのすけが初めて女子高校生未満の女の子(14歳)に恋をする。
しんのすけは初めはつばきに対して可愛いと思いつつ、特別な感情を抱いていなかったのだが、可憐で清楚、優しくて控えめなつばきに少しずつ惹かれていく。後半では愛の告白をする場面も見られる。つばきの正体は映画にほとんど登場していないシロではないか。理由はつばきの下着の色と、最終カットであるが、特に根拠はない。
そして、つばき=シロにすると、疑問点が出る。
・シロだけが映画で、全く別の姿になったこと
・最終カットで、シロが扉の外から現れたこと(中に居ないと、映画内に入られないと思われるため)
・つばきがしんのすけ達より先に居たことを、裏付けるようなセリフがあるが、シロがしんのすけ達より先に映画に入る可能性が著しく低いこと(わざわざ先回りして、映画に入る理由が無い)
[編集] キャスト
- つばき:齋藤彩夏
- マイク:村松康雄
- オケガワ:長嶝高士
- 酒場のマスター:島香裕
- へんな顔の男:宝亀克寿
- 保安隊隊長:玄田哲章
- 保安隊副隊長:大友龍三郎
- 保安隊:今村直樹
- 保安官助手:服巻浩司
- 町人:坂口賢一、中尾みち雄、新千恵子
[編集] スタッフ
- 監督、脚本:水島努
- 絵コンテ:水島努、原恵一
- 演出助手:高橋渉
- キャラクターデザイン:末吉裕一郎
- 作画監督:原勝徳、大森孝敏、針金屋英郎、間々田益男
- 美術監督:森元茂、古賀徹
- 色彩設計:野中幸子
- 撮影監督:梅田俊之
- 編集:岡安肇
- ねんどアニメ:石田卓也
- 録音監督:大熊昭
- 音楽:荒川敏行、宮崎慎二
- チーフプロデューサー:木村純一、茂木仁史、生田英隆
- プロデューサー:山川順一、和田泰(シンエイ動画)、西口なおみ(テレビ朝日)、すぎやまあつお (ADK)
- アシスタントプロデューサー:吉川大祐(テレビ朝日)
- ラインプロデューサー:木野雄
- 制作デスク:馬渕吉喜、吉田有希
- 制作:シンエイ動画、テレビ朝日、ADK
- 原画:末吉裕一郎、高倉佳彦、林静香、湯浅政明、松下浩美、和泉絹子、重本雅博、榎本結、尾鷲英俊、宮沢康紀、加来哲郎、金子志津枝、鈴木大司、大武正枝、 辻繁人、竹内哲也、浅野勝也、千葉崇洋、植村淳、東出太、板津匡覧、牧原亮太郎、さくましげこ、石川貴正、松井理和子、上乃つぐ美、山地万、石井智美、篠原真紀子、角張仁美、橋本とよ子、原勝徳、大森孝敏、針金屋英郎、間々田益男
- 京都アニメーション:高橋博行、北之原孝将、浦田芳憲、坂本一也、門脇聡、古賀馨、三橋徹、紫藤晃由
- アニメーションDo:吉岡忍、米田光良、池田和美、上野真理子
- M.S.C:佐藤雅弘、関口可奈味、石井百合子、宮脇千鶴、佐藤陽子
- じゃんぐるじむ:茂木琢次、前田一雪、松浦仁美、長谷川哲也
- Production I.G:泉広代、樋口善法
[編集] 主題歌
- オープニング:「オラはにんきもの」
- エンディング:「○(マル)あげよう」