ゴクリ
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ゴクリ(ゴラム、Gollum、第三紀2430年? -3019年3月25日)は、J・R・R・トールキンの中つ国を舞台とした小説、『ホビットの冒険』、『指輪物語』の登場キャラクター。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
元はアンドゥインのほとりに住んでいたホビットの三支族の一つである水に親しむストゥア族の一人といわれ、本来の名前はスメアゴル (Sméagol) といった。元は決して邪悪な存在ではなかったが、一つの指輪が持つ魔力に影響され、狡猾さや残忍さを身に付けてしまい、最後にはこのために命を落とした。しかし結果的に、かれの狡猾で残忍な性格が指輪を破壊する一助にもなっており、二つの物語でも象徴的な存在として描かれている。
「ゴクリ」という名前は「つばを飲み込む音」から名づけられた(原作では「Gollum」)。川辺で偶然一つの指輪を発見した友人のデアゴルを殺してこれを強奪。長らく所有した結果、指輪の力によりかれの寿命は何倍にも引き延ばされ、姿形も変わってしまう。霧ふり山脈のゴブリン(オーク)洞穴の奥深くにある地底湖で魚やゴブリンを捕らえては食べながらひっそりと暮らしていたが、『ホビットの冒険』でビルボ・バギンズによってこの指輪を奪われ、以後失った指輪を探し回る。『指輪物語』ではキーになるキャラクターである。
骨と皮ばかりに痩せており、目ばかりがぎょろりとした姿で頭髪・体毛はほとんど失われ、手足の感覚は鋭く木登りが得意な他、壁面を貼り付くように移動することができる。泳ぎもうまく、水音を立てずに泳ぐのも上手だが、これだけでもおよそホビットらしからぬ性質と言える。日の光を嫌う他、火を通した料理を受け付けず、また匂いに敏感で、特にエルフを思い出させる匂いや味には強い拒絶反応を示す。体が指輪の力で変化してしまった後遺症かもしれない。
指輪の邪悪な力に影響されたのと、地底で永い間を孤独に暮らしていたことから精神的に病んでいる。この孤独な暮らしからか二重人格的な行動を取り、自分のことや自分の独り言の相手、他人や一つの指輪のことまでも、話し掛ける相手は皆「いとしいしと (my Preciouss)」と呼んでいた。指輪を失ったことで「いとしいしと」と固執する相手は指輪のみとなった。
指輪を失って後は放浪を続け、その黒く捻じ曲がった心から冥王や他の強力な力を持つ残忍な者の意思により、指輪への渇望を抱いていた。ビルボの相続人で指輪継承者となったフロド・バギンズとは、『指輪物語』を通じて関係を持つようになるが、一頃は指輪の威を借りたとはいえフロドに対して敬愛に似た感情を抱いていたかのような行動も見せた。しかしモルドールに近付くにつれて指輪への渇望に抗し難くなり、裏切りを経て離別、再びフロドを付け狙った。
フロドに同行してモルドールに近付くにつれて精神的に更に追いこまれたためか、ついには「スメアゴル」と「ゴクリ」という人格に分離、僅かながら良心を残すが臆病で卑屈なスメアゴルと、粗暴で陰湿なゴクリのやり取りは、作中にて一つの見せ場となるが、映画化の際には、更に強調された印象深いシーンとなっている。
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