シグルズ
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シグルズ (Sigurðr(古ノルド語)) は、北欧神話に登場する英雄。『ニーベルンゲンの歌』の主人公ジークフリートと起源を同じくする。
その物語には様々な異説があるが、『ヴォルスンガ・サガ (Volsunga Saga)』によれば、英雄シグムンドとヒョルディースの息子でシンフィヨトリの異母兄弟。父の形見の名剣グラムを振るい、さまざまな軍功を挙げた。
鍛冶屋のレギンに養われていたシグルズは、ある時、竜の姿をした小人ファーヴニルを退治して、その財宝を手に入れる。それを唆したのはレギンだったが、実はレギンはファーヴニルの弟で、兄の財産を独り占めにする為にシグルズを利用していたのだ。しかし、シグルズはファーヴニルの心臓の脂を口にした為、その魔力で鳥の言葉がわかるようになっていた。そして、シジュウカラの言葉から、レギンが自分を亡き者にしようとしている事を知った彼は、レギンを返り討ちにし、旅に出る。
旅の途上、シグルズは、イバラの中に閉じ込められていたワルキューレのブリュンヒルドを救い出し、彼女と恋に落ちる。しかし、ライン河畔のギューキ王の宮廷で忘れ薬を飲まされ、ブリュンヒルドを忘れて王女グズルーンと結婚する。
その後シグルズは、グズルーンの兄グンナルの為に、かつての恋人ブリュンヒルドを嫁がせる約束をし、グンナルに化けて彼女に求婚する。かねてからブリュンヒルドは、自分の城を囲む炎を乗り越えてきた勇士と結婚する誓いを立てていた為、やむを得ずグンナルと結婚する。
しかし、その後ブリュンヒルドは真実を知り、本来シグルズの妻になるべきは自分だと主張してグズルーンと対立。ついにシグルズ殺害までも思い至り、グンナルとその弟グットルムにシグルズを殺させる。
以後、シグルズの遺産(特にファーヴニルから奪った財宝)を巡って、多くの悲劇が起こる事になる。