ショウロ
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ショウロ(松露、Rhizopogon rubescens)は腹菌亜綱ヒメノガステル目ショウロ科のキノコ。菌糸体はマツの根に菌根をつくり共生する。
子実体は春と秋、海岸などの松林の地上に土に埋もれた状態で発生。半ば地上に現れることも多い。やや平たくゆがんだ球状ないし団子状で、属名RhizopogonはRhiz「根」pogon「ひげ」という意味であるとおり、子実体の下には根状菌糸束がある。白色後黄褐色となり傷つけると赤く変色する。地上に露出した部分は早く黄褐色になる。胞子の成熟前は食用。若い時期には独特の果物を思わせる芳香とサクサクとした歯ごたえがある。
胞子の成熟とともに内部がやや緑がかった黄褐色に変色し、この時期になると劣ったものとされ、吸い物などにすると胞子が汁を濁らせてしまう。さらに成熟すると内部が自己分解して茶褐色の液状となり、エステル系の強い臭気を発し、そのにおいはドリアンに似るという人もいる。この状態となったものをマツの根に与えて菌根を作らせることができる。
生態的には先駆植物に類似した性格を持ち、強い攪乱を受けた場所に典型的な先駆植物であるクロマツやアカマツが定着するのに伴って現れたり、既存のマツ林に林道開設などで生じた撹乱地に現れたりするが、同一地点で長期にわたって発生することはなく、たいていは5年程度で発生しなくなる。
胞子の形状や遺伝子の比較によって系統的にはイグチ科ヌメリイグチ属(Suillus)のキノコに極めて近いことが判っており、イグチ類が地中で子実体を作る方向に進化したものと考えられている。