ジフテリア
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ジフテリア(diphtheria)は、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)を病原体とする急性の感染症。ジフテリア菌が放出するジフテリア毒素によって起こる。咽頭ジフテリア、喉頭ジフテリア、鼻ジフテリアの3種がある。
潜伏期間は2~4日。高熱、喉の痛み、犬がほえるような咳、激しい嘔吐などが起こる。喉頭部の腫脹のため、しばしば気道がつまって息ができなくなることがあり、窒息死することもある。 また、心筋炎や神経麻痺を起こすこともある。発症するのは10%程度で、他の90%には症状の出ない不顕性感染である。そのため、ジフテリア菌が保菌者の咳などによって飛沫感染することもある。
「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」の2類感染症に指定されており、感染が確認されたら医師は速やかに保健所に届出する義務があり、拡散を防止するために状況応じて隔離入院させる必要がある。無症状者の場合は入院の対象とならない。
予防法は、ジフテリア毒素をホルマリン処理して無毒化したトキソイド(ワクチン)の接種。日本では三種混合ワクチン(DPTワクチン)、二種混合ワクチン(DTワクチン)に含まれている。定期接種の普及している国では症例は稀だがそうでない国では流行がある。また近年症例の報告されていない日本においても不顕性感染の経歴を示唆する血清検査結果もある。 また治療には、ジフテリア毒素に対する中和抗体および、ジフテリア菌に対する抗生物質が用いられる。
ジフテリア菌の発見は1883年。エミール・フォン・ベーリングと北里柴三郎が血清療法を開発。その功績でベーリングは第1回ノーベル生理学・医学賞を受賞した。
ジョージ・ワシントンの死因は、ジフテリアによる呼吸困難であったと思われる。
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