ジョン・ハリソン (時計職人)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ジョン・ハリソン(John Harrison、1693年3月24日 - 1776年3月24日)はイギリスの時計製作者である。渡洋航海に必要とされる経度の測定が可能な精度をもった機械式時計を初めて製作した。天文学者との軋轢を含めたクロノメーター開発の経緯はデーヴァ・ソベルのLongitude(邦訳:『経度への挑戦―1秒にかけた四百年』藤井留美[訳]翔泳社[1997])に描かれベストセラーになった。
安全な航海をするためには自船の位置(経度、緯度)を知ることは重要である。英国議会は、航海中の船舶が正確な精度で現在位置の経度を測定できる方法に、2万ポンドの懸賞金をだした。経度を知るためには、基準となる場所の時間と、たとえば太陽の動きから求める自分のいる場所の時間との差から求めることができるが、基準となる場所の時間を維持する時計の製作は、航海する船上という揺れや温度の変化のある悪条件のもとでは困難をともなうものであった。ジョン・ハリソンは1728年から7年をかけていろいろな技術を開発しH1を製作した。その後も改良した時計を製作するが、天文学的方法による経度測定法にこだわる天文学者によっって公正な評価を得られず、経度委員会からの賞金がえられたのは最晩年になってからである。