セドナ (小惑星)
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セドナ(90377 Sedna)は、2003年11月14日に発見された海王星以遠天体(TNO)である。セドナは、太陽系の知られている天体の中では太陽から最も遠い距離に存在している。発見者は、マイケル・ブラウン、チャドウィック・トルヒージョ、デイヴィッド・ラビノウィッツ。
連続写真 | |
歴史 | |
発見者 | M. Brown, C. Trujillo, D. Rabinowitz |
発見年 | 2003年 |
軌道の性質 | |
近日点 | 76 AU |
遠日点 | 850 AU |
長半径 | 480 ± 40 AU |
離心率 | 0.84 ± 0.01 |
公転周期 | 10,500年 |
衛星の数 | ? |
物理的性質 | |
直径 | 1180 - 1800? km |
自転周期 | 約10時間 |
表面温度 | < -240 ℃ |
目次 |
[編集] 基本情報
セドナは、2003年11月14日にパロマ天文台のサミュエル・オースチン望遠鏡で最初に観測された。数日の内にチリ、スペイン、アリゾナ、ハワイの望遠鏡でも観測がなされた。スピッツァー宇宙望遠鏡でも観測を行おうとしたが検出することができなかった。
セドナの名前は、北米極北地方に住む原住民族(特にカナダのイヌイット)の海の女神セドナに由来している。太陽からの光がほとんど届かず、表面温度は-240℃以下と考えられることから、厳寒の北極海の海底に住むという伝説を持つ女神セドナの名前を当てられた。
国際天文学連合(IAU)による仮符号は2003 VB12である。軌道確定前に名称が提案されたため物議を醸したが、2004年9月、小惑星番号90377番として登録された。
[編集] 特徴
セドナの軌道は楕円形であり、近日点は76天文単位、遠日点は850天文単位と推定されている。発見時には太陽から90天文単位の距離であった(冥王星と太陽との距離の平均は40天文単位)。セドナは、10,500年の周期で太陽の周囲を回っている。
自転周期はおよそ40日と比較的長いと観測されたことから、発見当初、セドナには衛星が存在し、その潮汐力によって自転が減速されたのではないかと考えられた。しかし、ハッブル宇宙望遠鏡の観測では衛星は見つからず、ある程度大きな衛星を持っている可能性は極めて低いとされた。さらにその後の観測によって、実際のセドナの自転周期はこの種の天体としては典型的な10時間程度であり、当初の観測結果は誤りである可能性が強まった。これが正しければセドナに巨大衛星の存在を仮定する理由は無くなる。
直径は、冥王星の約4分の3倍の1,700km程度である。1930年の冥王星発見以降に太陽系で見つかった天体の中では、直径2,400kmのエリスが見つかるまでは最も大きかった。セドナが見つかるまで最大であった天体は直径が約1,250kmのクワオアーであった。
セドナは太陽系では火星に次ぐ赤い色をした天体である。なぜこれほど赤い色に見えるのかは分かっていない。
[編集] 分類
セドナは近日点が76天文単位、遠日点が850天文単位と、エッジワース=カイパー・ベルト天体(EKBO)としては太陽からの距離が離れすぎている。また、1万~10万天文単位に広がっていると考えられているオールトの雲とも距離が異なっている。発見者であるマイク・ブラウンは、内オールトの雲(inner Oort Cloud)と新たに定義されるべき天体ではないか、と主張している。
なお、2004年3月16日に、いくつかのマスコミが「第10番目の惑星を発見」と報道したが、当初より、大きさや周囲の天体に対する影響力からセドナが惑星として分類される可能性は低いと見られていた。ただ、2006年8月24日の国際天文学連合(IAU)総会で定義された矮惑星(dwarf planet)に今後分類される可能性はある。
[編集] 関連事項
太陽系 |
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