ダイノバード
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ダイノバードとは、恐竜や鳥類の先祖としてジョージ・オルシェフスキーが主張している仮想生物。ジョージ・オルシェフスキーのBCF理論の中で使われる言葉である。ただしBCF理論は現在の恐竜学では主流の仮説ではない。
[編集] BCF理論の概略
1994年に米国のコラムニスト(恐竜学者ではなく恐竜マニア)のジョージ・オルシェフスキーが恐竜と鳥の起源に関する大胆な仮説を提案した。それはBCF理論(Birds Came First 仮説。ダイノバード仮説)であり、この中で「ダイノバード」という言葉が新造された。
彼のBCF理論によれば三畳紀に樹上性のある種の爬虫類が生存したと想定し、それから飛行性のものが分岐して鳥類となり、地上性のものが分岐して恐竜になったとする。この想定したある種の爬虫類を「ダイノバード」とした。
BCF理論は、鳥的な恐竜、恐竜的な鳥が相次いで発見され、鳥の起源に注目が集まっていた時期に、「先に鳥が存在したのだ」という驚くべき大胆な仮定によって鳥と恐竜の関係をすっきりと説明しようとした。しかし当時知られていた化石から導かれる系統樹は、BCF理論を支持せず、BCF理論の根拠のひとつであったプロトアビスは化石自体の同定に疑いをもたれている。
[編集] BCF理論の評価
その後中国などで盛んに発見された一連の羽毛恐竜の化石には、BCF理論では説明がつかない。
さらにBCF理論は学術誌に発表されたものではないので、恐竜学の専門家にはBCF理論は相手にされていないといってよい。
ただし、ダイノバードという言葉は直感的に理解しやすいこともあって、アマチュア恐竜研究家(恐竜ファン)にはそれなりに知られている理論である。
そのためか、現在では始祖鳥やミクロラプトル、シノサウロプテリクスなどの、鳥のような恐竜をダイノバードと呼ぶ人までいる。ただし本来のBCF理論での意味とは離れてしまっている。