ダイヤルアップ接続
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ダイヤルアップ接続(~せつぞく、Dial-up)、またはダイアルアップ接続(~せつぞく)とは、コンピュータからネットワークへ接続する方式のひとつで、必要の都度インターネット・サービス・プロバイダ(ISP)やパソコン通信のホスト局(BBS)、企業内ネットワークなどが用意している接続先電話番号(アクセスポイント)にダイヤルし、電話回線経由でインターネットやパソコン通信、企業内ネットワークなどに接続する方式である。TCP/IP以前のインターネット・通信プロトコルであるUUCPにおいても使われた。なお、狭義には、ISPへの接続形態のみを指して言う事もある。
回線には、固定電話回線では一般の電話網・ISDN網、無線回線では携帯電話、PHSなどが使われる。主に固定電話回線の物を言うが、無線電話回線の物を含める場合もある。128kbps以下の低速回線(ナローバンドとも呼ばれる)が多い。
接続機器は、一般の電話網に接続されたモデム、ISDN網に接続されたターミナルアダプタが使われ、携帯電話やPHSの場合は、その端末と、PCカード(CFカード、SDカード等も)やUSBなどで接続される。1980年代頃までは、音響カプラも使われた。
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[編集] 特徴
ダイヤルアップ接続には、以下のような特徴がある。(なお、携帯電話、PHSについてはそれぞれの項目も参照のこと。)
- 電話回線があれば、電話会社との別途回線の特別な契約や工事なしに利用可能。
- 通信速度はアナログモデムで56kbpsまで、ISDNで64kbps~128kbpsまでと(INSネット64の場合)、固定電話回線の場合は比較的低速。
- インターネットへ接続する場合は通常、電話会社への電話料金と、ISPへの接続料金が、別々に課金される(以下)。また、パソコン通信の時代には、ホストコンピュータの利用料金等も同様に別途課金された。
- 従量制
- 基本的には、通信中、経過時間に応じて、電話会社への電話料金と、ISPへの接続料金との両方が従量制課金される。なお、電話料金は、テレホーダイ等により深夜定額制も可能(ただし、特殊番号による共通番号には割引が受けられない。後述)。電話料金を接続料金に含めてISPから請求する形態もあり、多少割安となっている。
- ダイヤルアップ定額制
- 接続料金が、いくら使っても定額となる。ただし電話料金については前号と同様に、従量制となる。アナログ回線が全盛の頃に開始された。なお、近年はアナログ回線においても電話料金も含めて定額制となるものも出てきており、次号の分類に属する(KDDI・メタルプラスのメタルプラスネットDION)。
- データ通信定額制
- 電話(回線)料金が、いくら使っても定額となる。フレッツISDNやPHS(AIR-EDGE、@FreeD等)等。接続料金も、通常は定額制を適用する。なお、接続先をISP(インターネット接続のみ)に限る物もある。
[編集] 経緯
- 専用線が非常に高価であった時代、大学・研究機関等において、アメリカでは1980年代前半・日本では同後半、TCP/IP以前のUUCP接続としてダイヤルアップ接続が多用された。
- 日本では同じ頃から、インターネットが普及するまでの間、パソコン通信の通信手段として広く使われた。詳しくは同項参照。
- TCP/IPの普及後、日本において一般向けのインターネット・サービス・プロバイダが登場した1993年以降、専用線を引けない中小企業や家庭からの接続においても、もっぱらこのダイヤルアップ接続が利用された。
- 2000年前後に、高速・常時接続・定額制料金で接続可能なブロードバンドといわれるCATVやADSL、FTTHが登場し、サービス提供地域も拡大して、普及した。そのため、ISPにおいては、固定電話回線(特にISDN)からのダイヤルアップ接続は減少しており、「ナビダイヤル」等を利用した接続先アクセスポイントの全国共通化などの形で、ダイヤルアップ接続設備の縮小が行われている。しかし、アクセスポイント共通化に伴い、テレホーダイ等の料金割引サービスが適用できなくなる問題も発生している。
[編集] 通信プロトコル
ダイヤルアップ接続上で使われる通信プロトコルには、主に次に挙げる物がある。
- 無手順、または各種のバイナリ転送プロトコル(パソコン通信など)
- UUCP(Unix to Unix Copy Protocol)
- SLIP(Serial Line Internet Protocol)
- PPP(Point-to-Point Protocol)
[編集] 関連項目
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