ドリンクバー
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ドリンクバー(drink bar)は、外食産業のレストラン店内に於ける、セルフサービス方式のフリードリンクコーナーである。名前が定着しているために、このサービスそのものの名称ともなっている。
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[編集] ドリンクバーの特徴・利用方法
店舗に備え付けのドリンクバーコーナーまで自ら出向き、好きなドリンクを選択、必要に応じて砂糖やクリーム、氷などを加え、席に戻って賞味する。基本的に1人、1個のカップ・グラスで利用し、グループでの回し飲みは禁止されている。規定料金を払えばお替わりの制限は無く利用出来る。ただ飲み物によっては熱いもの(ホット)、冷たいもの(コールド)があるため途中でコップを交換した方がより美味しく飲めるが、チェーンによって出来るところ、出来ないところがある。なお複数の飲料を混ぜて飲む方法を、ドリンクバーに表記してるレストランも有り、自分の嗜好に合わせて楽しむ利用者もいる。
[編集] 始まり
1992年、すかいらーくの子会社グリーンテーブルが、「ガスト小平店」プロトタイプ店舗を作り、低価格路線のメニュー、ドリンクバーの設置を行いオープンした所、大ヒットとなり、バブル後の消費不況で低迷していたすかいらーくは翌1993年ガストへの大規模な転換を行なった。当時のマスメディアにも大きく取り上げられ、ドリンクバーの認知度は世間に広がり「エブリデー・ロープライス」(Every Day Low Price:毎日お手頃な価格)で、自分の家のような気軽さを前面に出した、ダイニングレストラン・ガストの豊かさを楽しさを前面に出し、ドリンクバーは競合他社まで多大なる影響を与えて広がりを見せる。一説にはもともとのコンセプトではなく、あまりの多忙さにあるアルバイト社員がコーヒーのデキャンタやポットを客席に置いて自由に飲ませたことから始まったとも言われる。居酒屋やカラオケボックスでグループ客に飲料を提供する際に使われるピッチャー(水差し)もヒントになったと考えられる。
[編集] 発展
低価格路線で人気を博したドリンクバーだが、現在は種類の拡充にとどまらず、1杯ずつ抽出する専用エスプレッソ・コーヒーマシンや果汁100%ジュースの導入など、さらなる進化を続けている。
[編集] 飲料の種類と傾向
店舗の規模やスペース、レストランチェーンが契約している飲料メーカー・酒造メーカーに左右されるが、概ね以下のような飲み物が主流。
[編集] コーヒー
アイスコーヒーはあらかじめ飲料メーカーで抽出したコーヒー原液で提供するものと、コーヒーマシンで抽出したホットコーヒーをグラスに入れた氷で冷やすものがある。
[編集] お茶
コーヒーマシンの給湯機能を使い、茶葉はティー・バッグで提供することが多い。冷茶の場合は後述する清涼飲料水のサーバーやジュースクーラーで提供する。ロイヤルホールディングス系列(ロイヤルホスト・シズラーなど)のパラダイストロピカルティー(アイスティー)、バーミヤンのアジアンティー(烏龍茶・ジャワティー・ジャスミン茶など)など各社のこだわりが反映されやすい。
[編集] 清涼飲料水
ラインアップは契約する飲料メーカーに左右されることが多い。健康志向を謳い、野菜ジュースや青汁を扱う店もある。
[編集] ホットドリンク
コーヒー、茶類以外にも以下のようなものが提供される。
レストランチェーンによってはフローズンと呼ばれるシャーベット状のソフトドリンクやソフトクリームといったデザートがドリンクバーでも提供される。 一部の焼肉店チェーンではビールや日本酒などアルコール類もドリンクバーに加わる場合がある。
[編集] スープバー
ドリンクバーに先んじて広まっていたのが、通常メインディッシュが来るまでの間に提供されるスープが飲み放題となるスープバーだった。主にステーキレストランで広まったが、通常のファミリーレストランでもランチタイムや休日など時間を限って実施することもある。
[編集] ドリンクバーを導入しないレストラン
現在、大手・中堅のレストランでは、ドリンクバー導入率も高いが、「フルサービスレストラン」として差別化の為に敢えて導入していないレストランチェーンもある。またドリンクバーだけで延々と客が店に長居することで客席の回転率が悪化する(=その店の利益率と客単価が落ちる)弊害も見られるため、時間制限を設ける、駅前や繁華街、観光地など特定の条件の店舗に限ってドリンクバーを実施しないレストランチェーンもある。
- 非導入例