ネマン川
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ネマン川(リトアニア・アリートゥス近郊) |
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延長 | 937 km | |||
水源の標高 | 176 m | |||
平均流量 | 616 m³/s | |||
流域面積 | 98,000 km² | |||
水源 | ベラルーシ・ミンスクの南45km | |||
河口 | クルシュ海(バルト海の一部) | |||
流域 | ベラルーシ - リトアニア - ロシア連邦カリーニングラード州 |
ネマン川(ネーマン川とも;ロシア語:Неманニェーマン)は、東ヨーロッパを流れる川の1つ。各国語でネムナス川(リトアニア語:Nemunasネムナス)、ニョーマン川(ベラルーシ語:Нёманニョーマン)、ニェメン川(ポーランド語:Niemenニェーメン)、メーメル川(ドイツ語:Memelメーメル)とも呼ばれる。
目次 |
[編集] 概要
ネマン川は、ベラルーシに発して、リトアニアとロシア連邦カリーニングラード州を流れ、バルト海の一部であるクルシュ海(クルシュ潟)に注いでいる。長さは937キロで、ヨーロッパで14番目に長く、バルト海沿岸では4番目に長い。うち459キロはベラルーシ国内、359キロはリトアニア国内を流れ、116キロはリトアニアとロシアおよびベラルーシとの国境をなしている。
深さは最大で5メートル、川幅は最大500メートルである。流速は秒速1~2メートルと、ゆったりと流れている。流量は洪水時には最大で通常時の11倍の毎秒6,800立方メートルまで増加する。一次支流は105本あり、最大のものはネリス川(長さ510キロ)で、100キロより長い支流は15本ある。ネマン川流域はリトアニアの国土の72パーセントを構成している。
ネマン川はクルシュ海(クルシュ潟)に注ぐ真水のほとんどを供給しており、クルシュ海の汽水湖としての生態系の維持に重要な役割を果たしている。一方、ネマン川のもたらす堆積物によってクルシュ海は年々縮小している。
[編集] 歴史
ネマン川流域は古くからリトアニア人の住む地であった。リトアニア人はネマン川(ネムナス川)を「父なる川」とも呼ぶ。ヨーナス・マイローニスの次の詩は、リトアニア人であれば誰もが暗唱する、第2の国歌ともいえる詩である。
- シェシュペ川が走り、ネムナス川が流れる。我らが故郷、美しきリトアニア
1252年、ドイツ騎士団はクルシュ海の出口近くに城砦都市を建設し、都市をメーメルブルク(現在のクライペダ)、ネマン川をメーメル川と名づけた。リトアニアとの国境は1422年のメルノ条約で画定され、メーメルラント一帯はドイツ騎士団領となった。1841年に作曲されたドイツ国歌の、現在は歌うことを禁じられている1番では、メーメル川は統一ドイツの東の国境として歌詞に含まれている。
ヴェルサイユ条約によってメーメルラントはリトアニア領となり、ネマン川下流部の112キロはリトアニアとドイツ領東プロイセンとの国境とされた。第二次世界大戦後に東プロイセンはソビエト連邦(ロシア)領カリーニングラード州となったが、ネマン川下流部は引き続きリトアニアとの国境線となっている。
[編集] 経済
ネマン川流域に位置する大都市としては、ベラルーシのフロドナ(グロドノ)、リトアニアのアリートゥスとカウナス、ロシア連邦カリーニングラード州のソヴィェツクがある。カウナスの上流には1959年にカウナスダムと発電所が建設された。ダム湖の面積は63.5平方キロ、長さは93キロ、深さは平均22メートルで、リトアニア国内では最大の湖となっている。
[編集] ネマンデルタ
ネマン川河口部のデルタ地帯では、川は複雑に分岐したくさんのポルダーと湿地帯を形成している。デルタ地帯の中にあるルスネ島は、大きさはわずか5平方キロであるがリトアニアで最大の島である。人口は2,500人で、15世紀以来の定住の歴史を持つ。
ネマンデルタはラムサール条約による国際的な野生生物保護の対象地域となっている。1992年に一帯の239.50平方キロの地区がネムナスデルタ地域公園に指定された。
ネマンデルタは野鳥の生息地としても知られている。生息する野鳥の種類は200種で、うち40種はリトアニアの絶滅危惧種に指定されている。またこの地は通過する渡り鳥にとっても重要な休息地である。数百種の渡り鳥がここを通過し、その中にはオジロワシ、カオジロガン、ツル、ハマシギ、ハシボソヨシキリなどの希少種も含まれている。1929年に鳥類の研究施設がヴェンテ岬に設立され、以降の研究によって渡り鳥は遠くイラン、エジプト、南アフリカからも飛来することが明らかになっている。