フォリナー
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フォリナー(Foreigner)は、1977年にアメリカでデビューしたロックバンド。イギリス人とアメリカ人が混在するという、当時では珍しいメンバー構成で、そうしたことから「フォリナー(=外国人)」と名付けられた。
ハードロックやアメリカン・プログレ・ハードのジャンルに分類されるが、その莫大なレコード売り上げから産業ロックの代表的な例として挙げられることも多い。音楽的な実権はギタリストのミック・ジョーンズが握っており、ルー・グラムの叙情的なボーカルが大きな特徴だった。結成初期はハードなロックンロール色の強い演奏も見せていたが、後期になるとキーボードを前面に押し出したソフトなサウンドに徐々に変貌を遂げていった。1970年代後半から1980年代終盤にかけて、ロック音楽市場に巨大な存在感を放ち、多大な成功を収めた。
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[編集] 現在のメンバー(2006年時点)
- ミック・ジョーンズ(ギター、ピアノ、キーボード、コーラス)・・・バンド唯一のオリジナル・メンバー。イギリス人。元スプーキー・トゥース。
- ジェフ・ジャコブス(ピアノ、オルガン、キーボード、コーラス)・・・1993年加入。
- トム・ジンベル(サックス、ギター、コーラス)・・・1995年加入。
- ケリー・ハンセン(ボーカル)・・・2005年加入。
- ジェイソン・ボーナム(ドラム)・・・2005年加入。いわずと知れた故ジョン・ボーナムの息子
- ジェフ・ピルソン(ベース)・・・2005年加入。元ドッケン
[編集] 元メンバー
- エド・ガリアルディ(ベース、コーラス)・・・オリジナル・メンバー。1979年脱退。アメリカ人。
- イアン・マクドナルド(ギター、キーボード、サックス、フルート、コーラス)・・・オリジナル・メンバー。1980年脱退。イギリス人。元キング・クリムゾン。
- アル・グリーンウッド(キーボード、シンセサイザー)・・・オリジナル・メンバー。1980年脱退。アメリカ人。
- ルー・グラム(ボーカル、パーカッション)・・・オリジナル・メンバー。1990年脱退、1992年再加入、2003年再脱退。アメリカ人。
- デニス・エリオット(ドラム)・・・オリジナル・メンバー。1991年脱退。イギリス人。
- リック・ウィルス(ベース、コーラス)・・・1979年加入、1992年脱退。イギリス人。元スモール・フェイセス。
- ジョニー・エドワーズ(ボーカル、ギター)・・・1990年加入、1992年脱退。
- アンドリュー・ピーターズ(ドラム)・・・1992年加入、1993年脱退。
- ブルース・ターゴン(ベース、コーラス)・・・1993年加入、2002年脱退。
- マーク・スクルマン(ドラム、コーラス)・・・1993年加入、1995年脱退、2000年再加入、2002年再脱退。
- ロン・ウィクソ(ドラム)・・・1995年加入、1998年脱退。
- ブライアン・ティシー(ドラム)・・・1998年加入、2000年脱退。
- ダニー・カーマッシ(ドラム)・・・2002年加入、同年脱退。
[編集] バイオグラフィー
- 1976年、フォリナー結成。「スーパーグループ誕生」と話題になった。
- 1977年、1stアルバム『栄光の旅立ち』が300万枚を売り上げ、早くも人気バンドの仲間入りを果たす。
- 1978年、2ndアルバム『ダブル・ヴィジョン』が500万枚を売り上げる。シングル「ダブル・ヴィジョン」が全米第2位(2週連続)を記録。ドナ・サマーの「マッカーサー・パーク」にNo.1を阻まれる。
- 1979年、音楽性の相違からベースのエドが脱退。リック・ウィルスが加入。3rdアルバム『ヘッド・ゲームス』は300万枚を売り上げる。
- 1980年、4thアルバム『4』の製作開始。この製作中にイアンとアルが脱退しバンドは4人編成となる。同時期に隣のスタジオではダリル・ホール&ジョン・オーツが『プライベート・アイズ』の製作を開始していた。ダリル・ホールの回想によると「あの時期はあまりにも忙しかった。だけどハッキリと覚えているのはエレクトリック・レディ・スタジオでフォリナーが『4』を製作していた事だ。僕らが『プライベート・アイズ』を製作したのと同時に彼らも製作をスタートさせていたんだ。ところが製作中にイアンとアルだけがスタジオに来て、2人が帰ると他の4人がやって来てアルバムを製作という事が繰り返された。そのうちイアンとアルはスタジオに来なくなった。まあ脱退したって事は後で知ったけどね・・・。それから僕らがアルバムを仕上げ、1年間のツアーに出て、次のアルバム『H2O』を製作する為にスタジオに戻って来てみると彼らはまだスタジオでアルバムを製作していたんだよ(笑)。それから僕らが『H2O』を仕上げてロードに出ても、まだ『4』を製作していたね。結局、彼らの方が僕らの約15倍ものレコードを売り上げる事になったけど。」
- 1981年、同年発表の4thアルバム『4』は1500万枚を売り上げる記録的な大ヒットとなりビルボードアルバムチャートで10週連続No.1を記録し、翌年のアルバム年間チャートでは第3位を記録した。その中からシングルリリースされた名曲「ガール・ライク・ユー」が大ヒットするが、同時期にヒットしたオリビア・ニュートン=ジョンの「フィジカル」とダリル・ホール&ジョン・オーツの「アイ・キャント・ゴー・フォー・ザット」にビルボードチャート首位の座を阻まれ続けた。皮肉な事にアルバムが1位に輝いた期間もシングルが2位に泣いた期間も同じく10週間であった。「ガール・ライク・ユー」はキャッシュボックスとラジオ&レコーズでは1位を独走した。
- 1982年、5thアルバムで初のベストアルバム『ベスト・オブ・フォリナー』をリリース。
- 1984年、6thアルバム『プロヴォカトゥール(煽動)』をリリース。
- 1985年、前年にリリースされたシングル「アイ・ウォナ・ノウ」が初のシングルチャート全米No.1(2週連続)を獲得、この年の年間チャートでも第4位を記録。それまで6週連続No.1を記録していたマドンナの「ライク・ア・ヴァージン」を引き摺り下ろしての全米No.1獲得。しかし、この時期から売れ線狙いのバラードを優先させるバンドに対し徐々にファン離れが進んで行く。そして、このバンドの姿勢に不満を露わにしていたのがボーカルのルーであった。
- 1987年、7thアルバム『インサイド・インフォメーション』をリリース。この時期、バンドは事実上の解散状態にあった。その最大要因はバラード路線を突き進むミックとバラードを嫌ったルーとの不仲が深刻なものになっていたから。
- 1990年、遂にボーカルのルーが脱退。代わりにジョニー・エドワーズが加入。
- 1991年に8thアルバム『アンユージュアル・ヒート』を発表するが、ヒットには至らなかった。
- 1992年、ルーがバンドに復帰。9thアルバムで2枚目のベストアルバム『アンド・ビヨンド(ベスト・オブ)』をリリース。
- 1995年、10thアルバム『Mr.ムーンライト』を発表。
- 2002年、デビュー25周年記念コンサートを行った。
- 2003年、ルーが再び脱退。
- 2005年、ケリー・ハンセンが新ボーカリストになる。
[編集] アルバム・ディスコグラフィ
- 1977年 Foreigner:栄光の旅立ち(全米4位)
- 1978年 Double Vision:ダブル・ヴィジョン(全米3位)
- 1979年 Head Games:ヘッド・ゲームス(全米5位)
- 1981年 4:4(10週連続全米No.1。唯一のNo.1アルバム)
- 1982年 Records:ベスト・オブ・フォリナー(全米10位)
- 1984年 Agent Provocateur:プロヴォカトゥール(煽動)(全米4位)
- 1987年 Inside Information:インサイド・インフォメーション(全米15位)
- 1991年 Unusual Heat:アニュージュアル・ヒート(全米117位)
- 1992年 The Very Best And Beyond:アンド・ビヨンド(ベスト・オブ)(全米123位)
- 1995年 Mr.Moonlight:Mr.ムーンライト(全米136位)
注.順位、売り上げは全てビルボードを参照。
[編集] シングル・ディスコグラフィ
- Feel Is Like The First Time:衝撃のファースト・タイム(1977年6月18日付・全米4位)
- Cold As Ice:つめたいお前(1977年10月22日付・全米6位)
- Hot Blooded:ホット・ブラッディッド(1978年9月9日付・全米3位)
- Double Vision:ダブル・ヴィジョン(1978年11月18日付・2週連続全米2位)
- Urgent:アージェント(1981年9月5日付・全米4位)
- Waiting For A Girl Like You:ガール・ライク・ユー(1981年11月28日付・10週連続全米2位)
- Juke Box Hero
- Break It Up
- I Want To know What Love Is:アイ・ウォナ・ノウ(1985年2月2日付・2週連続全米No.1。同年年間チャート第4位。バンド唯一の全米No.1シングル。)
- That Was Yesterday
- Say You Will:セイ・ユー・ウィル(1988年2月20日付・全米6位)
- I Don't Want To Live Without You:ウィズアウト・ユー(1988年5月28日付・全米5位)
注.順位、売り上げは全てビルボードを参照。