モード・ジャズ
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モード・ジャズは、モダン・ジャズのサブ・ジャンルの一つでモードを用いて演奏されるジャズ。
[編集] 概要
1950年代後半に試され、1958年リリースの、マイルス・デイヴィスのアルバムカインド・オブ・ブルーで完成されたと、一般的にはいわれている。それ以前にも、ジョージ・ラッセルなどが試みた手法である。
ビー・バップをはじめとするモダンジャズは、コード進行やコード分解に基づくアドリブ・ソロ(楽器ごとの即興演奏)が行われてきた。ハード・バップに至っては、メロディーが洗練された一方で、コードに基づく一つの音階の中でも、元々のフレーズから外れたいくつかの音が使えないという状況が出てきて、音符の数の少なさなど、さらに制限が増した。コード進行が主体であるのにもかかわらず、メロディーでの進行感も出そうとしたのが、その大きな原因であるとされる。
そこで、コード主体の曲の進行から、それを全廃し、モードに基づく旋律による進行に切り替えたものが、この方式である。バッキングなどの和声の面では、多少困難にはなったが、一説にはハード・バップから洗練、発展したものともいわれ、さほど大きな発展はないが、ソロプレイにおいては、一気に自由度が増し、選択肢も増えた。
欠点は、コード進行による、バッキングやメロディーによる劇的な進行がない、というか、作り出せないため、曲の流れや使用されるモード、キーや基音を念頭に置かないと、ただのスケール練習になったり、だらだらとソロの垂れ流しになる傾向にあるともいわれている。また、コードにあるモードを単にはめこむだけだと、やはり、旋法内や音階内で使えない音や、違和感のあるモードもあり、それまでのジャズでの音階のバリエーションとほとんど変らない結果となってしまう。
現在は、モードも多様化し、厳密に理論化もしている。その反面、前述のように本来は、「コードの構成音や、コード進行に縛られていたソロプレイを、自由に解き放つために編み出された」この方式だが、現在は、「モードにソロプレイが縛られる」という現象も起きている。
「モード」とは表現方法のひとつである。 一貫して同じ表現方法をとることはあり得ないので
[編集] 代表的なアーティスト
「モード」とはジャズの語法のひとつであり、表現方法のひとつである。
ジャズの語法は大別すると ・ホリゾンタル≒モーダル (モード) ・バーティカル≒コーダル、バッピッシュ (ビバップ) に分けられるが、発祥は後者が先であり、ジャズの語法の基本とされている。
前者偏重の表現方法をとるプレイヤーは極めて少ないうえに 高名なプレイヤーは「ジャズの語法の基本」である後者も当然習得しており いずれの語彙も使いこなせるのが常識である。 従って「代表的なアーティスト」を挙げることは適当ではない。
しかしながら、モード・ジャズを体系化したマイルス・デイヴィスやハービー・ハンコック、ビル・エヴァンス等、特に著名とされるアーティストは挙げておく。