仁丹
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仁丹(じんたん)は、森下仁丹が発売している口中清涼剤である。医薬部外品。
1905年(明治38年)に「懐中薬」として発売。パッケージに冠された登録商標である大礼服姿の将軍マークは余りにも有名。
当時医療制度が十分でなかった日本で、病気は事前に予防すべきものとして、毎日いつでも服用できるようにと、創業者である森下博がつくり上げた。発売当時はうたい文句に「完全なる懐中薬・最良なる毒消し」という二文がついていた。(毒というのはコレラや梅毒のことで、特にコレラは明治・大正期では致死率の非常に高い病気であった。)
明治・大正期に大阪・上野・浅草に広告塔を設置するなど、広告展開を幅広く行った商品である。特に京都市内では街中で戦前に貼られた広告は市街地表示番を兼ねて表示していたので、戦火を免れて至るところに残っていることが多い。
ちなみにJR西日本沿線の滋賀県や広島県といった場所では昭和30年代後期から同40年代中頃に貼られたと思しき仁丹のホーロー看板が貼り巡らされた建物が残っている。
桂皮や薄荷脳など、16種類の生薬を配合して丸め、銀箔でコーティングした丸薬で、独特の匂いがある。携帯する際には専用の携帯ケースを使う。
万能薬であるアスピリンの日本版として、和ピリンとしての評価も高い。