仮差押
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仮差押えないし仮差押(かりさしおさえ)とは、金銭債権の執行を保全するために、債務者の財産の処分に一定の制約を加える裁判所の決定をいう。(表記に関する注:民事保全法の条文上は、「かりさしおさえ」の後に別の名詞が直接続くかどうかによって「え」の文字を送るかどうかが区別されている。例「仮差押命令においては、仮差押えの執行の停止を得るため」(民事保全法22条1項の抜粋)。本稿では項目名(仮差押)の表記にかかわらず、法文の区別に従うこととする。)
目次 |
[編集] 仮差押の制度概観
実体上金銭債権が存在する場合であっても、債務者がその存在や内容を争った場合には最終的には民事訴訟の手続を経て確定をする必要がある。かかる債務名義の取得には一定の時間が必要となるのは、適正手続の保障の観点からやむを得ない。しかし、債務名義を取得したときに債務者の財産が散逸してしまっており、債権者が強制執行しても満足を得ることができないという事態は避けなければならない。そこで、民事保全法は、金銭債権の執行を保全するために仮差押えの制度を整備している。なお、仮差押命令の対象となった財産の処分が法律上禁止される訳ではない。例えば、不動産に対して仮差押えがされた場合であっても、あえて債務者が第三者に当該不動産を売却することは法律上可能であり、所有権移転を登記することもできる。ただし、仮差押えの被保全債権の存在が民事訴訟により確定され、債権者が債務名義を得て仮差押えが本差押えに移行した場合、仮差押登記の後の登記権利者は仮差押債権者に対抗できない。このような形で債務者の財産への追及を可能にしているのが仮差押えの制度の特徴である。
仮差押えの対象は不動産、船舶、動産及び債権その他の財産権である。
[編集] 仮差押命令の発令手続
仮差押命令は、債権者の申立により裁判所が決定で行う。仮差押命令の申立があることが債務者に知られると、債務者が急いで仮差押の財産を処分する可能性があるので債務者の審尋を行わないが通常である。 仮差押えの対象となる財産は特定すべきなのが原則だが、動産についてはこの限りではない。 (stub)
[編集] 担保
民事保全法14条は債権者に担保を立てさせないで保全命令を発令することができるとされているが、担保を立てさせるのが通例である。ここにいう担保とは、仮差押命令の被保全債権が存在しなかったにも関わらず仮差押命令を受けたために債務者が被った損害等に充てられるためのものである。 (stub)
[編集] 仮差押命令の執行手続
不動産に対する仮差押命令の執行は裁判所書記官の嘱託による登記により行われる(民事保全法47条)。動産に対する仮差押命令の執行は執行官が目的物を占有することにより行われる(民事保全法49条)。債権に対する仮差押命令の執行は、第三債務者(仮に差し押さえられた債権についての債務者)に対し債務者への弁済を禁止する命令により行われる(民事保全法50条1項)。なお、債権者の申出に基づき、第三債務者に対する陳述催告も仮差押命令の告知の際に行われる(民事保全法50条5項、民事執行法147条)。