低濃縮ウラン燃料
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低濃縮ウラン燃料(ていのうしゅくうらんねんりょう)とは、核分裂性ウランの割合を天然ウランよりも高めた核燃料のことで、濃縮度が20%までのものを指す。
[編集] 概要
天然ウランには、非核分裂性のウラン238に対して、核分裂性のウラン235が約0.7%の割合で含まれている。ウラン235の割合をウラン濃縮によって人工的に高めたものを濃縮ウランといい、濃縮後のウラン235の割合を濃縮度という。
低濃縮ウラン燃料は、主に原子力発電所の核燃料として利用されている。世界の原子力発電所で主流となっている軽水炉では、軽水(普通の水)が減速材と冷却材を兼ねている。軽水は核分裂の連鎖に必要な中性子を多く吸収するため、軽水炉で天然ウランを燃料として利用することは困難である。軽水炉で核分裂を継続させるには、濃縮度2%から5%程度の低濃縮ウランを燃料として利用しなければならない。低濃縮ウラン燃料は天然ウランの核燃料よりも高価であるが、原子力発電所の総合的な安全性や経済性から、軽水炉を導入する国が増えている。
ウラン型原子爆弾で使用される高濃縮ウランは濃縮度が90%を超えており、結果として核爆発を引き起こす。核分裂を爆発的に連鎖させるためには、最低70%以上の濃縮度が必要とされており、低濃縮ウランが核爆発を起こすことは無い。ただし、原子炉における核分裂が臨界点を超えて加速すると、炉心溶融(メルトダウン)や蒸気爆発によって重大事故に発展する恐れがある。