共形場理論
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共形場理論(Conformal Field Theory, CFT)とは、共形変換に対して作用が不変な場の理論である。歴史的には1980年代初頭にBelavin、Polyakov、Zamolodchikov(BPZ)らによって提唱された。特に、1+1次元系では複素平面をはじめとするリーマン面上での理論として記述される。
共形変換に対する不変性はWard-Takahashi恒等式を要請し、これをもとにエネルギー-運動量テンソル(あるいはストレステンソル)に関する保存量が導出される。またエネルギー-運動量テンソルを展開したものは、Virasoro代数と呼ばれる無限次元リー代数をなし、理論の中心的役割を果たす。
共形変換群は、時空間の対称性であるポアンカレ群の自然な拡張になっており、空間d次元+時間1次元の時空間ではリー群SO(d+1,2)で記述される。この変換群の生成子は(d+3)(d+2)/2個あり、その内訳は以下のとおり。
- d(d-1)/2: d次元空間の回転
- d: (d+1)次元時空のローレンツ変換(時間軸と空間軸を2軸に取った回転)
- d+1:d次元空間の並進+時間推進
- ※以上が、部分群としてのポアンカレ群の生成子をなす。
- d: d次元空間の特殊共形変換(反転×平行移動×反転)
- 1: スケール変換(計量の目盛りの変更)
一般に共形変換群は有限個の生成子からなる有限次元群であるが、空間1次元+時間1次元の(d=1)の場合に限り、共形変換群SO(2,2)は、正則関数の等角写像の変換群(無限次元リー群)に拡張される。この変換群を生成する代数が上記のVirasoro代数であり、無限個の生成子の間の交換関係として記述される。場の理論は、場の演算子の積の真空期待値である相関関数で記述されるが、2次元共形場理論では相関関数の振る舞いがVirasoro代数とWard-Takahasi恒等式から厳密に求められる。この意味で2次元共形場理論は可解であり、2次元統計系あるいは(1+1)次元量子系を理解する上で強力な武器となっている。(1+1)次元量子系とは、弦の時間発展に他ならず、超弦理論の第1量子化が共形場理論で記述される所以がここにある。
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