刑事
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刑事(けいじ)には、法律上の刑事のほかに、俗語として私服警察官の意味にも使われる。
[編集] 法律
刑事は、刑法など刑事法の適用を受ける事柄のこと。民事に対する言葉。刑事事件の略称。
[編集] 俗語
刑事(けいじ)とは、刑事事件の捜査を行う私服の警察官のこと。広義の刑事として、刑事課、生活安全課、公安(警備)課のセクションに働く私服警察官を指すが、狭義では刑事課捜査係の私服警察官を指す。一般的にはテレビの影響からか、後者を指すことが多い。なお刑事という名称は法律上の職名ではなく、部内的には身分は巡査、巡査長または巡査部長である。呼称としては、巡査部長以上には役職で呼ぶことが殆どである。所轄で警部の場合は刑事課長となるが、この場合、刑事ドラマ等では「警部」、「警部殿」などと呼ぶことが多いが、実際には普通に「課長」と呼ばれる。
基本的には、一般企業で営業部を「営業さん」総務部を「総務さん」などと呼ぶように、警察本部の刑事部、所轄警察署の刑事課*所属の警察官を「刑事さん」と呼んでいた流れでもあるのだが、部外からは刑事部でなくとも先述したように私服勤務に従事する警察官(生活安全課、警備課)を全般的に指す場合もある。
- *(地域や署の規模によって「捜査課」「刑事生活安全課」「刑事組織犯罪対策課」など名称が異なることもある)
一般にデカとも呼ばれる。これは、明治時代、刑事は警官の制服ではなく角袖の着物を着ていたことから、盗人仲間の間で「かくそで」の倒語で「そでかく」から一部抜き取って「でか」と呼ぶようになったのが、一般に広まったものである。現在でも、刑事は私服で勤務する。
「デカ」の応用で「デカ長(でかちょう)」という言葉がある。一般に刑事セクションの長、すなわち「刑事課長」と誤解される事があるが「デカ」の「長さん」、つまり「部長刑事」とも呼ばれる巡査部長の刑事のことである。
ドラマや小説で例えば○○という刑事が登場する場合、警部の職にある者まで「○○刑事」と呼ぶことがあるがこれは上記の流れから「刑事」が職名として解釈された誤用である。警察部内で○○刑事と呼ぶ場合は、巡査、巡査長を制服警察官と区別し、捜査に専従することの誇りを持たせる意味合いがある。職名でないためむしろ「刑事の○○」などと呼ばれることが多い。
基本的に年齢、性別は関係ない。刑事ドラマでは40代~50代くらいの警察官が現場の捜査の主力を占め、30代が若手とされるような描写が多いが、実際は30代ともなれば中堅となる。現場で捜査や取締りの最前線に携わっているような刑事も殆どが巡査か巡査部長であり、年齢的には20代前半~30代中頃が多い。近年では刑事への志願者が減ってきており、以前よりもはるかに刑事になり易い現状にある。この為、女性刑事もどんどん登場している。
年齢構成としては巡査階級にある刑事は9割方が20代である。巡査長は20代後半、巡査部長は20代後半~30代全般が一般的。普通警察署の刑事課ならば警部は課長ひとりか、課長代理を併せても二名しかいない。刑事の職務はハードワークで高齢だとそれに耐えられず、ある程度の年齢になると管理職として課員の指導に重きを置くか、別の部署へ転属する。