北アメリカ航空宇宙防衛司令部
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北アメリカ航空宇宙防衛司令部(きたアメリカこうくううちゅうぼうえいしれいぶ、North American Aerospace Defence Command)は、アメリカ合衆国とカナダが共同で運営する統合防衛組織で、北アメリカ(アメリカ合衆国とカナダ)の航空や宇宙に関して観測または危険の早期発見を目的としてアメリカ北方軍の元に設置された組織である。通称ノーラッド(NORAD)。24時間体制で宇宙の衛星の状況や地球上の核ミサイルや戦略爆撃機などの動向を見守っている。
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[編集] 概要
ノーラッドの総合指揮監督者はアメリカ合衆国大統領とカナダ首相が共同で行っている。ノーラッドはコロラド州のピーターソン空軍基地や、チェイニー空軍駐機場の付近にあり、世界中の最新式のシステムが導入されている。アラスカ州のエレメンドーフ米空軍基地、マニトバ州ウィニペグ・カナダ空軍基地、フロリダ州テュンダル米空軍基地はノーラッドの担当区域では直接総合指揮監督者から命令を受けることになっている。
伝統的にノーラッドの司令官はアメリカ人が、副司令官はカナダ人が務めることになっている。現在の司令官はアメリカ北方軍司令官、ラルフ・E“エド”・イーバーハード米空軍中将、副司令官はカナダ空軍司令官、リック・"エリック"・ファインドニーカナダ空軍中将である。司令官と副司令官はシャイアン・マウンテン(コロラド州コロラド・スプリングス)の司令部で指揮を執っている。
ノーラッドとアメリカ北方軍はアメリカ国土安全保障省とは直接の関係は無いが、どちらの機関とも常々危機管理に対して対策検討している。
[編集] ノーラッド・トラックス・サンタ
ノーラッドはノーラッド・トラックス・サンタ(NORAD Tracks Santa)として、毎年サンタクロースを追跡している。冷戦の真っ只中の1954年からコーナッド(CONAD、中央防衛航空軍基地)が開始したものを受け継ぎ、2004年で50周年を迎えている。これの始まりは、子供の間違い電話によるものから始まった。
コロラドにあるスーパーのSearsが子供向けにサンタクロース・ホットラインを開設したときの広告に、間違えた電話番号を載せてしまったが、その番号はノーラッドの司令長官のホットラインだった。子供からの電話を断りきれず、当直士官が機転を利かせて、電話応対をしたのがはじまりとなった。
2000年代では、毎年クリスマス時期に、サンタクロースの出発を「偵察衛星で確認」、その飛行を「レーダーで追跡」し、戦闘機をカナダのユーコンからメキシコのメキシコ・シティーまで飛ばして「サンタを追跡」する。公式ウェブサイトでは、クリスマスイブの夜中から追跡の模様を中継している。
[編集] フィクション
- ジョン・バダム監督の映画『ウォー・ゲーム』で、主人公がハッキングする戦略防衛シミュレーションコンピューター“WOPR”(War Operation Project Response―戦争作戦計画対応)がここに設置されている事になっている。
- ドラマ「スターゲイトSG-1」では、1928年にエジプトのギザで発掘されたスターゲイトがシャイアン山の地下28階で保管、稼動されているという設定。