卓袱料理
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卓袱料理(しっぽくりょうり)とは和食・洋食・中華料理をミックスさせた長崎市の郷土料理。
卓袱料理というのは宴会用コース料理のスタイルを表す言葉である。長崎での結婚披露宴では卓袱料理が振る舞われることが多い。大皿から取り分けて食べる。コースの内容は店によってさまざまであるが、広東料理の宴会と同様に、コースの最初に汁椀が出されることが共通している。この椀は「お鰭(おひれ)」と呼ばれ、主人役の「お鰭をどうぞ」という挨拶で宴会が始まることになっている。
卓袱料理は江戸時代に始まったものである。長崎には中国人が多く滞在し、料理店を営む者も多かった。ひとりひとりに膳が出されるのが常識であった当時の人々にとっては、一つのテーブルを囲んで大皿で食べるというスタイルが物珍しく、中国料理は「卓袱」(テーブルクロスを意味する中国語)と称されるようになった。あくまでその主眼は中国流の食事形式にあり、18世紀に入って日本人の経営する卓袱料理店が増えると、料理名こそ中国風であったが、その内容は日本料理・中国料理・南蛮料理が入り交じった独特のものに変化していった。
卓袱料理とは、長崎の郷土料理であり、かつてはちゃんぽんや皿うどんもその一部だったといわれている。